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地獄へ落ちろ①
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唇から柔らかなものがふっと離れる。
ゆっくりと目を開けるとそこには見慣れた王宮の一角だった。
「さて、行くとしよう」
「あの、別に事務室まで送ってくださらなくていいんですよ?ライオネス様の執務室とは逆方向ですし」
「いや、問題ない」
最近ライオネスは登城するとエアリスを事務室まで送った後に自分の執務室に向かう。
お陰でラブラブな2人と思われ、周囲からは生暖かい目で見られるため、少し居心地が悪い。
星空を見た夜以降はつっけんどんな態度はとられてないし、眉間の皺も少なくなり大分普通の態度になってきた。
それに世間話もできるようになったので一緒に居て苦痛は無くなったのでいいのだが。
「じゃあ、私はここで」
「エアリス!」
「なんでしょうか?」
「その…男からの贈り物などはあまり不用意に受け取らないほうがいい。この間も菓子を貰っていただろう」
「残業手伝ってあげたお礼ですよね?」
「この間の様に見知らぬ男と2人きりになることは止めた方がいい」
「それは道案内していただけですよね?」
「だが、男というものは勘違いするものだからな」
何を言わんとしているのかさっぱり分からない。
首を傾げるエアリスにライオネスは強い口調で言った。
「君は自分の容姿が分かっているのか?そんな色の服で…男が…寄って来てしまうじゃないか…」
「え?あの、後半が聞えないのですが」
「最近の君は、その…綺麗になったというか…」
「すみません。もう一回言っていただけますか?よく聞こえなくて…」
「とにかく!気を付けてくれ」
そのままずんずんとライオネスが去って行ってしまった。
それを呆気にとられて見送ったエアリスは脳内で先ほどのライオネスの言葉の意味を考えていた。
容姿、そんな服、気を付けろ
これらの単語から導かれるのは…
「容姿が悪いのにそんな似合わない服を着るのは気を付けた方がいい」
ってことかもしれない。
(私の容姿が駄目だってこと?それは…凹むわ)
実は最近エアリスは容姿端麗なライオネスと釣り合うようにささやかながらお洒落を頑張っているのだ。
それもこれも最近のライオネスの態度のせいた。
結婚してからのライオネスは今まで見たことのない一面を見せてくれる。
柔らかい表情や微笑み、蕩けるような眼差しに心配そうな顔などその表情に目が離せなくなっている。
そしてトドメは流星を見た時だ。
大きな手や耳に掛かった吐息、掠れた声、抱きしめる腕の力、握った手の温もり…
それらを思い出すたびに顔が火照ったようになってしまう。
この感情が好きなのかは分からないが、少しでも自分に好意を持って欲しくて努力していたのだが、全く無意味だったのを思い知った。
エアリスはため息をつきながら事務室へと入った。
ゆっくりと目を開けるとそこには見慣れた王宮の一角だった。
「さて、行くとしよう」
「あの、別に事務室まで送ってくださらなくていいんですよ?ライオネス様の執務室とは逆方向ですし」
「いや、問題ない」
最近ライオネスは登城するとエアリスを事務室まで送った後に自分の執務室に向かう。
お陰でラブラブな2人と思われ、周囲からは生暖かい目で見られるため、少し居心地が悪い。
星空を見た夜以降はつっけんどんな態度はとられてないし、眉間の皺も少なくなり大分普通の態度になってきた。
それに世間話もできるようになったので一緒に居て苦痛は無くなったのでいいのだが。
「じゃあ、私はここで」
「エアリス!」
「なんでしょうか?」
「その…男からの贈り物などはあまり不用意に受け取らないほうがいい。この間も菓子を貰っていただろう」
「残業手伝ってあげたお礼ですよね?」
「この間の様に見知らぬ男と2人きりになることは止めた方がいい」
「それは道案内していただけですよね?」
「だが、男というものは勘違いするものだからな」
何を言わんとしているのかさっぱり分からない。
首を傾げるエアリスにライオネスは強い口調で言った。
「君は自分の容姿が分かっているのか?そんな色の服で…男が…寄って来てしまうじゃないか…」
「え?あの、後半が聞えないのですが」
「最近の君は、その…綺麗になったというか…」
「すみません。もう一回言っていただけますか?よく聞こえなくて…」
「とにかく!気を付けてくれ」
そのままずんずんとライオネスが去って行ってしまった。
それを呆気にとられて見送ったエアリスは脳内で先ほどのライオネスの言葉の意味を考えていた。
容姿、そんな服、気を付けろ
これらの単語から導かれるのは…
「容姿が悪いのにそんな似合わない服を着るのは気を付けた方がいい」
ってことかもしれない。
(私の容姿が駄目だってこと?それは…凹むわ)
実は最近エアリスは容姿端麗なライオネスと釣り合うようにささやかながらお洒落を頑張っているのだ。
それもこれも最近のライオネスの態度のせいた。
結婚してからのライオネスは今まで見たことのない一面を見せてくれる。
柔らかい表情や微笑み、蕩けるような眼差しに心配そうな顔などその表情に目が離せなくなっている。
そしてトドメは流星を見た時だ。
大きな手や耳に掛かった吐息、掠れた声、抱きしめる腕の力、握った手の温もり…
それらを思い出すたびに顔が火照ったようになってしまう。
この感情が好きなのかは分からないが、少しでも自分に好意を持って欲しくて努力していたのだが、全く無意味だったのを思い知った。
エアリスはため息をつきながら事務室へと入った。
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