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第三章

15 主

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「あの、団長とはどのようなご関係なのでしょう?」
レインが菖蒲に他のワインを手渡しながら問うと、
「ただの幼なじみであり、そして翠蓮は俺たちの『主』だ。一旦任務に就くと主従関係になる」
「えっ?『主』」
「俺はこいつらの頂点に立つ人間なんだよ。なのにいきなりそっちの世界に連れて行かれて、本当にまいったわ・・・・・・」
俺は頬をかき、だけど、と言葉を繋げる。
「こっちの世界には信頼できるこいつらがいるから、ま、いっかと思っていたし、こちらの世界に戻れることも早い段階で知っていたから、別段気にも留めなかったけどな」
「はぁ~~・・・・・・・」
「ま、どうでもいいだろう。てか、ホテル予約・・・・・・と言っても、お前らこの世界の言葉話せないんだよな~」
「「「「「「えっ??????」」」」」」
「俺たちは神獣様の加護があるから会話を理解できるが、お前たちは『精霊の加護』とは言いながら実際には加護ではなくて、力を借りているだけにすぎないんだ」
って、言ってもわからんわな~~~~~。
フィルハートの者たちは皆一様に「?」を顔に描いている。
「精霊が見えるのと見えないのとでは違うと言うことだ。見ることが出来ると言っても『常に』見えていないと意味がない。現在精霊の姿が見えるというのは精霊が「見せている」からだ」
「「「「「「・・・・・へ~~~~」」」」」」
「って!!そんな反応なのか、お前ら?」
「いや、だって、そんなこと言われてもどうやったら常に見えるようになるのかわからんし、多分俺には一生見ることが出来ない気がするし」
アルバート、それは正解!!!
こいつには「素質がない」のが訓練を通してわかりきっていた。
精霊に愛されているのは確かだが、本人が鈍感なのかなんなのか、空間の『質』を認識できないのだ。
『殺気』や『怒気』などを向けられれば、騎士であるため反応は示すが、『喜』と『楽』はこいつにとっては「通常」なので、まーーーーーたくとわからないそうだ。
レイが前に「喜んでいるのに怒っていると勘違いされました」と言って俺の胸でシクシク泣いたこともあったな~~~。
ん?この話は誰にもしてないから、俺とレイだけの秘密だけど。
本当に鈍感で恋人の気持ちが分からない奴なんだ!!!
ぐぬっ!!
「ってーーーーーーーーーーーーーっ!!何で殴るんだよっ、スイ!?」
つい手が出てしまった。
うん、本当に
「つい?」
「つい、で殴られてたまるかーーーーーーーーーーーー」
マンションの一室はアルバートの怒声で揺れましたとさ。
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