待つわけないでしょ。新しい婚約者と幸せになります!

風見ゆうみ

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6  お出かけする

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 ルーザー殿下の訪問の数日後、ワクワクしながら、私は平民の格好をして、殿下と一緒に城下の街を歩いていた。

「ちょっと面白い令嬢がいると言ったら、皆が会いたがって大変だった」
「面白い事なんて一つも言っておりませんでしたのに」
「悪い悪い。機嫌直せって。君が会いたがっている女性も連れて来るように言ってる」
「そうなんですか!? ありがとうございます! どんな方なのかしら。楽しみです!」

 スキップしたくなる気持ちをおさえて、同じく平民の姿に扮した殿下の横を歩く。
 浮かれている私を見て、殿下はやはり、何か面白いものを見るような顔で見てこられる。
 殿下は身長160cmの私が見上げないといけないくらいに背が高い。
 私は高身長の男性が好きだから、殿下は顔といい、体型といい、私の好きなタイプである。

 友人からは私は惚れっぽいタイプだから気を付けろと言われている。
 気を付けてはいるつもりだけれど、そんなもの、止めれるものではないから困っている。
 ただ、殿下の場合は好きになっても、気持ちは返ってこなさそうだから、傷付く覚悟は必要そう。

 現在、ルーザー殿下とは婚約前のお試し期間中だ。
 殿下は婚約をした後に、私が心変わりをしたら、2回目の婚約破棄になってしまうから、世間的に印象が良くないかもしれないと考えて下さり、考える期間をくれた。

 もちろん、期限を決めていて、あと10日程で答えを出す事になっている。
 そのお試し期間が終わるまでに、殿下の部隊の方と会わせてもらえる事になった。
 元々、婚約に関しては私からお断りする気はないけど、殿下からやっぱり他の女性と婚約する、と言われたら困るので、この機に憧れの人に会っておきたかった。

 殿下がリーダーとなってまとめている傭兵部隊は、何グループに分かれているらしく、実際の人数や人物の詳細は謎だ。
 けれど、噂としては色々な噂が流れていて、その中の1つに女性が存在するというものがあった。
 顔は隠しているため、どんな顔かはわからないが、体付きが女性なので、そうなのではないかという噂だったのだけれど、やはり女性は存在していたらしい。
 しかも私と会ってくれるなんて。
 もちろん、機密事項だから、ここに来るまでに色々な誓約書を書かされた。

 どんなものかというと、簡単に言えば、今日会った人間の話を仲間以外の誰かに話したら殺しちゃうからね?
 
 という感じ。
 物騒な内容だったので、可愛く脳内で変換してみた。

 殿下が立ち止まったのは、路地裏にある外観だけ見ると、営業しているのかしていないかわからない様な店だった。
 店の扉の前には屈強そうな男性が2人立っていて、その内の1人がまずは私を見て、口をへの字に曲げたあと、次に殿下を見て、ぽかんとした顔で言った。

「ボスじゃねぇか! ど、どういう事だよ、あんたが女連れだなんて!」
「しかもかわい子ちゃん!」

 かわい子ちゃん?

 そんな事を言われた事がなかったので、嬉しく思って、そう言ってくれた人にお礼を言う。

「ありがとうございます!」
「え~。可愛いなあ。ボスなんか止めて俺と付き合わん?」
「おい。彼女に近付くな」

 殿下が近寄ってきた男性と私の間に割って入って下さった。

「はいはい。中へお通ししますよ。楽しんでくれ」

 扉の前に立っていた男性が横によけてくれたあと、表情をゆるめて、そう言ってくれたので、私も笑顔で頷く。
 カランカランというベルの音がなり、店の中に入ると、店内は狭く、カウンター席が5席、4人がけのテーブル席が4つ。
 全ての席が埋まっているように見えたけど、店の入口から1番奥のテーブルに横に並んで2席だけ空いていて、向かい側には若い男性と女性が座っていた。

「な、なんで、こんなに人がいるんだよ!」

 中を見回してから殿下が叫ぶと、静かだった店内が一斉に騒がしくなる。

「マジかよぉ! 普通に可愛いじゃん! 俺が婚約したい! ボス、代わってくれ!」
「彼女は嫌がるだろうが、俺の場合はお前が俺の代わりにトップになると言うなら考えてやる」
「はい、無理ーっ!」

 ぎゃははは、と殿下と男性の会話を聞いて、周りの人達が笑う。

「あ、あの、殿下?」
「悪い。俺の婚約者候補が来ると噂を流した奴がいるみたいだ。そのせいで、今、ここにいるのは、店員も含め、俺の部下だ」
「ええっ!?」

 謝ってくる殿下に大きな声で聞き返す。

 殿下の部下という事は傭兵部隊の皆さんなのよね!?
 なんて素敵なの!
 色々と話を聞けたら幸せだわ!
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