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二章
2ー28
しおりを挟む『1400!』
『………1450。』
少しずつだけれども値段が上がってくる。
どうやら化粧水とだけあって、男性陣は入札にあまり積極的ではないようだ。
女性陣が入札をしている。
ただ、どのくらい効果があるか見た目だと判断できないので一気に金額を吊り上げたりする人はいないようだ。
まあ確かにどうしても欲しいってものじゃないしね。
炬燵の後だと化粧水なんて霞んでしまうのも仕方ない。
『1500!』
『1510!』
『1520。』
『・・・1530。』
おっと、さっきまで50ニャールド刻みだったのに、10ニャールド刻みに変わってきた。
これはそろそろ落札決定が近いだろうか。
『マーニャ様ぁ~!』
そろそろ化粧水が落札されるんじゃなかろうかって時に、中継を見ている急に部屋の中にマーニャの名前を呼びながら飛び込んできた竜・・・もといプーちゃん。
なぜ、このタイミング。
テレビがプーちゃんの巨体で隠されていて見えないんだけど・・・。
『1540!』
「にゃ!!」
ペシッとマーニャがプーちゃんの頭をはたいた。
プーちゃんは涙目である。
『マーニャ様、遅くなって申し訳ございませんでしたーーっ!』
「にゃっ!」
『1560!』
プイッとプーちゃんに背を向けるマーニャ。
なにやらマーニャはプーちゃんを呼び寄せていたようだけど遅くなってしまったことを謝っているようだ。
でも、マーニャはどうも機嫌を損ねてしまったようで、プーちゃんが涙を流しながら平謝りをしている。
『違うっ!寝坊したわけでは断じて・・・。』
「にゃあ?」
ジトーッとマーニャとボーニャとクーニャがプーちゃんを見つめる。
3匹の目に見つめられてプーちゃんは冷や汗だらだらのタジタジのようだ。完全に目が泳いでしまっている。
『1580!』
『あ、いや・・・そのぉ・・・。』
「にゃ!!」
『確かに呼ばれた時にすぐに来ないなんて役立たずだなんて・・・そんな・・・マーニャ様ぁ~。』
プーちゃんがぐすんぐすんと泣いている。
役立たずと言われてショックを受けているようだ。
しかし、一体なぜマーニャはプーちゃんを呼んだんだろう?
いつもマーニャに嫌なことがあるとプーちゃんを呼んで助けてもらっているみたいだけど・・・。
と、そこまで考えて思いついた。
「もしかして、化粧水飲んだ時に呼んだの!?」
『1600!』
確かにマーニャ達は化粧水を飲んでショックを受けていたし、あの時に呼んだのだろうか・・・。
でも、それにしては呼んでから来るまで結構時間がかかっていたような。
私たちが出かけるときに、プーちゃん玄関横で寝ていたからすぐに来れる距離なのに。
『1610!』
「プーちゃん皆が相手してくれないからって不貞寝してたらしいよ?」
どうやらプーちゃんの思考を読んだらしいマリアがこっそり教えてくれた。
それにしても、さっきからプーちゃんやマーニャたちが煩くてオークションの中継が良く見えないし聞こえない。
今、どうなっているんだろう。
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