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30話
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リビングの空気は澱んでいた。
ソファに座る桐島玲奈は、まるで魂の抜けた人形のようだった。
視点は定まらず、瞬きすら忘れている。
絶望のあまり、心をシャットダウンしてしまったのだ。
「…………」
俺は冷めた目で、その姿を見下ろしていた。
(……つまらない)
俺が求めているのは、こんな抜け殻じゃない。
恐怖し、あがき、それでも逃げられない現実に泣き叫ぶ姿だ。
こんな風に『どうにでもなれ』と諦めて現実逃避されては、復讐の味がしない。
痛みを感じないサンドバッグを殴っても意味がないのだ。
俺は記憶の底を探る。
前回の人生。地獄のような日々。
その中で、俺に対して最も執拗に、そして楽しそうに性的暴行を加えていたのは誰だったか。
――それは、桐島玲奈だった。
くるみは支配欲、ミナとアイリは暴力衝動。
だが、玲奈は違った。彼女の動機は、純粋な『快楽』への溺れだった。
今の俺には分かる。
玲奈は本来、一番ウブで、感受性が強すぎる女だったのだ。
手を握るだけの接触、軽い抱擁、そしてキス。
その一つ一つに対して、誰よりも過敏に反応し、その余韻を長く、深く感じ取ってしまう体質。
だからこそ、一度『タガ』が外れた時、彼女にとって人の体温や肉体の触れ合いは、抗いがたい麻薬になったのだ。
『あはっ、透……いい声。もっと鳴いてよ』
『ねえ、ここ気持ちいい? 私はすっごく気持ちいいよ……』
脳裏にフラッシュバックする、未来の玲奈の声。
頬を紅潮させ、俺に跨り、貪るように快楽を搾り取っていたあの顔。
俺の苦痛を最高のスパイスにして、涎を垂らして喘いでいたあの雌の顔。
――ガッッ!!
俺の中で、何かが弾けた。
「……ふざけるな」
低い声が漏れた。
それは、タイムリープしてから初めて見せる、演技ではない『激情』だった。
俺は目の前の『被害者ぶった抜け殻』と、記憶の中の『加害者』を重ね合わせた。
お前が諦める? 逃げる?
冗談じゃない。お前はこれから、あの時の俺と同じ苦しみを味わうんだ。
『諦める』なんて安楽な逃げ道、俺が許すわけがない。
俺は無言で立ち上がると、玲奈の腕を乱暴に掴み上げた。
「っ……?」
玲奈が驚く間もなく、俺は彼女を引きずり倒すようにして歩き出した。
「来い」
「い、いや……なによ、離して……!」
玲奈が弱々しく抵抗するが、俺の怒りの握力には敵わない。
俺は彼女をボロ雑巾のように引きずり、リビングを出て自室へと向かった。
その背中から立ち昇るオーラは、いつもの冷徹なものではなく、煮えたぎるようなドス黒い殺意にも似ていた。
「透、くん……?」
ソファに残されたミナとアイリは、息を呑んでその光景を見ていた。
怖い。
今の透くんは、今まで見たことがないくらい怒っている。
下手をすれば殺されるかもしれない……生物としての警鐘が鳴り響く。
――けれど。
「っ……はぁ……」
二人の頬は、朱に染まっていた。
恐怖と同時に、下腹の奥がキュンと疼くのを感じていた。
圧倒的な雄の暴力性。理不尽な怒り。
それを見せつけられ、二人の『雌』としての本能が、強烈に刺激されていたのだ。
(怒ってる透くん……怖いけど、すごく……ゾクゾクする)
(もっと見たい。透くんが玲奈をどうするのか……見届けなきゃ)
ミナとアイリは顔を見合わせ、そして吸い寄せられるように立ち上がった。
二人は、獲物を巣穴に引きずり込む猛獣の後を追うように、フラフラと自室への階段を上っていった。
逃げ場のない部屋で、本当の『教育』が始まろうとしていた。
ソファに座る桐島玲奈は、まるで魂の抜けた人形のようだった。
視点は定まらず、瞬きすら忘れている。
絶望のあまり、心をシャットダウンしてしまったのだ。
「…………」
俺は冷めた目で、その姿を見下ろしていた。
(……つまらない)
俺が求めているのは、こんな抜け殻じゃない。
恐怖し、あがき、それでも逃げられない現実に泣き叫ぶ姿だ。
こんな風に『どうにでもなれ』と諦めて現実逃避されては、復讐の味がしない。
痛みを感じないサンドバッグを殴っても意味がないのだ。
俺は記憶の底を探る。
前回の人生。地獄のような日々。
その中で、俺に対して最も執拗に、そして楽しそうに性的暴行を加えていたのは誰だったか。
――それは、桐島玲奈だった。
くるみは支配欲、ミナとアイリは暴力衝動。
だが、玲奈は違った。彼女の動機は、純粋な『快楽』への溺れだった。
今の俺には分かる。
玲奈は本来、一番ウブで、感受性が強すぎる女だったのだ。
手を握るだけの接触、軽い抱擁、そしてキス。
その一つ一つに対して、誰よりも過敏に反応し、その余韻を長く、深く感じ取ってしまう体質。
だからこそ、一度『タガ』が外れた時、彼女にとって人の体温や肉体の触れ合いは、抗いがたい麻薬になったのだ。
『あはっ、透……いい声。もっと鳴いてよ』
『ねえ、ここ気持ちいい? 私はすっごく気持ちいいよ……』
脳裏にフラッシュバックする、未来の玲奈の声。
頬を紅潮させ、俺に跨り、貪るように快楽を搾り取っていたあの顔。
俺の苦痛を最高のスパイスにして、涎を垂らして喘いでいたあの雌の顔。
――ガッッ!!
俺の中で、何かが弾けた。
「……ふざけるな」
低い声が漏れた。
それは、タイムリープしてから初めて見せる、演技ではない『激情』だった。
俺は目の前の『被害者ぶった抜け殻』と、記憶の中の『加害者』を重ね合わせた。
お前が諦める? 逃げる?
冗談じゃない。お前はこれから、あの時の俺と同じ苦しみを味わうんだ。
『諦める』なんて安楽な逃げ道、俺が許すわけがない。
俺は無言で立ち上がると、玲奈の腕を乱暴に掴み上げた。
「っ……?」
玲奈が驚く間もなく、俺は彼女を引きずり倒すようにして歩き出した。
「来い」
「い、いや……なによ、離して……!」
玲奈が弱々しく抵抗するが、俺の怒りの握力には敵わない。
俺は彼女をボロ雑巾のように引きずり、リビングを出て自室へと向かった。
その背中から立ち昇るオーラは、いつもの冷徹なものではなく、煮えたぎるようなドス黒い殺意にも似ていた。
「透、くん……?」
ソファに残されたミナとアイリは、息を呑んでその光景を見ていた。
怖い。
今の透くんは、今まで見たことがないくらい怒っている。
下手をすれば殺されるかもしれない……生物としての警鐘が鳴り響く。
――けれど。
「っ……はぁ……」
二人の頬は、朱に染まっていた。
恐怖と同時に、下腹の奥がキュンと疼くのを感じていた。
圧倒的な雄の暴力性。理不尽な怒り。
それを見せつけられ、二人の『雌』としての本能が、強烈に刺激されていたのだ。
(怒ってる透くん……怖いけど、すごく……ゾクゾクする)
(もっと見たい。透くんが玲奈をどうするのか……見届けなきゃ)
ミナとアイリは顔を見合わせ、そして吸い寄せられるように立ち上がった。
二人は、獲物を巣穴に引きずり込む猛獣の後を追うように、フラフラと自室への階段を上っていった。
逃げ場のない部屋で、本当の『教育』が始まろうとしていた。
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