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4 いかがでしたでしょう?
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結局、その後は食事会どころじゃなくなってしまい、各々の部屋に料理を運んでもらって食事をすることになった。
部屋に戻ってからメイドに食事を運んでもらい、メイドが部屋を出ていったのを確認してからジェドに話しかける。
「面倒なことになったわね」
「そうですね。誰のせいかはわかりませんけれど、まさか大人しく食事をすることも出来ないだなんて思っていませんでした」
「あれは私のせいじゃないわ。それとも、ジェドは素直にあの男に斬られていれば良かったとでも言うの?」
「そのことにつきましては、お守りすることが出来ず申し訳ございませんでした」
ジェドが深々と頭を下げてきた。
入室を許可していなかったから、ジェドはすぐに入ってこれなかったのだと思う。
それにまさか、抜剣するだなんて思ってもいなかったでしょうしね。
相手があそこまで馬鹿だとは私も思っていなかったもの。
ジェドは私の考えなど無視して頭を下げたまま離し続ける。
「レイティア様の騎士として失格」
「ジェド、もういいわ! 私が助けを求めてたのに来てくれなかったんじゃないんだから、今回の件に関しては気にしなくていいから」
「ですが……」
「ジェド、私一人のほうが動きやすい時もあるの。自分で処理しないと解決した気にならないのよ。だから任せてちょうだい。助けてほしい時はちゃんとあなたに助けてと伝えるから。だから、頭を上げて」
私が座っているソファの近くに立っていたジェドは、ゆっくりと頭を上げて私を見る。
「今後、あのような失態は犯しません。寛大なお心でお許しいただきありがとうございます」
「ジェド、2人きりなんだから少しは楽な言葉遣いになってちょうだい。私が落ち着かないわ」
ため息を吐いてからお願いすると、ジェドは困った顔をしたあと、仕事モードからプライベートモードに切り替える。
「レイティアを助けてくれた嬢だけど、リシャード国のセナ様って名乗られていたのか?」
「ええ。変わった人よね。シルバートレイは大事な人から借りていると言っていたけれど、持ち歩いている令嬢なんて初めて見たわ」
「気になることがあるんだよな……」
「どういうこと? ジェドはセナ様に見覚えがあるの?」
「いや。見覚えがあるんじゃなくて、聞き覚えがあるというか……」
「私はリシャード国には詳しくないのよ。もちろん、リシャード国の両陛下のお名前くらいはわかるけど、令嬢の名前までは覚えていないわ。だから、ジェドが分かる範囲で良いから教えてくれないかしら」
私がお願いすると、ジェドは眉間に皺を寄せて口を開く。
「セナって名前に聞き覚えはないか?」
「リシャード国の?」
「ああ」
「そうね」
リシャード国の両陛下のお名前はセナという名前ではない。
それ以外に、セナと言えば……
「もしかしたら」
「わかったか?」
「……ええ。ジェドが誰のことを言おうとしているのかはわかるわ。だけど、もし、そうだったとしたら色々な意味で信じられないし、女性としての自信をなくすわ」
「レイティアにはレイティア様の良いところがあるだろ。俺はレイティアのほうが可愛いと思う」
「ジェド! あなたにそんなことを言われなれてないから照れるでしょう!」
「じゃあ、言われなれたらいいだろ。毎日、言ってやろうか?」
「いりません!」
近くにあったクッションをジェドに投げると、ジェドは笑いながらそれを受け止めて、私に返してくれた。
「とにかく、機会があれば本人に確認してみたらどうだ? 向こうは俺たちが協力者だということは知っているから話してくれるだろ」
「そうね、そうするわ」
頷いてから、ジェドに毒見役の人を呼んでもらった。
料理に毒が盛られていないか再度、確認してもらってから食事を開始した。
*****
次の日の朝、ショーマ様から呼び出された私は、ジェドと一緒に王城に向かった。
謁見の間の前まで一緒に行けたけれど、ジェドは中に入ることを許してもらえず、私だけ中に入る。
入り口から玉座のある壇上に続く階段の手前まで、赤いカーペットが敷かれていた。
壇上には玉座と王妃陛下用のものと思われる椅子があり、その後ろには王族用の椅子らしきものがいくつか置かれている。
その内の一つに、水色のシュミーズドレス姿のセナ様が足を組んで座っていた。
他の令嬢やイータ様も壇上にいて、イータ様はショーマ様の膝の上に座り、セナ様以外の婚約者たちはショーマ様の足元に座らされていた。
セナ様のほうに、もう一度目を向けると、ドレスの隙間から見える細くて白い足は驚くほどに綺麗だ。
けれど、脹脛には筋肉がついていてたくましくも見える。
セナ様は私と目が合うと、にこりと微笑んでくれた。
そのため私も笑顔を返すと、なぜかショーマ様は自分に向けられたと思ったようだった。
「愛想を振りまいても、もう遅いですよ。あなたには罰を受けてもらいます」
「どうして、私が罰を受けなければならないのでしょうか?」
「あなたは昨日、私に何をしたか覚えていないんですか!」
私がやったんじゃなくてジェドがやったんだけれど、そんなことを言う必要もないので首を傾げてみせる。
すると、ショーマ様は烈火の如く怒り始めた。
「しらばっくれないでください! 何が起きたのかはわかりませんが、まだあなたに殴られたところが痛いのです! 責任を取ってもらいますよ!」
「別に殴ってはいないのですが……。ただ、お怒りのようですし考えさせていただきますわね。あ、そうですわ。その痛みがわからなくなるように、もう一度、気を失わせて差し上げれるというのはどうでしょうか?」
「誰がそんなことを望むというのですか!」
「では、何をすれば良いのでしょうか?」
「……そうですね。私の靴の裏を舐めなさい。そうすれば許してあげても良いでしょう」
「嫌ですわ」
はっきりと答えると、ショーマ様はイータ様を膝から下ろすと、足下に座って俯いていたレミー様の髪を掴んで立ち上がらせた。
「や、やめてくださいっ!」
「恨むなら、そこにいる彼女を恨みなさい。私を怒らせたのは彼女です。連帯責任としてあなたが私を慰めるのです」
そして、レミー様の顎を掴み自分の口元に持っていき、舌を出して舐めようとした。
気持ち悪い。
そう思った私は、とっさにショーマ様に話しかける。
「お待ちください。イータ様はショーマ様がお好きなようですから、他の女性にそんなことをされているのを見られますと嫌な気分になられるのではないでしょうか」
「そ、そうですわ! お兄様! 私以外の女性にそのようなことをしないでくださいまし!」
イータ様はレミー様を押しのけて膝の上に座り、自分の顔をショーマ様の胸に押し付けて訴えた。
「イータは本当に可愛いですね。でも、駄目ですよ、兄妹では結婚できません」
「結婚は出来なくても良いです! 私をお兄様の女にしてくださいませ!」
「イータ、そんなはしたないことを言ってはいけませんよ」
ショーマ様はイータ様の頭を撫でながら言うと、私を見下ろしてにやりと笑う。
「どうやらあなたは、自分以外の人が嫌な目に遭うところを見るのが嫌だという優しい女性のようですね? でしたら、あなたは素直に私の靴を舐め、私に許しを請うべきでしょう。そうすれば、他の女性は嫌な思いをしなくて良いのですよ?」
「申し訳ございませんが、私に出来ることはショーマ様の額の痛みを忘れさせることくらいですわ」
小さく息を吐いて言うと、ショーマ様が尋ねてくる。
「どうやって忘れさせてくれると言うんです?」
「実行させていただけるのでしょうか?」
「かまいませんよ。ただ、痛みを忘れることが出来なかったら、どうなるかわかっているのでしょうね?」
「どうなるのでしょうか?」
「靴を舐めることは勘弁してあげましょう。ただ、私を風呂に入れる役割をあなたに任せましょう」
風呂に入れる役割については、彼の周りをウロウロとしても良い口実になるから、そこまで嫌なことでもないわね。
熱々のお湯をバスタブに張って、どうぞ、と中に入れてあげるのも良いわね。
最初からそっちをしますと言っても良いのだけれど、どうせなら、初めましてのご挨拶代わりに一発入れておきたいわ。
「承知しました。では、ショーマ様のお側に行くことをお許し願えますか?」
「ええ、かまいませんよ。上がってきてください」
10段ほどのワインレッドのカーペットが敷かれた階段を上り切り、ショーマ様から少し離れた場所に立つ。
レミー様たちは今から何が始まるのかと言わんばかりに心配そうな様子で私を見つめている。
セナ様は組んでいた足をほどき、何かあればいつでも介入しようとしてくれているようだった。
ショーマ様に近付く私に、イータ様が尋ねてくる。
「お兄様に何をするつもりですの?」
「ですから、額の痛みを忘れさせることをして差し上げるのです」
「何でしょう。気持ちの良くなることをしてくれるのでしょうか」
下卑た笑みを浮かべるショーマ様にお願いする。
「ショーマ様、申し訳ございませんが、立ち上がっていただいてもよろしいでしょうか。そして、足を広げていただけますと助かりますわ」
「しょうがないですね」
ショーマ様はこれ見よがしに大きくため息を吐いて立ち上がろうとする。
イータ様は不満そうな顔をしながらも彼の膝の上からおりて私を睨んできた。
そんな彼女に笑顔を向けてから、足元にいる女性たちに声を掛ける。
「大丈夫とは思いますが、少しだけ離れた場所に移動していただいてもよろしいでしょうか?」
レミー様たちは不思議そうな顔をしながらも、何も言わずにショーマ様から離れていく。
彼の近くに人がいなくなったことを確認してから、私はショーマ様に向かってカーテシーをする。
「ショーマ様にとって、体験したことのない体験をさせる初めての女性となれましたら嬉しいですわ」
「前置きは良いですから早くしてください」
ショーマ様はいやらしいことでも考えているのか、ニヤニヤと笑いながら急かしてきた。
なので、私も急ぐことにする。
「では、失礼いたします! ショーマ様が額の痛みを忘れられますように願いを込めまして!」
そう言って、私はショーマ様の股間を蹴り上げた。
「――っ!!」
ショーマ様は声にならない声を上げて玉座に倒れ込む。
「いかがでしたでしょう? これで額の痛みは忘れられましたわよね?」
悶絶しているショーマ様を見下ろしながら、私は笑顔で尋ねた。
※
「人の顔色ばかり気にしていた私はもういません」
という新作を投稿しました。
こちらとテイストが全然違いますが、気になる方は読んでいただけますと幸せです。
部屋に戻ってからメイドに食事を運んでもらい、メイドが部屋を出ていったのを確認してからジェドに話しかける。
「面倒なことになったわね」
「そうですね。誰のせいかはわかりませんけれど、まさか大人しく食事をすることも出来ないだなんて思っていませんでした」
「あれは私のせいじゃないわ。それとも、ジェドは素直にあの男に斬られていれば良かったとでも言うの?」
「そのことにつきましては、お守りすることが出来ず申し訳ございませんでした」
ジェドが深々と頭を下げてきた。
入室を許可していなかったから、ジェドはすぐに入ってこれなかったのだと思う。
それにまさか、抜剣するだなんて思ってもいなかったでしょうしね。
相手があそこまで馬鹿だとは私も思っていなかったもの。
ジェドは私の考えなど無視して頭を下げたまま離し続ける。
「レイティア様の騎士として失格」
「ジェド、もういいわ! 私が助けを求めてたのに来てくれなかったんじゃないんだから、今回の件に関しては気にしなくていいから」
「ですが……」
「ジェド、私一人のほうが動きやすい時もあるの。自分で処理しないと解決した気にならないのよ。だから任せてちょうだい。助けてほしい時はちゃんとあなたに助けてと伝えるから。だから、頭を上げて」
私が座っているソファの近くに立っていたジェドは、ゆっくりと頭を上げて私を見る。
「今後、あのような失態は犯しません。寛大なお心でお許しいただきありがとうございます」
「ジェド、2人きりなんだから少しは楽な言葉遣いになってちょうだい。私が落ち着かないわ」
ため息を吐いてからお願いすると、ジェドは困った顔をしたあと、仕事モードからプライベートモードに切り替える。
「レイティアを助けてくれた嬢だけど、リシャード国のセナ様って名乗られていたのか?」
「ええ。変わった人よね。シルバートレイは大事な人から借りていると言っていたけれど、持ち歩いている令嬢なんて初めて見たわ」
「気になることがあるんだよな……」
「どういうこと? ジェドはセナ様に見覚えがあるの?」
「いや。見覚えがあるんじゃなくて、聞き覚えがあるというか……」
「私はリシャード国には詳しくないのよ。もちろん、リシャード国の両陛下のお名前くらいはわかるけど、令嬢の名前までは覚えていないわ。だから、ジェドが分かる範囲で良いから教えてくれないかしら」
私がお願いすると、ジェドは眉間に皺を寄せて口を開く。
「セナって名前に聞き覚えはないか?」
「リシャード国の?」
「ああ」
「そうね」
リシャード国の両陛下のお名前はセナという名前ではない。
それ以外に、セナと言えば……
「もしかしたら」
「わかったか?」
「……ええ。ジェドが誰のことを言おうとしているのかはわかるわ。だけど、もし、そうだったとしたら色々な意味で信じられないし、女性としての自信をなくすわ」
「レイティアにはレイティア様の良いところがあるだろ。俺はレイティアのほうが可愛いと思う」
「ジェド! あなたにそんなことを言われなれてないから照れるでしょう!」
「じゃあ、言われなれたらいいだろ。毎日、言ってやろうか?」
「いりません!」
近くにあったクッションをジェドに投げると、ジェドは笑いながらそれを受け止めて、私に返してくれた。
「とにかく、機会があれば本人に確認してみたらどうだ? 向こうは俺たちが協力者だということは知っているから話してくれるだろ」
「そうね、そうするわ」
頷いてから、ジェドに毒見役の人を呼んでもらった。
料理に毒が盛られていないか再度、確認してもらってから食事を開始した。
*****
次の日の朝、ショーマ様から呼び出された私は、ジェドと一緒に王城に向かった。
謁見の間の前まで一緒に行けたけれど、ジェドは中に入ることを許してもらえず、私だけ中に入る。
入り口から玉座のある壇上に続く階段の手前まで、赤いカーペットが敷かれていた。
壇上には玉座と王妃陛下用のものと思われる椅子があり、その後ろには王族用の椅子らしきものがいくつか置かれている。
その内の一つに、水色のシュミーズドレス姿のセナ様が足を組んで座っていた。
他の令嬢やイータ様も壇上にいて、イータ様はショーマ様の膝の上に座り、セナ様以外の婚約者たちはショーマ様の足元に座らされていた。
セナ様のほうに、もう一度目を向けると、ドレスの隙間から見える細くて白い足は驚くほどに綺麗だ。
けれど、脹脛には筋肉がついていてたくましくも見える。
セナ様は私と目が合うと、にこりと微笑んでくれた。
そのため私も笑顔を返すと、なぜかショーマ様は自分に向けられたと思ったようだった。
「愛想を振りまいても、もう遅いですよ。あなたには罰を受けてもらいます」
「どうして、私が罰を受けなければならないのでしょうか?」
「あなたは昨日、私に何をしたか覚えていないんですか!」
私がやったんじゃなくてジェドがやったんだけれど、そんなことを言う必要もないので首を傾げてみせる。
すると、ショーマ様は烈火の如く怒り始めた。
「しらばっくれないでください! 何が起きたのかはわかりませんが、まだあなたに殴られたところが痛いのです! 責任を取ってもらいますよ!」
「別に殴ってはいないのですが……。ただ、お怒りのようですし考えさせていただきますわね。あ、そうですわ。その痛みがわからなくなるように、もう一度、気を失わせて差し上げれるというのはどうでしょうか?」
「誰がそんなことを望むというのですか!」
「では、何をすれば良いのでしょうか?」
「……そうですね。私の靴の裏を舐めなさい。そうすれば許してあげても良いでしょう」
「嫌ですわ」
はっきりと答えると、ショーマ様はイータ様を膝から下ろすと、足下に座って俯いていたレミー様の髪を掴んで立ち上がらせた。
「や、やめてくださいっ!」
「恨むなら、そこにいる彼女を恨みなさい。私を怒らせたのは彼女です。連帯責任としてあなたが私を慰めるのです」
そして、レミー様の顎を掴み自分の口元に持っていき、舌を出して舐めようとした。
気持ち悪い。
そう思った私は、とっさにショーマ様に話しかける。
「お待ちください。イータ様はショーマ様がお好きなようですから、他の女性にそんなことをされているのを見られますと嫌な気分になられるのではないでしょうか」
「そ、そうですわ! お兄様! 私以外の女性にそのようなことをしないでくださいまし!」
イータ様はレミー様を押しのけて膝の上に座り、自分の顔をショーマ様の胸に押し付けて訴えた。
「イータは本当に可愛いですね。でも、駄目ですよ、兄妹では結婚できません」
「結婚は出来なくても良いです! 私をお兄様の女にしてくださいませ!」
「イータ、そんなはしたないことを言ってはいけませんよ」
ショーマ様はイータ様の頭を撫でながら言うと、私を見下ろしてにやりと笑う。
「どうやらあなたは、自分以外の人が嫌な目に遭うところを見るのが嫌だという優しい女性のようですね? でしたら、あなたは素直に私の靴を舐め、私に許しを請うべきでしょう。そうすれば、他の女性は嫌な思いをしなくて良いのですよ?」
「申し訳ございませんが、私に出来ることはショーマ様の額の痛みを忘れさせることくらいですわ」
小さく息を吐いて言うと、ショーマ様が尋ねてくる。
「どうやって忘れさせてくれると言うんです?」
「実行させていただけるのでしょうか?」
「かまいませんよ。ただ、痛みを忘れることが出来なかったら、どうなるかわかっているのでしょうね?」
「どうなるのでしょうか?」
「靴を舐めることは勘弁してあげましょう。ただ、私を風呂に入れる役割をあなたに任せましょう」
風呂に入れる役割については、彼の周りをウロウロとしても良い口実になるから、そこまで嫌なことでもないわね。
熱々のお湯をバスタブに張って、どうぞ、と中に入れてあげるのも良いわね。
最初からそっちをしますと言っても良いのだけれど、どうせなら、初めましてのご挨拶代わりに一発入れておきたいわ。
「承知しました。では、ショーマ様のお側に行くことをお許し願えますか?」
「ええ、かまいませんよ。上がってきてください」
10段ほどのワインレッドのカーペットが敷かれた階段を上り切り、ショーマ様から少し離れた場所に立つ。
レミー様たちは今から何が始まるのかと言わんばかりに心配そうな様子で私を見つめている。
セナ様は組んでいた足をほどき、何かあればいつでも介入しようとしてくれているようだった。
ショーマ様に近付く私に、イータ様が尋ねてくる。
「お兄様に何をするつもりですの?」
「ですから、額の痛みを忘れさせることをして差し上げるのです」
「何でしょう。気持ちの良くなることをしてくれるのでしょうか」
下卑た笑みを浮かべるショーマ様にお願いする。
「ショーマ様、申し訳ございませんが、立ち上がっていただいてもよろしいでしょうか。そして、足を広げていただけますと助かりますわ」
「しょうがないですね」
ショーマ様はこれ見よがしに大きくため息を吐いて立ち上がろうとする。
イータ様は不満そうな顔をしながらも彼の膝の上からおりて私を睨んできた。
そんな彼女に笑顔を向けてから、足元にいる女性たちに声を掛ける。
「大丈夫とは思いますが、少しだけ離れた場所に移動していただいてもよろしいでしょうか?」
レミー様たちは不思議そうな顔をしながらも、何も言わずにショーマ様から離れていく。
彼の近くに人がいなくなったことを確認してから、私はショーマ様に向かってカーテシーをする。
「ショーマ様にとって、体験したことのない体験をさせる初めての女性となれましたら嬉しいですわ」
「前置きは良いですから早くしてください」
ショーマ様はいやらしいことでも考えているのか、ニヤニヤと笑いながら急かしてきた。
なので、私も急ぐことにする。
「では、失礼いたします! ショーマ様が額の痛みを忘れられますように願いを込めまして!」
そう言って、私はショーマ様の股間を蹴り上げた。
「――っ!!」
ショーマ様は声にならない声を上げて玉座に倒れ込む。
「いかがでしたでしょう? これで額の痛みは忘れられましたわよね?」
悶絶しているショーマ様を見下ろしながら、私は笑顔で尋ねた。
※
「人の顔色ばかり気にしていた私はもういません」
という新作を投稿しました。
こちらとテイストが全然違いますが、気になる方は読んでいただけますと幸せです。
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