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第84話 秘境竜人族の里4
しおりを挟むレティシアが
「これ腐っているんじゃないの。」
と言って白菜の漬物から顔を背ける。
「腐ると発酵は違うんじゃ。」
食文化が違うからレティシアが臭がるのも無理はない。
ムート達は平気なようだ、こいつらはなんでも食べるんじゃないか?
わしも昔出張で海外に行ったとき臭いし変な匂いがするしで食べられないものがたくさんあった。
現地の人はすごく美味しいと言って食べていたのじゃがそんなもんじゃろう。
わしは久しぶりの漬物で気分上々じゃが。
竜人族の里は周囲が壁の様に切りたった高い山に囲まれている。
空を飛んでこなければ辿り着けない。
見つける事も出来ない。
まさに秘境じゃ。
建物は山の中腹に迫り出した様に建っている清水寺みたいな感じ。
実際手すりや柵には朱色が塗られている。
それが連なり、また重なる様にして里を形成している。
田畠は山の斜面に段々に作られていて美しい景観になっている。
迫り出した広いベランダのようなところで景観を楽しみながら軽い間食をとっている。
お茶は烏龍茶と言うのはやり過ぎか?
里に着いた直後はムートを見て神龍様じゃと大騒ぎして。
ママさん達が仔竜を連れて来た事に大騒ぎして。
わしの魔力を感じて勇者様じゃと大騒ぎしたのじゃからもう里のものはくたくたじゃ。
ママさん達はそれぞれ祀られる場所があると言うことで散っていったのでやや落ち着いたと言うところじゃ。
来賓用の屋敷があると言うのでそこでやっかいになることになった。
造りは社のでかいやつで高床式。
なんかこれムートを祀っている社じゃないのか?まあいいか。
そばに岩風呂があるのが魅力的じゃな。
各種漬物をまとめ買いしてインベントリに入れてあるし次は漬物を買いにだけ転移魔法で来ても良いな。
岩風呂に浸かってのんびりしている。
頭の上の仔竜は降りてくれんが。
賑やかな声がしてレティシア達がやってくる。
「ひとりだけ先に入ってずるい。」
とか言う。
「わしは男の子なんじゃい。普通に入ってくるな。」
「はいはい、ちっちゃい男の子。いまさらでしょう。頭洗ってあげたいけどその子全然離れないのね。」
ムートが仔竜を掴んで引っ張るが仔竜は必死になってしがみついている。
「あんまり無理にするとユウトの頭がもげてしまうかも。」
「頭はまだしも毛が抜けて禿げるかも。」
人ごとだと思って勝手な事を言っている。
アサンが
「また乗っけてあげるから少しの間降りるのよ。」
と頭を撫でるとようやくアサンの手に乗って降りた。
さすがはお姉さん子供の扱いが違う。
仔竜はアサンに体を洗ってもらっている。
その後は別にわしの頭にこだわることはなくてアサンについて回っている。
意固地になっていただけなんじゃな。
「この子名前はないの。」
とレティシアが言うがほかの三人はぴんとこない様子。
こいつらは他に同じ種のものがいないので固有の名前がいらない。
わしは呼びやすいように種の名称の下の部分だけで呼んでおるが名前はバハムート、フェンリル、リバイアサンとそのままじゃ。
この子は銀竜じゃろうママさんも同じじゃが固有名をつけられる事はなくて大きくなって個性がはっきりして来たらふたつ名で呼ばれるかもしれんな。
今はギンでいいんじゃないか?
やっとギンからもレティシアからも解放されて風呂でぷかぷかしている。
極楽じゃ。
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