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本編
恋5
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ジョーゼフ様のことが好きだと気づいてしまった。けれど、どうすることもできない。
私は買われた女だ。
この屋敷のご当主様に。
ご子息様方に抱かれるために。
その私が、ご子息様に恋するなど許されない。
決して恋に落ちないように、おかしなことなど言いださないように、ご当主様は洒落にならない額のお金で私を買ったのだから。
そこを履き違えてはダメだ。
いくらご当主様が、このお屋敷の人達が、私に甘いからといって。線引きを間違えてはダメだ。
ジョーゼフ様の態度はきっとアレだ。
恋愛小説か何かに影響されて、ちょっと自分でも体験してみたくなった的な。ごく一過性のもの。そのはずだ。
だってそうでなければおかしい。
あの無邪気なジョーゼフ様が、私をあんな…
…思い出しただけで鼓動がおかしくなってしまいそうな目で見るなんて。あんな甘い言葉を…
堪えきれず顔を覆う。
…ほんの少しの間耐えれば、いつものジョーゼフ様に戻るはずだ。
ジョーゼフ様は、なんでも器用にこなせてしまう分、興味が他に移るのも早い。だから、ちょっとの間耐えてやり過ごせば、それで終わるはず。ジョーゼフ様が、私をあんな目で見ることなど、二度となくなるはず…。
ツキリと胸が痛む。
でも、面倒ごとを避けるために私を買った、ご当主様の信頼に応えなければ。今まで良くしてもらった恩に報いなければ。
それでなくても、ジョーゼフ様が私に本気な訳がないのだから。こんな、年上で兄上方にも散々抱かれた女。
だから、「あの時、全然靡かなかったね」っていつか笑い話にできるように、平然としていなければ。
私は買われた女だ。
この屋敷のご当主様に。
ご子息様方に抱かれるために。
その私が、ご子息様に恋するなど許されない。
決して恋に落ちないように、おかしなことなど言いださないように、ご当主様は洒落にならない額のお金で私を買ったのだから。
そこを履き違えてはダメだ。
いくらご当主様が、このお屋敷の人達が、私に甘いからといって。線引きを間違えてはダメだ。
ジョーゼフ様の態度はきっとアレだ。
恋愛小説か何かに影響されて、ちょっと自分でも体験してみたくなった的な。ごく一過性のもの。そのはずだ。
だってそうでなければおかしい。
あの無邪気なジョーゼフ様が、私をあんな…
…思い出しただけで鼓動がおかしくなってしまいそうな目で見るなんて。あんな甘い言葉を…
堪えきれず顔を覆う。
…ほんの少しの間耐えれば、いつものジョーゼフ様に戻るはずだ。
ジョーゼフ様は、なんでも器用にこなせてしまう分、興味が他に移るのも早い。だから、ちょっとの間耐えてやり過ごせば、それで終わるはず。ジョーゼフ様が、私をあんな目で見ることなど、二度となくなるはず…。
ツキリと胸が痛む。
でも、面倒ごとを避けるために私を買った、ご当主様の信頼に応えなければ。今まで良くしてもらった恩に報いなければ。
それでなくても、ジョーゼフ様が私に本気な訳がないのだから。こんな、年上で兄上方にも散々抱かれた女。
だから、「あの時、全然靡かなかったね」っていつか笑い話にできるように、平然としていなければ。
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