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呪殺師は可愛い男の子が好き

指導室2

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「ねえ、社君。先生じゃ頼りにならないのかもしれないけれど、守秘義務に反しない範囲で悩みを打ち明けてくれないかな?」

 この人、見かけと違って優しいんだな。

「はあ、それなら」

 少し考えを整理してから僕は話し始めた。

「協会には、霊能者の指名制度がありまして、昨日、僕はある人に指名されてしまったのです」
「どんな人に?」
「名前は言えませんが、凄く怖い人です」
「怖い人なの?」
「ええ。僕も噂ぐらいは聞いていたのですが、冷酷で残忍な殺人鬼だと」
「殺人鬼? いや、人を殺したら警察に捕まるけど」
「それが、その人は警察に捕まらない特殊な方法を使っているのです」

 呪いとは言っていないから、これなら守秘義務に反しないよね。

「噂によれば、熊のような大男で、顔中ヒゲだらけで、殺した相手の血肉をむさぼり食うことを至上の喜びにしているとか……」

 あれ? 先生の顔がひきつっている。そうか。先生も話を聞いて怖くなったのだな……

「そ……それは恐ろしい人ね。でも、噂なのでしょ?」
「ええ。噂です。でも、噂以上に怖い人かもしれないし、向こうは僕の個人情報を握っているので、逃げることもできないのです」
「そ……そうなの? で、行かなくても何もないのじゃないかな?」
「いえ、怒らせたら、きっと僕は殺されます」
「逃げることはできないの?」
「無理でしょう。相手は式神を使えるので、どこまでも追ってきます」
「式神?」
「あ! 先生、式神なんて信じないですか?」
「え? いや、式神でしょ。信じるも何も私も……いやいや何でもないわ」

 え? 先生、何を言いかけたのだろう?

「つまり、社君は怖い式神使いと、明日対決しなきゃならないのね」
「まあ、そんなところです」
「社君は、どんな能力を持っているの? 憑依させる以外で」
「僕は霊が見えて話ができるだけで、戦う力なんてありません。なんで、僕なんかを指名するのか」
「ううん、それは……可愛いからじゃないかしら?」
「風俗じゃないのですよ」
「それもそうね。とにかく、式神が相手なら、良いものがあるわ」
「良いもの?」
「シロートでも、式神と戦える武器が」

 そう言って、先生がトートバックから取り出したのは……

「これ、エアガンでは」
「そう。ただのエアガン。でもね」

 先生はBB弾の入ったビニール袋を、トートバックから取り出した。

「これは?」
「このBB弾は特殊よ。ぼん字が彫り込んであるの」
「それ、式神に効くのですか?」
「効くわよ。明日は、これを持って行きなさい」
「はあ」

 しかし、先生は普段からこんな物持ち歩いているのだろうか? 


 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆

ヒョー=氷室先生「熊のような大男で、顔中ヒゲだらけで、殺した相手の血肉をむさぼり食うことを至上の喜びにしているだと! 誰だ!? そんなデマ流した奴は! 呪うぞ!」
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