19 / 19
番外編 プロポーズへの返事と新たなお話へ
しおりを挟む
「プロポーズのお返事はされたのですか?」
とある日のティータイム。
貴族に人気のあるカフェで向かい側に座っている、他国の公爵夫人であるエレノア様に尋ねられた。
エレノア様には友人がいなかったらしく、旦那様であるシークス様が文通でも良いからと友人になってくれる女性を探しており、その相手に私が立候補して文通を始めてから、約150日になる。
友人になって150日記念ということで、初めてお会いしたエレノア様はチョコレート色の髪を持つ、小柄でとても可愛らしい女性だった。
そんなエレノア様に尋ねられて、私は首を傾げる。
「何の返事でしょうか?」
「プロポーズですよ。手紙に書いてくださっていましたよね?」
「……し、したのではないでしょうか?」
「私に聞かれましても」
エレノア様が真剣な表情で首を傾げるので、少し考えてから答える。
「したような、していないような」
「そ、それは大丈夫なのですか?」
「きっと、ジェドのことですからわかってくれているはずですわ!」
「私が言うのも何なのですが、男性は言わないとわかってくれないことが多いですよ。私の旦那様はすぐに暴走してしまいますので大変です」
「そうなんですね。ですが、プロポーズの返事で暴走することはないと思うのですが」
「断られたと思っていらっしゃったりしないですか?」
「大丈夫だと思うのですが……」
色々なことがありすぎて、すっかり忘れていたわ。
エレノア様に軽くお説教をされて、私はジェドに返事をすることに決めた。
そして、数日後、ジェドが休みの日に私に会いに来てくれたので、談話室に案内してから、早速、プロポーズの返事を切り出す。
「お願いするわ」
「は? 何をだよ」
ソファに腰を下ろしたジェドは眉間にシワを寄せて聞き返してきた。
「プロポーズの返事をしてるんじゃないの」
「お願いするわ、だけでわかるか!」
「じゃあ、もらってあげるわ」
「なんで上からなんだよ」
「夫になって!」
「違うだろ! それ、お前が俺にプロポーズしてるだけだろ!」
ぎゃあぎゃあと久しぶりに子供の頃のように喧嘩をしたあと、お互いに冷静になる。
「緊張しすぎたわ、ごめんなさい」
「俺も悪かったよ」
ジェドはソファの背もたれにもたれかかった後、そのままの状態で聞いてくる。
「で、了承の意を得られたということでいいんだな?」
「お願いします」
素直に頭を下げると、ジェドが嬉しそうな顔をして私を見る。
「こちらこそ、よろしく」
「何だか照れるわ」
「俺もだよ」
「そういえば、ジェドは私のことが好きなのよね?」
「どうしてお前はそういうことを照れずにストレートに聞いてこれるのか知りたい」
「ねぇ、そうなんでしょ? 私は前から好きだったわよ。それが恋愛感情なのかどうかはわかっていなかったけど」
「うるせぇな。俺だってそうだよ!」
テーブルを回り込んでジェドの隣に座ると、彼は焦った顔をする。
「な、なんで隣に」
「お願いがあるのだけど」
「何だよ?」
「あなたと公に婚約発表をしたあとも、結婚しても、私は私のままでいても良いかしら?」
「それは構わない。まあ、子供ができたら落ち着いてほしいけど」
「それはもちろんよ。それまでは良いかしら?」
「ああ。そうじゃないと、結婚できないって言うんだろ?」
ジェドは長い付き合いなだけあるわ。
私のことをよくわかってくれている。
満足して、にっこりと笑みを浮かべた時、談話室の入口付近に置いてある姿見がチカチカと光り始めた。
「な、何なの?」
驚いて声を上げると、ジェドが眉根を寄せて答える。
「友人からの緊急連絡だ。レイティアのことも紹介するから応対して良いか?」
「緊急連絡ならもちろんよ! というか、どういうことなの?」
「詳しい説明は後でする」
そう言って、ジェドが鏡の前に立つと、鏡にはジェドではなく、整った顔立ちの男性が映った。
「ダニエル殿下、どうかされましたか?」
その後、ジェドの友人で、フルージア国の王子であるダニエル殿下から話を聞いた私たちは、レフェクト王国の公爵令息を助けるために、慌てて家を出ることになるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
番外編をお読みいただき、ありがとうございました!
この続きは「国外追放された令嬢は追放先を繁栄させるために奔走する」になります。
ヒロインやヒーローは別で、サブキャラにはなりますが、がっつり出てまいりますので、読んでいただけましたら幸いです。
とある日のティータイム。
貴族に人気のあるカフェで向かい側に座っている、他国の公爵夫人であるエレノア様に尋ねられた。
エレノア様には友人がいなかったらしく、旦那様であるシークス様が文通でも良いからと友人になってくれる女性を探しており、その相手に私が立候補して文通を始めてから、約150日になる。
友人になって150日記念ということで、初めてお会いしたエレノア様はチョコレート色の髪を持つ、小柄でとても可愛らしい女性だった。
そんなエレノア様に尋ねられて、私は首を傾げる。
「何の返事でしょうか?」
「プロポーズですよ。手紙に書いてくださっていましたよね?」
「……し、したのではないでしょうか?」
「私に聞かれましても」
エレノア様が真剣な表情で首を傾げるので、少し考えてから答える。
「したような、していないような」
「そ、それは大丈夫なのですか?」
「きっと、ジェドのことですからわかってくれているはずですわ!」
「私が言うのも何なのですが、男性は言わないとわかってくれないことが多いですよ。私の旦那様はすぐに暴走してしまいますので大変です」
「そうなんですね。ですが、プロポーズの返事で暴走することはないと思うのですが」
「断られたと思っていらっしゃったりしないですか?」
「大丈夫だと思うのですが……」
色々なことがありすぎて、すっかり忘れていたわ。
エレノア様に軽くお説教をされて、私はジェドに返事をすることに決めた。
そして、数日後、ジェドが休みの日に私に会いに来てくれたので、談話室に案内してから、早速、プロポーズの返事を切り出す。
「お願いするわ」
「は? 何をだよ」
ソファに腰を下ろしたジェドは眉間にシワを寄せて聞き返してきた。
「プロポーズの返事をしてるんじゃないの」
「お願いするわ、だけでわかるか!」
「じゃあ、もらってあげるわ」
「なんで上からなんだよ」
「夫になって!」
「違うだろ! それ、お前が俺にプロポーズしてるだけだろ!」
ぎゃあぎゃあと久しぶりに子供の頃のように喧嘩をしたあと、お互いに冷静になる。
「緊張しすぎたわ、ごめんなさい」
「俺も悪かったよ」
ジェドはソファの背もたれにもたれかかった後、そのままの状態で聞いてくる。
「で、了承の意を得られたということでいいんだな?」
「お願いします」
素直に頭を下げると、ジェドが嬉しそうな顔をして私を見る。
「こちらこそ、よろしく」
「何だか照れるわ」
「俺もだよ」
「そういえば、ジェドは私のことが好きなのよね?」
「どうしてお前はそういうことを照れずにストレートに聞いてこれるのか知りたい」
「ねぇ、そうなんでしょ? 私は前から好きだったわよ。それが恋愛感情なのかどうかはわかっていなかったけど」
「うるせぇな。俺だってそうだよ!」
テーブルを回り込んでジェドの隣に座ると、彼は焦った顔をする。
「な、なんで隣に」
「お願いがあるのだけど」
「何だよ?」
「あなたと公に婚約発表をしたあとも、結婚しても、私は私のままでいても良いかしら?」
「それは構わない。まあ、子供ができたら落ち着いてほしいけど」
「それはもちろんよ。それまでは良いかしら?」
「ああ。そうじゃないと、結婚できないって言うんだろ?」
ジェドは長い付き合いなだけあるわ。
私のことをよくわかってくれている。
満足して、にっこりと笑みを浮かべた時、談話室の入口付近に置いてある姿見がチカチカと光り始めた。
「な、何なの?」
驚いて声を上げると、ジェドが眉根を寄せて答える。
「友人からの緊急連絡だ。レイティアのことも紹介するから応対して良いか?」
「緊急連絡ならもちろんよ! というか、どういうことなの?」
「詳しい説明は後でする」
そう言って、ジェドが鏡の前に立つと、鏡にはジェドではなく、整った顔立ちの男性が映った。
「ダニエル殿下、どうかされましたか?」
その後、ジェドの友人で、フルージア国の王子であるダニエル殿下から話を聞いた私たちは、レフェクト王国の公爵令息を助けるために、慌てて家を出ることになるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
番外編をお読みいただき、ありがとうございました!
この続きは「国外追放された令嬢は追放先を繁栄させるために奔走する」になります。
ヒロインやヒーローは別で、サブキャラにはなりますが、がっつり出てまいりますので、読んでいただけましたら幸いです。
101
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(90件)
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される
黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」
無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!?
自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。
窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
婚約者として五年間尽くしたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
婚約破棄?いいですよ。ですが、次期王を決めるのは私ですので
水中 沈
恋愛
「コメット、今ここで君との婚約を破棄する!!」
建国記念パーティーの最中、私の婚約者であり、第一王子のエドワードは人目も気にせずに大声でそう言った。
彼の腕には伯爵令嬢、モニカがべったりとくっついている。
婚約破棄の理由を問うと、モニカを苛めた悪女と結婚する気は無い。俺は真実の愛を見つけたのだ!とのたまった。
「婚約破棄ですか。別に構いませんよ」
私はあっさりと婚約破棄を了承し、書類にサインをする。
(でもいいのかしら?私と婚約破棄をするってことはそういう事なんだけれど。
まあ、本人は真実の愛とやらを見つけたみたいだし…引き留める理由も無いわ)
婚約破棄から数日後。
第二王子との結婚が決まった私の元にエドワードが鬼の形相でやって来る。
「この悪女め何をした!父上が弟を次期王にすると言い出すなんて!!
お前が父上に良からぬことを吹き込んだだろう!!」
唾をまき散らし叫ぶ彼に冷めた声で言葉を返す。
「まさか。
エドワード様、ご存じないのですか?次期王を決めるのは私ですよ」
王座がいらない程焦がれる、真実の愛を見つけたんでしょう?どうぞお幸せに。
真実の愛(笑)の為に全てを失った馬鹿王子にざまぁする話です。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
感想をありがとうございます。
強いヒロインを書くのが、とても楽しいです✨
性格が自分に似ているからか、書きやすいのもあります。
楽しんでもらえたなら嬉しいです!
申し訳ございません!
タイトル変わってました!
「国外追放〜」ではなく、「追放された〜」でファンタジージャンルです。
第二部の途中で更新が停まってるのに気づきました😱
こちらにも足を運んでいただき、ありがとうございます✨
この話は「だって愛してませんもの!」の続きですので、結婚はできてませんね😱
仕事はまだ跡継いでないから大丈夫……なはず?
最後までお読みいただきありがとうございました✨