残り一日で破滅フラグ全部へし折ります ざまぁRTA記録24Hr.

福留しゅん

文字の大きさ
81 / 88
Interlude1 アレクサンドラのその後

公爵令嬢コンスタンサの覚醒(前)

 ■Side コンスタンサ

 私、バエティカ王国の公爵家に生を受けたコンスタンサは、短い人生の中で今一番混乱していると思います。多分この感覚は誰に説明しても理解してもらえないでしょうし、私自身頭の中で整理しきれませんので。

 そうですね、まずは軽く今の自分について振り返ってみましょう。

 バエティカ王国の公爵家はタラコネンシス王国同様に建国時に王家と盟友だった者の家系です。そのため一代または二代限りで臣籍降下する王族と異なり、致命的な不祥事やバエティカ王国そのものが終焉を迎えるまでは公爵のまま、権威を維持します。

 そんな由緒正しい家柄のため、度々王妃となる娘を輩出しています。今回は数多のご令嬢方を退けて私が次の王妃となるため、王太子殿下の婚約者に選ばれました。名誉あることですので両親はおろか私自身もとても誇らしく思ったものです。

 王太子殿下、カルロス様はとても紳士的な方でした。文武両道で教養も兼ね備え、非の打ち所が無く、次の代も安泰だ、と讃えられるほどです。私に対しても誠実で、私を気遣ってくださり、彼との時間はとても有意義で楽しいものでした。

 唯一欠点をあげるとすれば、若干思い込みが激しくて視野が狭くなる傾向にあるところでしょうか。ですが完璧な人間などこの世には存在しませんし、それなら伴侶となる私が彼の代わりに広く見渡さば済む話だ、とあまり深刻に考えていませんでした。

 国王となったカルロス様をこの私が国母となり支える。
 そんな未来像を疑ってすらいませんでした。

 ――あのお方と会うまでは。

 国王陛下が崩御なさり、フアナ王太子殿下が即位なされた際、宴が催されました。公爵家の娘でありカルロス様の婚約者でもある私は当然参加することとなりましたが、私はあの方、隣国の王太子妃であらせられるアレクサンドラ様と出会いました。

 お母様と妃殿下は学友だったそうで、二人の会話はとても打ち解けたものでしたし、その縁で私も妃殿下とは何度もお会いしたことがあります。お母様が交流を続けるのも納得なほど立派でしたし格好良いとも思えました。

(ただ、あの方が私を見る目……妙に気になるのよね)

 友人の娘、未来の王太子妃を見つめる眼差しとは異なる色が混ざっていると気付いたのはいつ頃でしょうか? それとも私が成長するに連れてその色を深めていったのでしょうか? とにかく、苦手を通り越して警戒すら覚え始めていました。

 そんな彼女は、私にこのように囁いてきました。

「私はコンスタンサほど優秀なら別に嫁がなくてもいいとも思うのだけれどね」

 嫁がなくてもいい? どこに? もちろん王家に。
 私が嫁がなかったらどうなる? 私が公爵家に留まる。
 私に公爵家のお荷物になれと……いえ、違う。妃殿下は暗にこう言っていました。

「コンスタンサが公爵家を継げばいいじゃない。王家なんか突き放してさ」

 ご冗談を、と、なんとか取り繕いましたが、おそらく妃殿下にはお見通しだったでしょう。弟のエクトルにも余計な重圧になるはっぱをかけましたし、妃殿下は明確な意図をもって私に可能性を投げかけたのでしょう。

 アレクサンドラ妃殿下の身に起こった出来事は私も把握しています。
 当時タラコネンシス王国王太子だったアルフォンソ殿下の婚約者だった彼女は、婚約破棄の動きを事前に察知し、返り討ちにした挙げ句、別の王子と添い遂げました。そしてじきに王妃へと上り詰めることでしょう。

 そんな彼女だからこそ、私もまた同じようにカルロス様に婚約破棄されると危惧されているのでしょうか? 今のところカルロス様との仲は良好ですし、何も心配する必要無いのに。そう、無いはずですが……。

「とっておきの教師を紹介してあげる。人生の先輩から学ぶべきことがまだあるんじゃないか、って思うの」

 そして妃殿下の提案には耳を疑いました。バエティカ王国にはタラコネンシス王国に引けを取らない優秀な教師が多くいましたし、既に王太子妃教育も佳境に入っている私に今更余所者から学ぶことなど無いというのに。

 更には第二王子殿下をこちらに留学させると表明なさいました。一体何をお考えなのか。これから先何が起こるか知っているのか。色々と疑問は付きませんでしたが、お母様方が反対しなかったので受け入れることにしました。

 そして、お母様と妃殿下の内緒話がただ事ではないと確信させたのです。

「貴女様はまた出る、とお考えなの?」
「出る、とは? ああ、『傾国』が、ですか」
「そう、『女狐』ですわ」

 つまり、妃殿下は明らかに確信なさっている様子でした。
 この私は何もしていなければ婚約破棄された上で破滅するだろう、と。
感想 249

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。