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16 握手する
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「そんなに驚かなくてもいいだろ! 小さい頃から婚約者がビアンカで、ビアンカは俺に近付きたがらなかったから、自然とそうなったんだよ!」
「ご、ごめんなさい。パーティーに出席したら、ダンスとかもあるし、必然的に触らないといけないから、まさか、腕に触れられた事がないなんて思わなかったんです」
「…というか、俺もムキになってごめん」
ちょっと不貞腐れた感じのルーに慌てて謝ると、ルーもすぐに冷静になって謝ってくれてから、言葉を続ける。
「一人でパーティーには出席した事はあっても、ダンスをした事はないんだ。ビアンカも俺とは一緒に出たがらなかったしな」
「…そうだったんですか」
ルーの悲しげな顔を見て、ビアンカに殺意を覚える。
彼にこんな顔をさせるなんて許せない!
「ルー! 今度開かれるパーティーに招待されたら、一緒に出席しましょう! で、ダンスを踊りましょう!」
「無理しなくていいぞ?」
「無理してません! 私がルーと一緒に出たいんです!」
両拳を握りしめて言うと、ルーはきょとんとした後、柔らかな笑みを浮かべて頷いた。
「わかった。楽しみにしてる」
胸がきゅうんとなる。
やっぱり好き。
タントスにはこんな気持ちにならなかったのになあ…。
「…あとですね」
お父様の許可はまだ取れていないけど、きっと大丈夫だろうから、今、伝えてしまう事にする。
「私、ルーの婚約者になりたいです!」
「…まだ、お試し期間が終わってないけど、いいのか?」
「はい! 私みたいなじゃじゃ馬をもらってくれる人なんていないでしょうし、ルーには迷惑かもしれないですが、お願いしたいです」
「そうか? 君ならもらってくれる人は他にもいそうだけどな。まあ、じゃじゃ馬は否定しないけど」
「…ルーは、私が婚約者になるのは嫌なんですか?」
肩を落として聞くと、ルーは大きく首を横に振る。
「そんな事はない! 俺の方がもらってくれる人がいないから助かる」
「……はい! 私がもらいます!」
手を挙げて宣言すると、ルーが笑ってから言う。
「もちろん、君に他に結婚したい人ができたら言ってくれればいい。だから、結婚は急がないでおこう」
「……ルーは」
「ん?」
「何でもないです!」
「何を怒ってるんだ?」
首を傾げるルーに、遠慮なく答える。
「ルーが鈍感だからです! そりゃ、私も直接的な事は言ってませんが、察してくださいよ!」
「それ、よく言われるんだよ。そんなに俺って鈍感なのか?」
「鈍感な気がします。私の場合は言葉が足りないのかもしれませんが…」
「ヒントをくれないか?」
真剣な顔をして言うから、怒る気にもなれない。
でも、私の気持ちを今、伝えてしまうと、こんな風に話せなくなってしまうかもしれないから、それも怖い。
だから、ヒントは今はあげない。
「私が言うか、ルーが気付くか、どちらかしかありません」
「何だよそれ…」
しかめっ面をしたあと、ルーが恐る恐る手を差し出してきた。
「どうしたんです?」
「これからよろしくっていう握手を…」
「……そうですね」
手を握った事もなさそうだから、私よりも一回り大きい手に優しく触れる。
手の甲には深く刻まれた傷、手のひらにはタコができていて、握ると手なのにかたくて、少し痛い。
「よろしくお願いします」
優しく握ると、ルーは照れくさそうに笑って握り返してきた。
やっぱり、私はルーが好きだ。
だけど、ルーは私のことを女性として意識してくれていない。
それでも、婚約者として一緒にいられるなら、それで良いと思ってしまった。
「そういえば、ルーは何をしにこちらへ?」
「いや、君の所にビアンカが来てるって報告をもらったから、心配になって見に来た。あと、リッカから昨日の詫びをしたいから、昼から店に連れて来いって言われてる」
「姉御が? 前の酒場ですか?」
「ああ。1人じゃ危険だから、俺も店までは一緒に行くよ」
「ありがとうございます」
わざと手を握ったままでいると、ルーの顔がどんどん赤くなっていくから、ついつい笑ってしまう。
「笑うな」
「すみません」
拗ねてしまいそうなので、名残惜しいけれど、ルーの手をはなした。
「君は意地悪だな」
「普通ですよ。意地悪なんてわざとしません。ルー以外には」
「俺にはするのか」
「少しだけ」
笑って答えると、ルーがまた、心があったかくなるような笑顔を見せてくれた。
「ご、ごめんなさい。パーティーに出席したら、ダンスとかもあるし、必然的に触らないといけないから、まさか、腕に触れられた事がないなんて思わなかったんです」
「…というか、俺もムキになってごめん」
ちょっと不貞腐れた感じのルーに慌てて謝ると、ルーもすぐに冷静になって謝ってくれてから、言葉を続ける。
「一人でパーティーには出席した事はあっても、ダンスをした事はないんだ。ビアンカも俺とは一緒に出たがらなかったしな」
「…そうだったんですか」
ルーの悲しげな顔を見て、ビアンカに殺意を覚える。
彼にこんな顔をさせるなんて許せない!
「ルー! 今度開かれるパーティーに招待されたら、一緒に出席しましょう! で、ダンスを踊りましょう!」
「無理しなくていいぞ?」
「無理してません! 私がルーと一緒に出たいんです!」
両拳を握りしめて言うと、ルーはきょとんとした後、柔らかな笑みを浮かべて頷いた。
「わかった。楽しみにしてる」
胸がきゅうんとなる。
やっぱり好き。
タントスにはこんな気持ちにならなかったのになあ…。
「…あとですね」
お父様の許可はまだ取れていないけど、きっと大丈夫だろうから、今、伝えてしまう事にする。
「私、ルーの婚約者になりたいです!」
「…まだ、お試し期間が終わってないけど、いいのか?」
「はい! 私みたいなじゃじゃ馬をもらってくれる人なんていないでしょうし、ルーには迷惑かもしれないですが、お願いしたいです」
「そうか? 君ならもらってくれる人は他にもいそうだけどな。まあ、じゃじゃ馬は否定しないけど」
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肩を落として聞くと、ルーは大きく首を横に振る。
「そんな事はない! 俺の方がもらってくれる人がいないから助かる」
「……はい! 私がもらいます!」
手を挙げて宣言すると、ルーが笑ってから言う。
「もちろん、君に他に結婚したい人ができたら言ってくれればいい。だから、結婚は急がないでおこう」
「……ルーは」
「ん?」
「何でもないです!」
「何を怒ってるんだ?」
首を傾げるルーに、遠慮なく答える。
「ルーが鈍感だからです! そりゃ、私も直接的な事は言ってませんが、察してくださいよ!」
「それ、よく言われるんだよ。そんなに俺って鈍感なのか?」
「鈍感な気がします。私の場合は言葉が足りないのかもしれませんが…」
「ヒントをくれないか?」
真剣な顔をして言うから、怒る気にもなれない。
でも、私の気持ちを今、伝えてしまうと、こんな風に話せなくなってしまうかもしれないから、それも怖い。
だから、ヒントは今はあげない。
「私が言うか、ルーが気付くか、どちらかしかありません」
「何だよそれ…」
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「どうしたんです?」
「これからよろしくっていう握手を…」
「……そうですね」
手を握った事もなさそうだから、私よりも一回り大きい手に優しく触れる。
手の甲には深く刻まれた傷、手のひらにはタコができていて、握ると手なのにかたくて、少し痛い。
「よろしくお願いします」
優しく握ると、ルーは照れくさそうに笑って握り返してきた。
やっぱり、私はルーが好きだ。
だけど、ルーは私のことを女性として意識してくれていない。
それでも、婚約者として一緒にいられるなら、それで良いと思ってしまった。
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