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第二部

プロローグ

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「ミーア、起きるのじゃ! メトシロとオトシロが来ておるぞ」

 チワー様の小さな前足が、ベッドに横になっている私の頰にペチペチと当てられる。

「ふあ……」
「ミーア、早く起きるのじゃ。われはお腹が減ったのじゃ」

 チワー様がペロペロと頬を舐めてくるので、ゆっくりと身を起こす。

 すると、コツコツと窓が叩かれる音が聞こえた。

 チワー様の言われたとおり、メトシロちゃんたちの姿が窓の外に見える。

「おはようミーア!」
「おはよう、今日も遊んでね!」
「おはようございます、チワー様。おはよう、オトシロちゃんとメトシロちゃん」

 窓を開けると、オトシロちゃんとメトシロちゃんは部屋の中に入ってきて、肩に止まり私の頬に頭を寄せてくれる。

 なんて幸せな日なのかしら。

 朝から犬、じゃなくて聖獣のチワー様や可愛い鳥たちに起こしてもらえるだなんて。

「おはようミーア」

 姿は見えないけれど、天井の裏に住んでいるネズミのチューチューさんの声が聞こえた。

「おはようございます、チューチューさん」

 チューチューさんはロディ様と契約している動物だから、ヒース様のような名前の付け方の規則性はない。
 でも、見た目や鳴き声、動物名などを参考にして付けているので、チューチューさんという名前のネズミは3匹いる。

「おはよう、ミーア、朝だよっ」

 ベッドの上に足をかけてきたのは、最近、ヒース様が連れて帰ってきた、オコジョという種類の動物で、名前はハナちゃん。

 オトシロちゃんたちと同じ真っ白なもふもふの毛に、黒のつぶらな瞳。
 体は猫と同じくらいの大きさだ。
 
 花を愛でるのが好きな子なのでハナちゃんにした。
 ヒース様には「俺の考えたものと変わらない」と言われたので、どんな名前を付けるのか聞いてみた。

 すると、「ジョメ」と答えたので、ハナちゃんにどちらが良いか聞いてみたところ「ジョメってどういうこと?」と逆に質問を返された。

 その後、ヒース様から由来を聞いたハナちゃんは「ないわぁ」と言ったあと、「ハナっていう名前がいい!」と言ってくれた。

 そのため、ここ最近のヒース様はちょっと拗ねているので、それがちょっと可愛らしい。

 ハナちゃんは女の子であることと新参者ということで、動物見知りをしていて私にべったりだ。
 
「おはよう、ハナちゃん」

 というわけで、私の朝はこんな風ににぎやかだ。

 オトシロちゃんとメトシロちゃんと別れ、身支度を整えて部屋から出ると、お母様も部屋から出てきたところだった。

 お母様はフクロウのフクオさんに気に入られており、羽根を渡されたりして求愛行動をされている。

 お父様とのこともあり、結婚はもう良いと言っているお母様だけれど、フクオさんの求愛は嬉しいそうだ。

 お母様と合流し、チワー様とハナちゃんを抱えて、朝食をとりに食堂に向かっていた時だった。

「ミーア、ミーニャ大変だわん!」

 ゴールドの長い毛を持つ大型犬が走ってきて、私とお母様の前で急停止する。

「ロディ様のほうにコロール王国から連絡が来たわん!」
「なんて、言ってきたの?」
「オーランドが帰ってこないから跡継ぎが必要だということで、シュキーとセフィラが結婚するという話わん!」
「ええっ!?」

 シュキー国王とセフィラが結婚!?

 あまりの驚きに、私とお母様はしばらくその場で立ちつくしていた。 





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