17 / 34
15 追い出してさしあげる
しおりを挟む
「そ、それとこれとは関係ないと思うわ。あなたが、さっさと新しい婚約者を見つけておけば良かったのよ」
私の言葉の意味を理解したのか、ビアンカが平静を装いながら言う。
「意味がわからないんですが…。人が泊まっている宿までわざわざ押しかけてきて、あなたは私に何が言いたいんです?」
「だから、婚約者をとっとと見つけなさいって言ってるの!」
「…婚約者候補ならいますから、心配しなくて大丈夫です。うまくいけば、あなたの元婚約者と婚約させていただきますので」
「そう…。ならいいのよ」
ビアンカは満足そうに頷く。
ちょうどいい機会だし、気になっていた事を聞く事にする。
「ビアンカ様はミュラーと恋仲だったりするんですか?」
「わ、私が、ミュラー様と恋仲!? そんな噂が流れてるの!?」
「いや、噂は流れてません。そうなのかと思って聞いてみただけです」
「何よ、がっかりさせないで」
はあ、と、ビアンカが大きくため息を吐く。
何でがっかりするのかしら。
意味がわからない。
いや、考えられるとしたら…。
「ビアンカ様、もしかして、ミュラーの事が好きなんですか?」
「な!! なんて事を言うの!?」
ビアンカは勢いよく立ち上がると、早口でまくし立てる。
「今度、そんな事を言ったら許さないから! 公爵家は辺境伯家よりも権力は上だって事くらい、馬鹿なあなたにだってわかるでしょう! 簡単に潰せてしまうんですからね!」
「そんな事をしたら、敵国に一気に攻められますけど」
「うるさいわね! 黙って聞きなさいよ!」
「はあ…」
もう面倒くさくなったので、彼女に言いたい事を言わせる事にする。
「ミュラー様があなたの事を好きだなんて信じられない! 今、ミュラー様はあなたの為に婚約破棄をしようとしているのよ!? 本当にあなたって存在は迷惑な事この上ない」
「はいはい、申し訳ございません?」
聞き流そうとしたけど、聞き流せない言葉があったので疑問形になってしまった。
「え? ミュラーがなんですって?」
「あなた! その鈍いところが腹が立つのよ! ミュラー様はあなたの事をずっと好きだったのよ! だけど、あなたにはあんな馬鹿なタントスという婚約者がいて! あんな男にヘラヘラしているあなたが前々から嫌いだった!」
「いや、意味がわからないです。普通にそっとしておいてくれれば、ミュラーが私の事を好きだったとしても、諦めたんじゃないんですか?」
「………」
嘘でしょ。
この人、本当にやばいんじゃない?
とにかく、聞きたい事だけ聞いて、早く帰ってもらおう。
「あと、昨日、私にたくさんのいかつい男の人達を送ってくれたみたいですけど、あれ、なんなんです?」
「何の話?」
「あなたの家の仕業だと言ってましたけど」
「私はそんな事は知らないわ。何にしても、安心して。あなたがミュラー様に関心がないのなら、もう私はあなたに用はないから」
「はあ。頑張って下さい」
私が返事を返すと、ビアンカは鼻で笑ったあと、肩にかかった髪をはらってから立ち上がる。
「お邪魔したわね」
「もう二度と来ないで下さい」
「頼まれたって来ないわよ」
ビアンカが出ていこうとしたと同時、部屋の扉がノックされた。
「はい」
「ルーザーだけど」
「ルー、ザー様!」
ルーと言いかけたけれど、ビアンカがいるから慌ててザー様をつけたから、変な呼び方になってしまった。
「どうぞお入り下さい」
「…ビアンカか」
「あら、ルーザー様じゃないですか。お会いできて光栄ですわ。新しい婚約者が出来て良かったですわね。そんな日焼けした肌の男性を夫にもらいたがる人なんておりませんでしょう?」
「ここにいますけど!」
「だから、新しい婚約者が出来て良かったと言ったでしょう!」
ムッとして言い返した私を、ビアンカが睨んでくる。
ルーを、しかも肌の事で悪く言うなんて腹が立つ。
というか、あれだわ。
ミュラーって健康でやんちゃなのに色白だった。
ミュラーが好きだから肌の白い人が好きなのか、元々、肌の白い人が好きなのかはわからないけれど、ルーを毛嫌いする原因はそれね!
「日焼けした肌の持ち主同士、仲良くさせてもらいますから、ビアンカ様はどうぞお帰り下さい! さ、よ、う、な、ら!」
扉付近にいたルーの腕を引っ張り、彼を部屋の中に入れ、ビアンカを部屋の外に追い出した。
「タントスに言っておいて下さい! 私には婚約者がいますから諦める様にって! あとミュラーには結婚式には呼ばなくていいわよ、ビアンカ様とお幸せにってお伝え下さい!」
言いたい事だけ言って、返事を待たずに扉を閉めた。
「ああ、疲れた」
「…君」
「はい?」
ルーの視線の先を見ると、彼の腕をつかんだままだった事に気付く。
「あわわ、申し訳ございません!」
「あ、いや。その、嫌だったわけじゃなくて、母上や部下とか、メイド以外の女性に触れられたのが初めてだったから」
「はい!?」
つかまれていない方の手で口をおさえるルーに、私は大きな声で聞き返した。
私の言葉の意味を理解したのか、ビアンカが平静を装いながら言う。
「意味がわからないんですが…。人が泊まっている宿までわざわざ押しかけてきて、あなたは私に何が言いたいんです?」
「だから、婚約者をとっとと見つけなさいって言ってるの!」
「…婚約者候補ならいますから、心配しなくて大丈夫です。うまくいけば、あなたの元婚約者と婚約させていただきますので」
「そう…。ならいいのよ」
ビアンカは満足そうに頷く。
ちょうどいい機会だし、気になっていた事を聞く事にする。
「ビアンカ様はミュラーと恋仲だったりするんですか?」
「わ、私が、ミュラー様と恋仲!? そんな噂が流れてるの!?」
「いや、噂は流れてません。そうなのかと思って聞いてみただけです」
「何よ、がっかりさせないで」
はあ、と、ビアンカが大きくため息を吐く。
何でがっかりするのかしら。
意味がわからない。
いや、考えられるとしたら…。
「ビアンカ様、もしかして、ミュラーの事が好きなんですか?」
「な!! なんて事を言うの!?」
ビアンカは勢いよく立ち上がると、早口でまくし立てる。
「今度、そんな事を言ったら許さないから! 公爵家は辺境伯家よりも権力は上だって事くらい、馬鹿なあなたにだってわかるでしょう! 簡単に潰せてしまうんですからね!」
「そんな事をしたら、敵国に一気に攻められますけど」
「うるさいわね! 黙って聞きなさいよ!」
「はあ…」
もう面倒くさくなったので、彼女に言いたい事を言わせる事にする。
「ミュラー様があなたの事を好きだなんて信じられない! 今、ミュラー様はあなたの為に婚約破棄をしようとしているのよ!? 本当にあなたって存在は迷惑な事この上ない」
「はいはい、申し訳ございません?」
聞き流そうとしたけど、聞き流せない言葉があったので疑問形になってしまった。
「え? ミュラーがなんですって?」
「あなた! その鈍いところが腹が立つのよ! ミュラー様はあなたの事をずっと好きだったのよ! だけど、あなたにはあんな馬鹿なタントスという婚約者がいて! あんな男にヘラヘラしているあなたが前々から嫌いだった!」
「いや、意味がわからないです。普通にそっとしておいてくれれば、ミュラーが私の事を好きだったとしても、諦めたんじゃないんですか?」
「………」
嘘でしょ。
この人、本当にやばいんじゃない?
とにかく、聞きたい事だけ聞いて、早く帰ってもらおう。
「あと、昨日、私にたくさんのいかつい男の人達を送ってくれたみたいですけど、あれ、なんなんです?」
「何の話?」
「あなたの家の仕業だと言ってましたけど」
「私はそんな事は知らないわ。何にしても、安心して。あなたがミュラー様に関心がないのなら、もう私はあなたに用はないから」
「はあ。頑張って下さい」
私が返事を返すと、ビアンカは鼻で笑ったあと、肩にかかった髪をはらってから立ち上がる。
「お邪魔したわね」
「もう二度と来ないで下さい」
「頼まれたって来ないわよ」
ビアンカが出ていこうとしたと同時、部屋の扉がノックされた。
「はい」
「ルーザーだけど」
「ルー、ザー様!」
ルーと言いかけたけれど、ビアンカがいるから慌ててザー様をつけたから、変な呼び方になってしまった。
「どうぞお入り下さい」
「…ビアンカか」
「あら、ルーザー様じゃないですか。お会いできて光栄ですわ。新しい婚約者が出来て良かったですわね。そんな日焼けした肌の男性を夫にもらいたがる人なんておりませんでしょう?」
「ここにいますけど!」
「だから、新しい婚約者が出来て良かったと言ったでしょう!」
ムッとして言い返した私を、ビアンカが睨んでくる。
ルーを、しかも肌の事で悪く言うなんて腹が立つ。
というか、あれだわ。
ミュラーって健康でやんちゃなのに色白だった。
ミュラーが好きだから肌の白い人が好きなのか、元々、肌の白い人が好きなのかはわからないけれど、ルーを毛嫌いする原因はそれね!
「日焼けした肌の持ち主同士、仲良くさせてもらいますから、ビアンカ様はどうぞお帰り下さい! さ、よ、う、な、ら!」
扉付近にいたルーの腕を引っ張り、彼を部屋の中に入れ、ビアンカを部屋の外に追い出した。
「タントスに言っておいて下さい! 私には婚約者がいますから諦める様にって! あとミュラーには結婚式には呼ばなくていいわよ、ビアンカ様とお幸せにってお伝え下さい!」
言いたい事だけ言って、返事を待たずに扉を閉めた。
「ああ、疲れた」
「…君」
「はい?」
ルーの視線の先を見ると、彼の腕をつかんだままだった事に気付く。
「あわわ、申し訳ございません!」
「あ、いや。その、嫌だったわけじゃなくて、母上や部下とか、メイド以外の女性に触れられたのが初めてだったから」
「はい!?」
つかまれていない方の手で口をおさえるルーに、私は大きな声で聞き返した。
89
あなたにおすすめの小説
【完結】結婚しておりませんけど?
との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」
「私も愛してるわ、イーサン」
真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。
しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。
盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。
だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。
「俺の苺ちゃんがあ〜」
「早い者勝ち」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\
R15は念の為・・
【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。
との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」
今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。
ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。
「リリアーナ、だからごめんってば」
「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済みです。
R15は念の為・・
【完結】離縁したいのなら、もっと穏便な方法もありましたのに。では、徹底的にやらせて頂きますね
との
恋愛
離婚したいのですか? 喜んでお受けします。
でも、本当に大丈夫なんでしょうか?
伯爵様・・自滅の道を行ってません?
まあ、徹底的にやらせて頂くだけですが。
収納スキル持ちの主人公と、錬金術師と異名をとる父親が爆走します。
(父さんの今の顔を見たらフリーカンパニーの団長も怯えるわ。ちっちゃい頃の私だったら確実に泣いてる)
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
32話、完結迄予約投稿済みです。
R15は念の為・・
【完結】チャンス到来! 返品不可だから義妹予定の方は最後までお世話宜しく
との
恋愛
予約半年待ちなど当たり前の人気が続いている高級レストランのラ・ぺルーズにどうしても行きたいと駄々を捏ねたのは、伯爵家令嬢アーシェ・ローゼンタールの十年来の婚約者で伯爵家二男デイビッド・キャンストル。
誕生日プレゼントだけ屋敷に届けろってど〜ゆ〜ことかなあ⋯⋯と思いつつレストランの予約を父親に譲ってその日はのんびりしていると、見たことのない美少女を連れてデイビッドが乗り込んできた。
「人が苦労して予約した店に義妹予定の子と行ったってどういうこと? しかも、おじさんが再婚するとか知らないし」
それがはじまりで⋯⋯豪放磊落と言えば聞こえはいいけれど、やんちゃ小僧がそのまま大人になったような祖父達のせいであちこちにできていた歪みからとんでもない事態に発展していく。
「マジかぁ! これもワシのせいじゃとは思わなんだ」
「⋯⋯わしが噂を補強しとった?」
「はい、間違いないですね」
最強の両親に守られて何の不安もなく婚約破棄してきます。
追伸⋯⋯最弱王が誰かは諸説あるかもですね。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
約7万字で完結確約、筆者的には短編の括りかなあと。
R15は念の為・・
【完結】婚約破棄の次は白い結婚? ちょっと待って、それって私可哀想すぎると思うんだけど・・
との
恋愛
婚約破棄されるって噂を聞きつけたけど、父親から
【命に関わるから我慢しなさい】
と言われ、言いたい放題の人達に文句も言わず婚約破棄を受け入れたエリン。
ところが次の相手は白い結婚だ!と言い出した。
えっ? しかも敷地内に恋人を囲ってる?
何か不条理すぎる気がするわ。
この状況打開して、私だって幸せになりますね。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
大幅改訂しました。
R15は念の為・・
【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ
との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。
「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。
政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。
ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。
地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。
全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。
祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済。
R15は念の為・・
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】離婚しましょうね。だって貴方は貴族ですから
すだもみぢ
恋愛
伯爵のトーマスは「貴族なのだから」が口癖の夫。
伯爵家に嫁いできた、子爵家の娘のローデリアは結婚してから彼から貴族の心得なるものをみっちりと教わった。
「貴族の妻として夫を支えて、家のために働きなさい」
「貴族の妻として慎みある行動をとりなさい」
しかし俺は男だから何をしても許されると、彼自身は趣味に明け暮れ、いつしか滅多に帰ってこなくなる。
微笑んで、全てを受け入れて従ってきたローデリア。
ある日帰ってきた夫に、貞淑な妻はいつもの笑顔で切りだした。
「貴族ですから離婚しましょう。貴族ですから受け入れますよね?」
彼の望み通りに動いているはずの妻の無意識で無邪気な逆襲が始まる。
※意図的なスカッはありません。あくまでも本人は無意識でやってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる