お前の身も心も捧げろ〜極道の寵愛は止められない

第二十二章 西沢の優しさに触れて

偽りの想い

「葉月、俺はお前を守っていく、例えお前の中に俺がいなくてもな」

「西沢さん」

「よし、このドレスがいいな、すごく綺麗だぞ、葉月」

葉月の顔は自然と綻んだ。

そして、組長の集まり、今回はパーティ形式になっていたので、正装して出席となった。

葉月は緊張していた。

着なれないドレスと、西沢の同伴と言うこともあり、一番は冨樫と久しぶりに会える喜びに

胸が躍った。

車から降りると、西沢にエスコートされ、パーティ会場へ入った。

それぞれの組長と同伴者が出席だが、中には若頭が組長の代行で出席の組もいた。

「葉月、俺の側を離れるな、ただでさえ、お前は魅力的だ、それにも増して今日は、
更に美しい、いいな」

「西沢さん、そんなに誉めて頂くと恥ずかしいです」

西沢は葉月の腰に手を回して、エスコートしてくれた。

同伴の女性はいないなどと言っていたが、慣れた対応に葉月は驚いていた。

「西沢組長、お久しぶりですな、それに今日は一段とお美しい女性とご一緒で羨ましい限りです」

「自分の生涯のパートナーにと口説いているところです」

いやだ、西沢さんったら。

その時、私の視界に冨樫さんが映った。

心臓がドキドキして、顔が綻んだ。

でも次の瞬間、冨樫さんの腕に手を回して、寄り添っている女性が現れた。

あの人が白金組のお嬢由子さん。

そして、冨樫さんの結婚相手。

あっ、そう言えば私、離婚届にサインしてなかった。

そんなの極道の世界ではさほど関係ないのかもしれない。

葉月が視線を冨樫に向けると、冨樫も葉月の視線に気づいて、葉月を見つめた。

葉月、元気そうでよかった、でもなんでここにいるんだ。

その時、葉月に寄り添っている西沢の姿をとらえた。

西沢の同伴者として出席しているのか。

えっ？西沢の元にいるのか。

「雅也、どうしたの」

「いや、なんでもない」

「そろそろ、皆さんに挨拶してちょうだい」

「わかった」

冨樫は葉月がマンションを後にしたから、由子の元に足を運んだ。

「俺はお前と結婚する、そして、白金組と金子組統一の頂点に立つと約束する」

「雅也、ほんとうなの？あの葉月って女とは別れてくれるのね」

「ああ、すでに追い出した、あとは書類上の問題だ」

「嬉しい、私、今日から雅也のマンションへ引っ越すわ」

そして、冨樫と由子は暮らし始めたのだった。

毎晩由子は冨樫を求めた。