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  顔合わせに向けて私は、前髪を切った。少しまぶしい……

「リリアーナは、顔を出した方がかわいいよ」

「お兄様そういうことは、他の家のお嬢さん達に言って下さい」

「お嬢さんねえ。リリアーナのかわいいお友達紹介してよ」

「私にお友達は、いませんよ」

「ああ……そうだったね。ごめん。ごめん」

  最近お兄様は、どんどん私に対して失礼なっていく気がする。
  いや、必死過ぎて空回りをしているのか。
  今の私はまだ、そんなに落ち込んでいるように見えるのだろうか。

「そういえば、明日公爵家に行くんだって?  俺も行きたいな」

「そうですか。では、私の代わりに行きます?  ドレスを着て」

  さっきの仕返しだ。私は、ニヤリと笑う。

「いいのかい。あーでも、リリアーナのドレスはサイズが小さくて着れないなあ。残念だ」

  私の嫌味を笑顔でかわしたお兄様。
  ダメだ。お兄様には勝てない。
  それにしても、最近のお兄様はふざけ過ぎだ。
  私が元気になれば、お兄様はいつも通りに戻るだろう。

  顔合わせ当日。私は、若草色のドレスを着た。この色は明るい色だが、エルーシアの好みではないようで奪われにくい、素晴らしいドレスなのである。

  お父様やお母様と共に、公爵家に着いた。
  大きな屋敷で驚いた。これが、公爵家の財力か。

「プラメル伯爵家の方々ですね。お待ちしておりました」

  執事らしき方に客間まで案内してもらう。
  少し経って、公爵家の方々が室内に入ってきた。

「プラメル伯爵家の皆さんお待たせしました。今日は、公爵家までお越しいただきありがとうございます。セオドリック・リーベルと申します。妻のナディアと息子のクラウスです」

「ナディアと申します。よろしくお願いいたします」

「クラウスと申します。よろしくお願いいたします」

  クラウス様は、金髪で私より頭一つ分大きいくらいの少年だった。
  公爵も公爵夫人も普通体型なのに、クラウス様だけは全体的にパンパンに膨れていた。

  伯爵家の私達も挨拶も済ませ、話をする。公爵とお父様は、知り合いだったようで、仕事の話などで盛り上がっていた。

  公爵夫人とお母様は、クラウス様や私に質問をして、話し易いようにしてくれたが、話が盛り上がらない。

  みかねた、公爵夫人がパッと手を叩いた。

「ねえ、クラウス。リリアーナちゃんを、バラ園に案内してきてくれる?」

「分かりました。母上。リリアーナ嬢、私と一緒にバラを見に行きませんか?」

「ええ、喜んで」

  やっと、外に出ることが出来て嬉しくなり、私は自然と笑顔に答えていた。

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