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ヤミイ

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 数十分後ー。
 木乃伊と化してしまうほどの勢いで精巣の中身を吸い尽くされ、僕と先生はベッドに横たわっていた。
 拘束ははずされ、胎児のように背を丸めて縮こまった僕らは、互いの股間に顔を埋める格好になっている。
 天井の鏡に映るその様子は、あたかも二体の裸身でできたふたつの卑猥な勾玉だ。
 互い違いにくっつけた勾玉が、相手のへこんだ部分に頭を突っ込む形になっている。
 今、僕の目と鼻の先には、先生の太腿の間から突き出た陰茎がある。
 一滴たりとも余さず塁に精液を吸い上げられたはずなのに、先生の陰茎はびんびんに勃っていた。
 その硬そうな茎の部分には網の目のように血管が浮き彫りになり、笠の開いた亀頭は透明なカウパー腺液でぬるぬるしたまま、おのれの熱で白い湯気を立てている。
 原因は明らかだった。
 尿道スティックがまだ奥深く突き刺さったままなのだ。
 陰嚢の入口までめり込んだスティックがいまだに細かく振動して、先生の前立腺を刺激しているというわけだ。
 その事情は、僕も同じだった。
 躰の芯に、まだ鈍い快感が残り、出すものもないのに、陰茎に力を送り込んでくるのである。
 実際、僕の太腿の間から鎌首をもたげた筋肉ソーセージは、は恥ずかしいほどの硬さを維持している。
 いや、それどころか、尿道スティックに刺激される時間が長引けば長引くほど、射精の有無に関係なく、陰茎は硬くなるようだ。
 僕はもの憂い多幸感に全身を包まれて、無意識のうちに先生の勃起男根に顔を近づける。
 逞しい茎に頬ずりすると、鼻を擦りつけ、匂いを嗅いだ。
 先生の男根は、色々な匂いがした。
 青臭い精液の匂いはもちろんのこと、出し汁みたいなカウパー腺液の匂い、そしてかすかな尿の匂いと、塁の唾液の匂い…。
 頬でスリスリしていると、鎌首をもたげるように、むっくり肉の竿が動き出した。
 同じことを先生が僕の股間の恥棒に対してやり始めたのがわかった。
 僕は陶然となる。
 気持ち、いい…。
 このまま、もう一度、男同士のシックスナインと洒落込むのもいいかもしれない…。
 だが、そんな僕らの甘いムードを打ち砕いたのは、やはり、ジュリだった。
「こいつら、まだギンギンに勃ってるんだけど、塁、あなた、どうしたらいいと思う? このままだと、ふたりだけの愛の世界に、ずっぽり浸り込みそうな勢いなんですけど」
「もちろん、そんなの、許さない」
 唾を吐くような口調で、塁が答えた。
「もっともっと、蹂躙してやらないと。ねえ、ジュリ、あなたなら知ってるでしょ? こいつら変態性欲者をいたぶるもっと素敵な方法を」
「そりゃあ、まだ色々あるけどね」
 意味ありげにジュリが言う。
「じゃあ、教えてよ。どうせ明日になれば…」
「なるほど」
 うなずくジュリ。
「兄貴は拷問で死ぬんだし、その前に、婚約破棄の雪辱を腫らし、復讐の想いを遂げておきたいというわけね」
 ジュリが冷徹な声でそう言い放つと、無言で塁がうなずいた。


 

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