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第二十六章 西沢守の告白
目覚めた西沢
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あの時、俺は一旦葉月をあきらめかけた。
それなのに、葉月は諦めなかった。
俺と葉月はこのままでいいのか。
その時、由子は冨樫に「帰りましょう」と声をかけた。
葉月もまた冨樫を追いかけたかった気持ちを堪えていた。
しばらくして、西沢は一般病棟の個室に移ることが出来た。
だが、意識は戻らない。
葉月は毎日寄り添い、西沢の看病を続けた。
「西沢さん、早く意識を回復して、私はあなたにこれ以上ないほど、助けられています、
今回は命を助けて貰いました、でも、あなたの気持ちに答えることが出来ないひどい女です、
許して」
葉月は西沢の手を握り、涙を流した。
その涙が西沢の頬にポトリと落ちた。
西沢はピクっと反応した。
「西沢さん、西沢さん」
西沢はゆっくりと目を開いた。
「西沢さん、葉月です、分かりますか、今、ナースコールしますね」
まもなく、担当医師と看護師がやってきた。
「分かりますか、ここは病院です」
西沢の意識は回復したが、しばらく入院を余儀なくされた。
西沢はじっと葉月を見つめるが、反応がない。
私を覚えていないの?
先生は西沢の病状を説明してくれた。
「西沢さんは一時的な記憶障害です、ご自分の今の状況を受け入れられないのでしょう、
自己防衛本能で、自分自身を守っています、ちょっと時間かかりますが、
頑張って治療していきましょう」
記憶障害。
私のこと誰だこいつって思ってるんだろうな。
案の定、病室へ戻ると「お前、誰だ」と言われた。
私は西沢さんとのことを話し始めた。
『葉月に執着する山辺は、極道には極道だと、金にものを言わせて、
西沢組若頭、西沢守に葉月を自分の元に連れてくるように依頼した。
西沢組は金のためならなんでもやる。
特に守は血も涙もない、極悪非道のヤクザだ。
そんなある日、葉月に付き添って買い物に来たのはヤスシだった。
葉月とヤスシはあっという間に拉致された。
薬で気絶したため、気がついたのは辺りが薄暗くなってからだった。
身体はロープで縛られて身動きが取れなかった。
マンションの一室のような部屋だと言うことはわかった。
隣には相当痛めつけられて、虫の息であるヤスシが転がっていた。
「ヤスシさん、ヤスシさん」
そこへ、守が入ってきた。
「お嬢さん、やっとお目覚めかい」
「ヤスシさんの手当てをしてあげてください」
「痛めつけた相手を手当てするほど、優しい心は持ち合わせてないんだ」
それなのに、葉月は諦めなかった。
俺と葉月はこのままでいいのか。
その時、由子は冨樫に「帰りましょう」と声をかけた。
葉月もまた冨樫を追いかけたかった気持ちを堪えていた。
しばらくして、西沢は一般病棟の個室に移ることが出来た。
だが、意識は戻らない。
葉月は毎日寄り添い、西沢の看病を続けた。
「西沢さん、早く意識を回復して、私はあなたにこれ以上ないほど、助けられています、
今回は命を助けて貰いました、でも、あなたの気持ちに答えることが出来ないひどい女です、
許して」
葉月は西沢の手を握り、涙を流した。
その涙が西沢の頬にポトリと落ちた。
西沢はピクっと反応した。
「西沢さん、西沢さん」
西沢はゆっくりと目を開いた。
「西沢さん、葉月です、分かりますか、今、ナースコールしますね」
まもなく、担当医師と看護師がやってきた。
「分かりますか、ここは病院です」
西沢の意識は回復したが、しばらく入院を余儀なくされた。
西沢はじっと葉月を見つめるが、反応がない。
私を覚えていないの?
先生は西沢の病状を説明してくれた。
「西沢さんは一時的な記憶障害です、ご自分の今の状況を受け入れられないのでしょう、
自己防衛本能で、自分自身を守っています、ちょっと時間かかりますが、
頑張って治療していきましょう」
記憶障害。
私のこと誰だこいつって思ってるんだろうな。
案の定、病室へ戻ると「お前、誰だ」と言われた。
私は西沢さんとのことを話し始めた。
『葉月に執着する山辺は、極道には極道だと、金にものを言わせて、
西沢組若頭、西沢守に葉月を自分の元に連れてくるように依頼した。
西沢組は金のためならなんでもやる。
特に守は血も涙もない、極悪非道のヤクザだ。
そんなある日、葉月に付き添って買い物に来たのはヤスシだった。
葉月とヤスシはあっという間に拉致された。
薬で気絶したため、気がついたのは辺りが薄暗くなってからだった。
身体はロープで縛られて身動きが取れなかった。
マンションの一室のような部屋だと言うことはわかった。
隣には相当痛めつけられて、虫の息であるヤスシが転がっていた。
「ヤスシさん、ヤスシさん」
そこへ、守が入ってきた。
「お嬢さん、やっとお目覚めかい」
「ヤスシさんの手当てをしてあげてください」
「痛めつけた相手を手当てするほど、優しい心は持ち合わせてないんだ」
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