9 / 34
8 恋に落ちる?
しおりを挟む
令嬢がこんなはしたない事をするなんてって絶対に思われてるんだろうな…。
せっかく、良い婚約者が見つかりそうだと思ったのに…。
でも、しょうがない。
チンピラは私に用事があったみたいだった。
こんな事になったのも私のせいなんだから、縁がなかったと諦めるしかない。
「あの、帰ります。お騒がせして申し訳ございません」
はっきりとした金額はわからないけれど、自分が飲食したよりも多めの金額をカウンターの上に置いて、ぺこりと頭を下げて、店から出ていく。
トボトボと歩いていると、店の方が騒がしくなったのと同時、扉が開く音が聞こえて振り返って立ち止まると、殿下が店から出てきた。
「なんで帰るんだよ」
「……あの、私が迷惑を」
「迷惑なんかじゃない! さっきのかかと落とし、すごく良かったぞ」
「はい?」
聞き返したと同時、店の方から声が聞こえる。
「馬鹿じゃないの!? 口説き文句が、かかと落とし良かったなんて考えられないんだけど!?」
「おい、誰かボスに耳打ちしてこいよ。あのままいくと逃げられるぞ」
「ボス! せめて可愛かったって言わないと!」
「かかと落とし可愛かったって言われて、喜ぶ女いんのか?」
ギャラリーの声が丸聞こえで、ついつい私が笑いそうになると「逃げるなよ」と私に念押ししてから、殿下はギャラリーの方に振り向いて叫ぶ。
「もっと的確なアドバイスをしろ! お前らが言ってんのは、ただの俺への悪口だからな!」
殿下の言葉を聞いて、店からわらわらと姉御を含め部下の方が出てきて、口々に言う。
「君のかかと落としの美しさには感銘を受けた」
「かかと落としからはなれろ」
「俺を捨てないで」
「捨てるも何も拾ってもくれてないだろ!」
「ごめん、スカートの中見えちゃった」
「やめろ!!」
部下の人が何か言えば殿下が返すを繰り返し、スカートの中見えちゃった発言に殿下は真剣に怒ってくれた。
というか申し訳ない。
そんなものを見せてしまったなんて!!
「お、俺の方からは見えてなかったから!」
「いえ、あの、中、見えてしまったなら、申し訳ないです。お見苦しいものを…」
ぺこりと頭を下げると、ギャラリーの1人が親指を立てて言う。
「俺はラッキーだったぜ!」
「おい、誰かこいつの頭を、そこだけの記憶がなくなるように殴れ」
殿下の言葉に、他の人たちが盛り上がる。
「よっしゃあ! おまかせあれ!」
「まずはあたしが殴るわ!」
「やめろぉ! そんな器用なこと、こいつらに出来るわけねぇだろ!」
ぎゃあぎゃあ、店の前の狭い道で騒ぐ皆に、つい笑みをこぼすと、殿下が近付いてきて言う。
「あの、俺、なんていうか、女性が喜ぶ様な言葉を知らなくて。ただ、その、なんでいきなり帰ろうとしたかだけ、理由を教えてくれないか? ちゃんと謝りたい。あ、もちろん、あんな輩を店の中に入れた事については謝る。悪かった」
「殿下が謝られる事ではありません! 元々、私がターゲットの様でしたし、たぶん、ビアンカが…」
「それについては、今、部下に奴を追わせてるから、後で報告がくるから良いとして、どうしていきなり帰ろうとしたんだ?」
「かかと落としする令嬢なんていないでしょうし、皆さんにも迷惑をかけたので…」
「迷惑? なんのだよ?」
暗がりの中、店の明かりで逆光になってしまっているので、余計に殿下の表情が見辛いけれど、声の様子だと困惑しているのがわかった。
「普通は、こんな令嬢いませんよね」
「それがどうした?」
「はしたないと言いますか」
「それを言ったら、俺みたいな王子も珍しいんじゃないか? 部下、あれだぞ」
そう言って、殿下が後ろは見ずに親指で、騒いでいる部下の人達を差す。
「素敵だと思います」
「だから俺も、その、なんだ。えっと、素敵だと思う」
「はい?」
「君のかかと落としは素敵だったと思う」
「……」
きょとんとすると、殿下が焦る。
「俺、言葉を間違えてるか?」
「……いいえ」
首を大きく横に振って笑う。
「褒め言葉をありがとうございます」
「……おう」
殿下がこくんと首を縦に振ったところで、いつから聞いていたのかわからないけれど、ギャラリーが騒ぎ出す。
「もうちょっと気の利いたことを言えないのかしら」
「ボスは恋愛偏差値ゼロだからな」
「え、って事はまだ、どうて」
「誰だ、殺すぞ」
殿下が後ろを振り向いて、姉御達に言った。
その様子を見て、ひとしきり笑ったあと話しかける。
「あの、殿下」
「なんだ?」
「私、嫌われたわけではないんでしょうか?」
「当たり前だろ。俺に何かしたのか?」
「さっきの、令嬢らしくない行動は…」
「ああ。逆だよ。むしろ好印象だ」
暗闇に目が慣れてきて、殿下の笑う顔が見えた。
それはもう優しい笑顔で…。
ごめんなさい。
チョロいとは自分でもわかってますが、恋に落ちちゃいそうです。
せっかく、良い婚約者が見つかりそうだと思ったのに…。
でも、しょうがない。
チンピラは私に用事があったみたいだった。
こんな事になったのも私のせいなんだから、縁がなかったと諦めるしかない。
「あの、帰ります。お騒がせして申し訳ございません」
はっきりとした金額はわからないけれど、自分が飲食したよりも多めの金額をカウンターの上に置いて、ぺこりと頭を下げて、店から出ていく。
トボトボと歩いていると、店の方が騒がしくなったのと同時、扉が開く音が聞こえて振り返って立ち止まると、殿下が店から出てきた。
「なんで帰るんだよ」
「……あの、私が迷惑を」
「迷惑なんかじゃない! さっきのかかと落とし、すごく良かったぞ」
「はい?」
聞き返したと同時、店の方から声が聞こえる。
「馬鹿じゃないの!? 口説き文句が、かかと落とし良かったなんて考えられないんだけど!?」
「おい、誰かボスに耳打ちしてこいよ。あのままいくと逃げられるぞ」
「ボス! せめて可愛かったって言わないと!」
「かかと落とし可愛かったって言われて、喜ぶ女いんのか?」
ギャラリーの声が丸聞こえで、ついつい私が笑いそうになると「逃げるなよ」と私に念押ししてから、殿下はギャラリーの方に振り向いて叫ぶ。
「もっと的確なアドバイスをしろ! お前らが言ってんのは、ただの俺への悪口だからな!」
殿下の言葉を聞いて、店からわらわらと姉御を含め部下の方が出てきて、口々に言う。
「君のかかと落としの美しさには感銘を受けた」
「かかと落としからはなれろ」
「俺を捨てないで」
「捨てるも何も拾ってもくれてないだろ!」
「ごめん、スカートの中見えちゃった」
「やめろ!!」
部下の人が何か言えば殿下が返すを繰り返し、スカートの中見えちゃった発言に殿下は真剣に怒ってくれた。
というか申し訳ない。
そんなものを見せてしまったなんて!!
「お、俺の方からは見えてなかったから!」
「いえ、あの、中、見えてしまったなら、申し訳ないです。お見苦しいものを…」
ぺこりと頭を下げると、ギャラリーの1人が親指を立てて言う。
「俺はラッキーだったぜ!」
「おい、誰かこいつの頭を、そこだけの記憶がなくなるように殴れ」
殿下の言葉に、他の人たちが盛り上がる。
「よっしゃあ! おまかせあれ!」
「まずはあたしが殴るわ!」
「やめろぉ! そんな器用なこと、こいつらに出来るわけねぇだろ!」
ぎゃあぎゃあ、店の前の狭い道で騒ぐ皆に、つい笑みをこぼすと、殿下が近付いてきて言う。
「あの、俺、なんていうか、女性が喜ぶ様な言葉を知らなくて。ただ、その、なんでいきなり帰ろうとしたかだけ、理由を教えてくれないか? ちゃんと謝りたい。あ、もちろん、あんな輩を店の中に入れた事については謝る。悪かった」
「殿下が謝られる事ではありません! 元々、私がターゲットの様でしたし、たぶん、ビアンカが…」
「それについては、今、部下に奴を追わせてるから、後で報告がくるから良いとして、どうしていきなり帰ろうとしたんだ?」
「かかと落としする令嬢なんていないでしょうし、皆さんにも迷惑をかけたので…」
「迷惑? なんのだよ?」
暗がりの中、店の明かりで逆光になってしまっているので、余計に殿下の表情が見辛いけれど、声の様子だと困惑しているのがわかった。
「普通は、こんな令嬢いませんよね」
「それがどうした?」
「はしたないと言いますか」
「それを言ったら、俺みたいな王子も珍しいんじゃないか? 部下、あれだぞ」
そう言って、殿下が後ろは見ずに親指で、騒いでいる部下の人達を差す。
「素敵だと思います」
「だから俺も、その、なんだ。えっと、素敵だと思う」
「はい?」
「君のかかと落としは素敵だったと思う」
「……」
きょとんとすると、殿下が焦る。
「俺、言葉を間違えてるか?」
「……いいえ」
首を大きく横に振って笑う。
「褒め言葉をありがとうございます」
「……おう」
殿下がこくんと首を縦に振ったところで、いつから聞いていたのかわからないけれど、ギャラリーが騒ぎ出す。
「もうちょっと気の利いたことを言えないのかしら」
「ボスは恋愛偏差値ゼロだからな」
「え、って事はまだ、どうて」
「誰だ、殺すぞ」
殿下が後ろを振り向いて、姉御達に言った。
その様子を見て、ひとしきり笑ったあと話しかける。
「あの、殿下」
「なんだ?」
「私、嫌われたわけではないんでしょうか?」
「当たり前だろ。俺に何かしたのか?」
「さっきの、令嬢らしくない行動は…」
「ああ。逆だよ。むしろ好印象だ」
暗闇に目が慣れてきて、殿下の笑う顔が見えた。
それはもう優しい笑顔で…。
ごめんなさい。
チョロいとは自分でもわかってますが、恋に落ちちゃいそうです。
115
あなたにおすすめの小説
【完結】結婚しておりませんけど?
との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」
「私も愛してるわ、イーサン」
真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。
しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。
盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。
だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。
「俺の苺ちゃんがあ〜」
「早い者勝ち」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\
R15は念の為・・
【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。
との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」
今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。
ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。
「リリアーナ、だからごめんってば」
「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済みです。
R15は念の為・・
【完結】離縁したいのなら、もっと穏便な方法もありましたのに。では、徹底的にやらせて頂きますね
との
恋愛
離婚したいのですか? 喜んでお受けします。
でも、本当に大丈夫なんでしょうか?
伯爵様・・自滅の道を行ってません?
まあ、徹底的にやらせて頂くだけですが。
収納スキル持ちの主人公と、錬金術師と異名をとる父親が爆走します。
(父さんの今の顔を見たらフリーカンパニーの団長も怯えるわ。ちっちゃい頃の私だったら確実に泣いてる)
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
32話、完結迄予約投稿済みです。
R15は念の為・・
【完結】チャンス到来! 返品不可だから義妹予定の方は最後までお世話宜しく
との
恋愛
予約半年待ちなど当たり前の人気が続いている高級レストランのラ・ぺルーズにどうしても行きたいと駄々を捏ねたのは、伯爵家令嬢アーシェ・ローゼンタールの十年来の婚約者で伯爵家二男デイビッド・キャンストル。
誕生日プレゼントだけ屋敷に届けろってど〜ゆ〜ことかなあ⋯⋯と思いつつレストランの予約を父親に譲ってその日はのんびりしていると、見たことのない美少女を連れてデイビッドが乗り込んできた。
「人が苦労して予約した店に義妹予定の子と行ったってどういうこと? しかも、おじさんが再婚するとか知らないし」
それがはじまりで⋯⋯豪放磊落と言えば聞こえはいいけれど、やんちゃ小僧がそのまま大人になったような祖父達のせいであちこちにできていた歪みからとんでもない事態に発展していく。
「マジかぁ! これもワシのせいじゃとは思わなんだ」
「⋯⋯わしが噂を補強しとった?」
「はい、間違いないですね」
最強の両親に守られて何の不安もなく婚約破棄してきます。
追伸⋯⋯最弱王が誰かは諸説あるかもですね。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
約7万字で完結確約、筆者的には短編の括りかなあと。
R15は念の為・・
【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます
との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。
(さて、さっさと逃げ出すわよ)
公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。
リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。
どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。
結婚を申し込まれても・・
「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」
「「はあ? そこ?」」
ーーーーーー
設定かなりゆるゆる?
第一章完結
【完結】婚約破棄の次は白い結婚? ちょっと待って、それって私可哀想すぎると思うんだけど・・
との
恋愛
婚約破棄されるって噂を聞きつけたけど、父親から
【命に関わるから我慢しなさい】
と言われ、言いたい放題の人達に文句も言わず婚約破棄を受け入れたエリン。
ところが次の相手は白い結婚だ!と言い出した。
えっ? しかも敷地内に恋人を囲ってる?
何か不条理すぎる気がするわ。
この状況打開して、私だって幸せになりますね。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
大幅改訂しました。
R15は念の為・・
【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ
との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。
「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。
政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。
ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。
地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。
全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。
祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済。
R15は念の為・・
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる