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第十六章 葉月の精神が壊れた

富樫の激しい嫉妬

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「冨樫さん、私は……」

「葉月、俺はお前を愛している、お前が他の男に抱かれても、お前の中に俺がいなくても、
俺はお前を手放す気持ちはない、お前は生涯、俺の妻だ、覚えておけ」

冨樫は葉月に告げると、葉月を抱えて、エントランスを出ようとした。

「待て、冨樫」

丸堂が冨樫の背中に声をかけた。

「今日の夜まで、葉月は俺のものだ、勝手に連れていっては困る」

「彼女の借金さえ払えば、葉月は関係ないだろう、これ以上葉月を
お前の側にいさせるわけにはいかない、お前を殴りたい気持ちを
抑えている俺を、これ以上掻き乱さないでくれ」

葉月を抱き抱えている冨樫の腕から怒りを感じた葉月だった。

冨樫さんは、言葉は優しいけど、私が勝手なことをして、丸堂さんと

一夜を共にしたことを怒ってる。

冨樫は葉月と共にその場を後にした。

丸堂は何も言えなかった。

しかし、葉月を諦められない気持ちが大きくなっていった。

冨樫は葉月を車に乗せ、発進させた。

冨樫は一言も話さない。

運転する横顔からは、怒りよりも哀しみを感じる葉月だった。

「冨樫さん、勝手なことをしてごめんなさい」

冨樫は葉月に対して、一言もない。

マンションに戻ると、ヤスシが出迎えてくれた。

「姐さん、申し訳ありません」

「大丈夫よ、彼女さんの借金は、冨樫さんが払ってくれることになったの」

「組長、申し訳ありません」

「ヤスシ、悪いが、彼女を連れて自分のマンションに帰ってくれ」

「はい、失礼します」

ヤスシは彼女を連れてマンションを後にした。

「葉月、シャワーを浴びてこい」

「はい」

葉月はシャワールームに向かった。

冨樫さん、怒ってるよね。

葉月がシャワールームから出てくると、葉月の部屋に入るように促された。

そして、冨樫は部屋に外から鍵をかけた。

「冨樫さん、開けてください、私、許されないことをしたんですよね、
謝って許されないと自覚しています、だから冨樫さんの妻でいる資格ははないです、だから……」

「だから、出て行くとでも言うのか、お前は丸堂を愛したのか」

「違います」

「愛していないけど、丸堂に抱かれ、感じて、最高潮に達したのか」

「違います」

「俺と別れたいのか」

「そんなこと思っていません、でも……」

ドアの向こうから、冨樫のすすり泣く声が聞こえ、ガタンと音がした。

ドアにもたれかかり崩れ落ちる姿が、想像出来た。

「葉月、俺は愛しているお前に、ひどい仕打ちをしている自覚はある、
でも、どうしていいかわからない、お前を生涯監禁して、誰にも触れさせたくない、
俺を許してくれ」

冨樫はドアから離れた。

「冨樫さん、ごめんなさい、ごめんなさい」

葉月は泣き崩れた。

俺は何をしているんだ、これじゃあ、山辺と何一つ変わりないじゃないか。

でも、葉月から自分を離さないと、俺は葉月を犯して、壊してしまいそうだ。

葉月は床に崩れ落ちてそのまま眠ってしまった。

冨樫は望美とのことを思い返していた。

はじめて望美を紹介された時、すごく惹かれた。

極道の孫娘とのことで、俺はすぐに望美を抱いた。

激しく、荒々しく、まるで犯しているかのように……

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