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31、断罪の前夜 2
しおりを挟む夜遅く報告に来たトマスに話を聞き、明日行われる議会について話しをした。
今後の兄上の事を知った上で動いた方が良いだろうとの判断だ。
「彼女は…ミレーユとは話が出来たか?」
本人にとっては知らず知らずの内に巻き込まれていた形になってしまったが、なんとか彼女の意思を汲んで、なるべく意に沿うような今後にしてやりたい。できれば俺の傍で…前世のように伴侶として迎えられたら……って、前世では結婚前に死んだんだった…なんて一人ノリツッコミをしてトマスの話しを聞く。
「おっしゃられた言葉をそのままお伝えいたします」
そう言って、彼女が今回の処遇について話してくれたことをそのまま…ほんとにそのまま話してくれた。
●○●○
「ミレーユ様、夜分遅く申し訳ございませんが少々御身にかかる事がございますので、お話する時間を頂けないでしょうか?」
殿下の指示が下り、急ぎ魔法を使いミレーユ様が居住している街へと扉を開いた。
そう……私、トマスの魔法はあの扉を潜ると何処にでも行けるドアが使える事。
間抜けなことにその昔、調整者と呼ばれる方を偶然呼び出してしまい、私は慌ててしまった。
「何処にでも行ける方法と…早死はしたくない」
慌てた上に、頭の中がごちゃごちゃで思わず出てしまったのがこれだった。
結果、瞬時に浮かんだこのドア型の魔道具と、長命な身体を得てしまった。ちなみに、このドアはペンダントの中に収納でき、地図で確認できる場所なら自分が行った場所でなくても行ける。とても便利なように見えるが…難点が一つ。私一人しか使えない……荷物や動物はカウントされないが、人は自分しか通れない……微妙な能力だと思ったけれど、割り切ってしまえばとても便利だった。今日のこんな感じで。
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