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第二十五章 雅也の真実の愛

俺は葉月にとって危険な男だ

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『冨樫は嫌がる葉月を押さえつけて、無理矢理自分自身を入れた。
「痛い、冨樫さん、赤ちゃんが、やめて」
「他の男の子供などいらん、お前はその男を愛しているのか、絶対に許さない」
冨樫は暴走した。
葉月は強い刺激を与えられて、子宮が収縮し、激痛に襲われた。
「助けて、お腹が痛い」
その言葉に冨樫は我に返った。
「葉月、葉月」
葉月は救急車で病院に搬送された。
葉月は流産してしまった。
受精卵の着床が安定しておらず、強い刺激には注意するように言われていたにも関わらず、
相当の強い刺激に受精卵は溜まりかねて流れたのだ。
葉月が目を覚ますと、ベッドの横には項垂れている冨樫の姿があった。
「赤ちゃんは大丈夫でしたか」
葉月の言葉に顔を上げた冨樫は、力無い言葉でこう言った。
「ダメだった、ごめん、俺の責任だ」
「そうですか」
「俺は嫉妬した、葉月が俺以外の男の子供に愛情を注いでいることに」
葉月はなんでもっと早くあなたの子供ですと伝えなかったのかと後悔しても仕切れなかった。
もしかして、自分は冨樫の側にいる人間ではないんじゃないか。
そんなことを考えていた。
「私は冨樫さんの子供だから愛情を注いだんです」
葉月がポツリと言った言葉に驚きを隠せない冨樫だった。
「俺の子供?」
葉月は冨樫に背を向けた。
「葉月、何でそれを早く言ってくれなかったんだ」
葉月は毛布を頭までかぶり泣いていた。
俺はなんてことを……
葉月を何で信じてやれなかったんだと後悔していた。』



そして、葉月を監禁してしまったこともあった。

『葉月がシャワールームから出てくると、葉月の部屋に入るように促された。
そして、冨樫は部屋に外から鍵をかけた。
「冨樫さん、開けてください、私、許されないことをしたんですよね、
謝って許されないと自覚しています、だから冨樫さんの妻でいる資格ははないです、だから……」
「だから、出て行くとでも言うのか、お前は丸堂を愛したのか」
「違います」
「愛していないけど、丸堂に抱かれ、感じて、最高潮に達したのか」
「違います」
「俺と別れたいのか」
「そんなこと思っていません、でも……」
ドアの向こうから、冨樫のすすり泣く声が聞こえ、ガタンと音がした。
ドアにもたれかかり崩れ落ちる姿が、想像出来た。
「葉月、俺は愛しているお前に、ひどい仕打ちをしている自覚はある、
でも、どうしていいかわからない、お前を生涯監禁して、誰にも触れさせたくない、
俺を許してくれ」
冨樫はドアから離れた。
「冨樫さん、ごめんなさい、ごめんなさい」
葉月は泣き崩れた。
俺は何をしているんだ、これじゃあ、山辺と何一つ変わりないじゃないか。
でも、葉月から自分を離さないと、俺は葉月を犯して、壊してしまいそうだ。
葉月は床に崩れ落ちてそのまま眠ってしまった。』





俺は葉月に取って危険な常識はずれな男だ。

お前の側にいるべき男ではないのかもしれない。

でもお前と巡り合ったことを、俺は神に感謝したい。

葉月、お前を愛している。
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