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第二十章 極道の怖さ

丸堂と葉月

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「冨樫組長とも連絡が途絶えて、組員の方々が必死に行方を追っています」

「わかった」

丸堂は由子が冨樫に熱を上げてることも、葉月を疎ましく思っていることも知っていた。

白金組に探りを入れた丸堂は、葉月が拉致されたことを突き止めた。

そして、葉月を助け出した。

葉月をマンションへ送っていったのは、実は丸堂だった。

「葉月、大丈夫か」

「丸堂さん?」

「覚えてくれていたか」

葉月にはぼんやりだが、丸堂の姿を確認出来ていた。

「目の具合はどうだ、少しは視力は回復しているのか」

葉月は丸堂には本当のことを話してもいいだろうと判断した。

「実はぼんやりとですが、見えるようになりました」

「そうか、それはよかった、冨樫は喜んでいただろう」

丸堂の言葉に葉月の反応が良くないことに、丸堂は直感した。

「冨樫に視力の回復のこと話してないのか」

「また、嫉妬や監禁が始まるんじゃないかと思うと、言い出せなくて」

「そうか」

「でも、私が目が見えない状態だと、すごく優しいんです、いつも側にいてくれますし……」

「いつも側にいてくれるのに、どうして葉月は拉致されたんだ」

「それは……」

葉月は何も言えなかった。

「白金組お嬢白金由子が冨樫にぞっこんみたいだな」

葉月は俯いた。

「頻繁に食事して共に過ごしているらしいな」

葉月の反応に丸堂は驚いた。

「お前、知っていたのか」

「組の付き合いだからと言って出かけていきます」

「お前は嫉妬はしないのか」

「そんなことはありません、私だって、嫌なことはあります」

「なぜ、冨樫に伝えないんだ」

「それは……」

丸堂は大きなため息をついた。

「冨樫さんにとって、私は足手まといなんじゃないかって」

「どうしてそう思うんだ」

「目が見えないし、それに簡単に拉致されちゃうし」

「あのな、惚れた女を守るのは当たり前だろう、守れねえようなら極道失格だ」

葉月は言葉を失った。

「俺のところにこい、俺がお前を守ってやる」

「そんなこと出来ません」

その瞬間、葉月は丸堂からお腹に拳を受けて気絶した。

すまん、葉月、俺はお前をここに置いていけない。

葉月は丸堂に拉致されたのだった。

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