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プロローグ

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 それはよく晴れた青空の下、アルカ公爵邸の中庭で行われていたお茶会での出来事だった。

 私、リリー・ミアシス伯爵令嬢は親友と共に顔見知りでしかない、アルカ公爵令嬢の主催するお茶会に参加していた。

 和やかだったムートが一変したのは、お茶会が始まって1時間程経った頃だった。

「きゃあああっ!」

 悲鳴に驚いたと同時に、アルカ公爵令嬢の体が椅子から崩れ落ちた。
 悲鳴を上げたのはアルカ公爵令嬢の隣の席に座っていた、わたしの親友だった。
 親友は、苦しそうにしているアルカ公爵令嬢の体に触れながら叫ぶ。

「アルカ公爵令嬢! しっかりしてください!」
「お医者様をお願いします!」

 近くにいた騎士に向かって、私がそう叫んだと同時にアルカ公爵令嬢の口からは大量の血が吐き出された。
 それを見た親友が叫ぶ。

「大変! 大変です! リリーがアルカ公爵令嬢のお茶に毒を入れているのを見ました!」
「待って! 私はそんなことはしていないわ!」

 親友の口から出た言葉に驚きながらも反論する。

 アルカ公爵令嬢の命が危ないという時に、どうしてそんな嘘の話をするのよ!

 6人掛けの丸テーブルを一緒に囲んでいた、他の三人は何も言わずに、ただ俯いているだけだ。

「リリー、どうしてこんなことを!」
「私は毒なんて入れてないわ! テレサ、あなた、どうしてそんな馬鹿な話をするのよ!」

 そう叫んだ時、後ろから両腕を掴まれた。

「リリー・ミアシス伯爵令嬢! アルカ公爵令嬢を毒殺しようとした罪で逮捕する!」
「私は何もしていません!」
「うるさい! 犯人はみんな、そう言うんだ!」

 どこからか現れた制服を着た警察官はそう叫ぶと、私の言葉に一切耳を傾けることもなく、私を警察署に連行したのだった。

 その後、留置所でアルカ公爵令嬢が亡くなったと聞かされた。

 私がどんなに訴えても、まるでそう決まっていたシナリオのように、私が犯人だと決めつけられ、あっという間に刑まで確定してしまった。

 その後、私は、アルカ公爵令嬢を毒殺したということで、絞首刑になることが決まった。
 首を落とされるのとどちらが楽なのだろう。
 
 刑が確定した時には、そんな考えが浮かぶほどに、私の神経はすり減っていた。
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