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66、惑うココロ
しおりを挟む王城から逃げ出してきてしまった。
殿下から……彼から改めてプロポーズされ、将来背負うであろう『王妃』という職務の重要さを重々承知で了承の返事をした。以前王太子教育の課程は終了していたこともあり、思っていたより王妃教育もスムーズに進んでいたある日、なんとはない会話の中でぽつりともたらされた言葉。
「お二人が仲睦まじいのは良いことです。お世継ぎとなるお子様とそれを補佐するお子様。早目にもうけて頂けると、いらぬお世話をしなくてよくなるので……」
悪気はなかったのだと思う。
後継者問題は、どの時代でもどの場所でも無くならない問題だ。貴族なら最悪養子や婿という手もあるけど、王族はそうはいかない。
「側妃のことも考えなくてはいけませんので……」
サラッと言われた言葉だったけれど、私にはとてもサラッと聞ける内容ではなかった。
「側妃……」
その後の会話は何も頭に入らず……何か言われた気もしたけれど、その後は上の空で終わった。
「好きな人を共有?」
『側妃』…制度としては理解しているけど、私には違和感でしかない制度。
「耐えられないかも……」
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