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四章
4ー56
しおりを挟む男の子はギュッと目を瞑るとコーラ味の化粧水を一口飲みこんだ。
ゴクリと男の子の喉が鳴る。
その様子をドキドキとしながら見つめる私。
男の子はコーラ味の化粧水を一口飲みこむと、目をまん丸に見開いた。
「・・・なに、コレ。」
呆然と男の子が呟く。
そうして、目をパチパチと何度も瞬かせた。
「えっと、全部飲んじゃってね。じゃないと効果が薄くなっちゃうから。」
一口飲んだだけで呆然とした表情を浮かべて立ち尽くしてしまっている男の子に声をかける。
一口だけでも効果はあることにはあるが、どうしても効果が薄くなってしまう。
そのため、マーニャたちが何を言っているかわからない場合が出てくるのだ。
容量は決められた分を飲まなければならない。
まあ、飲み過ぎるとどうなるかというのは・・・怖くて検証していないんだけどね。
ただ単に効果が長続きするだけならいいんだけれども・・・。
体調を崩しちゃったりしたら嫌だもんね。
うん。決められた容量はきっちり守らないとね。
「こ・・・これは・・・。んぐんぐ・・・くーーーーーーーっ!!ぷふぁぁあああああああ!!!」
私が全部飲むように促すと男の子は一瞬表情を固まらせたが、次の瞬間勢いよくコーラ味の化粧水を飲み込み始めた。
そうして、どこぞの酔っ払いかと思うような満足気な雄叫びをあげて恍惚とした表情でこちらを見てきた。
その頭には黒くふさふさとした猫耳がピコピコと揺れている。
あ、やばいかも。
この子にコーラ味の化粧水なんて渡したらいけなかったのかも。
思わずそんな言葉が頭の中をめぐる。
「お姉さん・・・。いえ、お姉さま。ううん。女神様・・・。これ、もっとください。お願いします。」
「・・・・・・・・・。」
どうしよう。逃げてもいいかな?
男の子はコーラ味の化粧水に感激したのか、うるうると潤む目で私をジッと見つめてきた。
その上、私の呼び名がグレードアップしている。
なに、女神様って。
っていうか、こんな美少年のお姉さまって呼ばれるのってなんだかとっても嬉しいかも・・・。
いいかも「お姉さま」って響き。
いいかも・・・じゅるりっ。
あ、いけない。
よだれが・・・。
思わず口の端から零れ落ちそうになったよだれを手で拭う。
あまりの衝撃に理性を手放しそうになったかもしんない。
いや。まだ手放していないから大丈夫。
そう。大丈夫。
私はまだ犯罪者じゃない。
未成年に手を出すよな犯罪者じゃないから。うん。
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