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第八章 過酷な試練

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そして、三国組も潰される。

組長として、それだけは阻止しなくてはいけない。

勝てない相手との闘いはやるべきではない。

加子を連れて逃げる選択肢も考えた。

しかし、そんな俺と一緒にいることが、果たして加子にとって幸せなのか。

父親が亡くなった今、加子を支え、人生を歩いていく相手は、林田ではないか。

いくらひどい男でも、林田の妻である以上、堅気の生活はまもられる。

俺との逃げ続ける人生より、幸せなんじゃないのか。

蓮也はそう考えはじめた。

そして、マンションに戻り、加子に偽りの気持ちを伝えた。

「おかえりなさい」

「親父さんのこと、聞いた、加子、林田の元に戻れ」

加子は驚きの表情を見せた。

「このままでは三国組の連中もなにをされるかわからない、林田の元に戻れ」

「でも、私は蓮也さんと一緒にいたいです」

「わからないのか、それならはっきり言ってやる、迷惑なんだよ、お前に好かれるのが」

「そんな……」

「厄介な女を愛する気持ちはない、俺ははじめからお前を愛していない、子供も堕ろせ」
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