待つわけないでしょ。新しい婚約者と幸せになります!

風見ゆうみ

文字の大きさ
33 / 34

31  言い合いになる

しおりを挟む
 ルーの部下さんに教えてもらった所によると、タントスは夕方には保釈されたらしく、保釈後すぐに私達が泊まっていた宿に、今度は宿泊したいと言ってきたらしい。
 本来なら断りたい所だったみたいだけれど、私達がその日の部屋をキャンセルしていたのと、ちょうどお客さんが少なかったことから、前金払で泊まらせる事にしたみたいだった。

 ただ、問題だったのが、タントスは私が宿に泊まっていると思い込んでいるから、10部屋ほどある部屋の自分の部屋以外全ての部屋を確認しにまわったらしい。
 宿に泊まっていた人には迷惑をかけてしまった。
 一応、宿の人も私がチェックアウトした事を伝えてくれたみたいなんだけど、無駄だったみたい。
 
 ビアンカも今日の内に宿から出たらしいので、私達はビアンカと入れ替わるように、そちらの宿に移動して、タントスと早めにケリをつける事にし、時間と場所を決めた。

 日にちは一週間後で、私の家に来てもらう事にした。
 お店とかにすると、他のお客さんにも迷惑をかけてしまう可能性があるから。

 タントスのいる宿にルーの部下の人から手紙を届けてもらい、タントスからの返事は口頭で得たらしく、了承した、との返事をもらった。
 そのため、その日に向けて、私は次の日には慌ただしく家に戻る事になった。

 ルーはやる事があるというので、ひとまず別れて、タントスとの約束の一日前に私の家に尋ねてくるという段取りになった。
 私は私で家に帰ってからも、タントスの話や、婚約の話などでバタバタして忙しかった。
 改めて手紙ではなく、家族にルーとの話をすると、お父様達はルーとの婚約が決まりそうなのを喜んでくれた。
 決まりそう、というのは、まだ正式に書面契約を結んでいないから。
 この国の貴族は婚約者になる際に誓約書なり契約書を書かされる事が多い。
 なぜなら、ビアンカの様に婚約破棄を簡単にしてしまうバカが出てくるから。
 その誓約書には婚約破棄をされた方が大体有利になる条件が書かれているので、お互いのメリット、デメリットを考えた様に作るのが普通。
 ビアンカの様に婚約してすぐに婚約破棄、なんて普通の貴族はしないものなのだ。
 
 こっちへ来る際に、ルーが国王陛下の承認をもらって来てくれるらしいから、今からウキウキしていたりもするし、タントスの事を考えると憂鬱だったりもする。
  両親やお兄様にタントスからの手紙を見せたところ「どうする? 殺っちゃう?」的な感じのノリで会話を始めてしまったので、慌てて、自分でケリをつけるという話をした。
 そんなノリだから、ミュラーのお父様にあんな事を言われてしまうのかもしれない。
 もちろん、家族間だけの冗談ではあるとわかってはいるけれど。
 そして、とうとうタントスとの話し合いの日がやって来た。

 タントスがやって来た事を告げられ、メイドが案内している間に、私達も客間に移動した。
 木のローテーブルをはさんで、コの字型に並べられたソファーの下座側に座って待っていると、メイドがタントスを連れてきた。

「会いたかったよ、リアラ!」

 部屋に入ってくるなり、タントスは笑顔で私に近寄ってきたけれど、ルーが間に入って止めてくれる。

「君はもうリアラの婚約者じゃない。安易に近付くな」
「だ、第5王子殿下!? どうしてこんな所にいらっしゃるんです?」

 入ってきた時にルーの姿は見えていたはずなのに、キョトンとするタントスに呆れ返ってしまう。

「タントス、今日、あなたに来てもらったのは私を諦めてもらうため。というか、あなたの勘違いを正すためよ」
「どうしたんだい、リアラ…。そんなに怖い顔をしたら、可愛い顔が台無しだよ」
「あなたにそんな事を言われたって、ちっとも嬉しくないのよ! とりあえず、そっちに座って!」

 すぐに話が終わりそうにないので、向かいのソファーに座るように促すと、タントスは渋々ながらもソファーに座った。
 メイドがすぐにお茶を入れてくれ、逃げるように部屋から出ていくのを確認したあと、私から話を切り出す。

「タントス、あなたが婚約破棄をされた事は知ってるわ。そりゃ、ポイ捨てされて可哀想だと思うけれど、私とよりを戻そうなんてバカな事は考えないで。というか、無理だから」
「無理ってどういう事だよ! あんなに好きって言ってたじゃないか!」
「裏切ったのはあなたよ! まだ、浮気してすぐに、土下座して謝ってくれてたら、少しは考えていたかもしれないけど、大勢の前で婚約破棄をされて、堂々と浮気してましたっていう男に未練なんて残ると思うの!?」
「未練とかじゃない。だって、僕達は終わってない」
「もう終わったのよ! 私の中ではあなたが私に婚約破棄をもちかけた時点で終わってるの!」
「待っててくれって言ったじゃないか!」

 タントスが興奮して立ち上がって叫ぶ。

「だから、誰が待つって言ったのよ!」

 私も同じ様に立ち上がって叫ぶと、タントスの身体がびくりと震えた。
しおりを挟む
感想 50

あなたにおすすめの小説

【完結】結婚しておりませんけど?

との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」 「私も愛してるわ、イーサン」 真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。 しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。 盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。 だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。 「俺の苺ちゃんがあ〜」 「早い者勝ち」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\ R15は念の為・・

【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」 今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。 ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。 「リリアーナ、だからごめんってば」 「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

【完結】離縁したいのなら、もっと穏便な方法もありましたのに。では、徹底的にやらせて頂きますね

との
恋愛
離婚したいのですか?  喜んでお受けします。 でも、本当に大丈夫なんでしょうか? 伯爵様・・自滅の道を行ってません? まあ、徹底的にやらせて頂くだけですが。 収納スキル持ちの主人公と、錬金術師と異名をとる父親が爆走します。 (父さんの今の顔を見たらフリーカンパニーの団長も怯えるわ。ちっちゃい頃の私だったら確実に泣いてる) ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 32話、完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

【完結】チャンス到来! 返品不可だから義妹予定の方は最後までお世話宜しく

との
恋愛
予約半年待ちなど当たり前の人気が続いている高級レストランのラ・ぺルーズにどうしても行きたいと駄々を捏ねたのは、伯爵家令嬢アーシェ・ローゼンタールの十年来の婚約者で伯爵家二男デイビッド・キャンストル。 誕生日プレゼントだけ屋敷に届けろってど〜ゆ〜ことかなあ⋯⋯と思いつつレストランの予約を父親に譲ってその日はのんびりしていると、見たことのない美少女を連れてデイビッドが乗り込んできた。 「人が苦労して予約した店に義妹予定の子と行ったってどういうこと? しかも、おじさんが再婚するとか知らないし」 それがはじまりで⋯⋯豪放磊落と言えば聞こえはいいけれど、やんちゃ小僧がそのまま大人になったような祖父達のせいであちこちにできていた歪みからとんでもない事態に発展していく。 「マジかぁ! これもワシのせいじゃとは思わなんだ」 「⋯⋯わしが噂を補強しとった?」 「はい、間違いないですね」 最強の両親に守られて何の不安もなく婚約破棄してきます。 追伸⋯⋯最弱王が誰かは諸説あるかもですね。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 約7万字で完結確約、筆者的には短編の括りかなあと。 R15は念の為・・

【完結】婚約破棄の次は白い結婚? ちょっと待って、それって私可哀想すぎると思うんだけど・・

との
恋愛
婚約破棄されるって噂を聞きつけたけど、父親から 【命に関わるから我慢しなさい】 と言われ、言いたい放題の人達に文句も言わず婚約破棄を受け入れたエリン。 ところが次の相手は白い結婚だ!と言い出した。 えっ? しかも敷地内に恋人を囲ってる? 何か不条理すぎる気がするわ。 この状況打開して、私だって幸せになりますね。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 大幅改訂しました。 R15は念の為・・

【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ

との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。 「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。  政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。  ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。  地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。  全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。  祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済。 R15は念の為・・

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】離婚しましょうね。だって貴方は貴族ですから

すだもみぢ
恋愛
伯爵のトーマスは「貴族なのだから」が口癖の夫。 伯爵家に嫁いできた、子爵家の娘のローデリアは結婚してから彼から貴族の心得なるものをみっちりと教わった。 「貴族の妻として夫を支えて、家のために働きなさい」 「貴族の妻として慎みある行動をとりなさい」 しかし俺は男だから何をしても許されると、彼自身は趣味に明け暮れ、いつしか滅多に帰ってこなくなる。 微笑んで、全てを受け入れて従ってきたローデリア。 ある日帰ってきた夫に、貞淑な妻はいつもの笑顔で切りだした。 「貴族ですから離婚しましょう。貴族ですから受け入れますよね?」 彼の望み通りに動いているはずの妻の無意識で無邪気な逆襲が始まる。 ※意図的なスカッはありません。あくまでも本人は無意識でやってます。

処理中です...