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アヴェントゥリーニス竜王国
お父様
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クリストファーが目覚めるとロゼリア直ぐに会いに行った。
眠っている間も何度も会いに行ったが、冷たくなった母親を思い出しパニックなってしまっていた。その度にジルバートに支えられていた。
「クリス!!」
「ロゼ…」
2人は抱き合い互いの無事を喜び声を上げて泣いた。
「クリス身体はどう?もう起きて大丈夫なの?」
「うん。完璧に回復してるよ。しばらく何も食べてなかったからお腹ペコペコだけどね。心配させてごめん」
クリストファーは笑いながら、安心させるようにロゼリアの頭を撫でていた。ロゼリアはクリストファーの笑顔を見て安心したのか、笑顔を見せてクリストファーの手を握った。
「無事でよかった…。そうだ紹介するよ!今回の作戦で私の暴走を止めてくれたジルバート様」
「ジルバート=オルキスだ。君たち2人が無事でよかった。」
クリストファーは並んだジルバートを見て、一瞬驚いた様な顔をしたが直ぐに笑顔になり、握手をした。
「クリストファーと申します。この度は私達を救って下さりありがとうございました。……ロゼリアのことよろしくお願いします。」
「あぁ、勿論だ。」
「ちょっと待ってクリス!よろしくって何を!?」
「え?2人は番でしょ?そんなにお互いの魔力を身に着けていて番じゃないわけないよ」
ロゼリアは【竜眼】で魔力の流れを確認すると真っ赤になって震え出した。
「リアおいで」
ジルバートはそう言ってロゼリアに手を広げた。ロゼリアは潤んだ瞳のまま、吸い寄せられるようにその腕の中に飛びついた。無意識に安心するジルバートの腕の中で彼に顔を擦り寄せた。
「可愛すぎる…」
「ジルバート殿…顔が蕩け過ぎですよ…」
「ジルと呼んでもらって構わない。それに敬語も必要ないぞ」
「ではそうさせてもらうよ。」
その後3人でクリストファーが目覚めるまでの数日間の話をした。クリストファーが回復しだい父親と会うことも。
「そっか…やっと会えるんだね、父上に」
「うん。楽しみだね。お母様、お父様のこといつも嬉しそうにお話してくれたから、実際に出会えるなんて夢見たい!」
ジルバートは兄妹の会話を膝に乗せたロゼリアの頭を撫でながら嬉しそうに聞いていた。そんな2人をみてクリストファーは、ロゼリアの幸せを喜んだ。
ーーーーーーーーーーーーーー
「やっとお父様に会えるんだね」
手を繋いだ2人は、ラヴェリオの居る部屋の前で顔を見合わせた。少し緊張した面持ちでドアをノックした。
コンコンッ
「入れ」
部屋に入ると、そこには銀髪紫眼の美丈夫が立っていた。そして気がついた時には2人を抱き締めていた。
「よく……戻ってきてくれた。会えて嬉しいよ、ロゼリア、クリストファー。私とラシェルの子供たち。」
ラヴェリオは肩を震わせ2人をもう一度キツく抱き締めた。
「おとう…さま……。おとうさま」
2人は泣きながら父親に抱き着いた。
「あぁ。あぁ。私の子供たち…。顔を見せておくれ。声を聞かせておくれ。3人で話そう。これからはずっと一緒だ。」
「「うわぁぁぁぁんー!!!!」」
3人は泣きながらもこの15年の事を話し合った。
母親との5年間、そして彼女の死。ロゼリアとクリストファーだけで過ごした過酷な10年間。
妻を探し続けた事やその後、心を病んでしまったこと。そして2人を迎えに行くのが遅くなってしまったことなど、沢山話し合った。
「これからは一緒に暮らそう。ラシェルにしてやれなかった分お前達には幸せになってもらいたいんだ。」
「父上、母上は僕達だけじゃなく父上の幸せも望んでいましたよ。これからは家族3人で幸せになるんです」
「そうです!お父様!!私は3人で海に行ってみたいです!あといっぱい美味しいもの食べたいです。お母様が好きだったラズベリーパイを食べて皆で、エルフの国の大きな木下でお昼寝をして…歌劇を見て…花冠を作って…えっと…えっと。とにかく皆で何かしたいです!」
「そうだな。帝国と決着が着いたら皆で旅行に行こう。この15年を埋めるくらいこ楽しい思い出を作ろう。」
「「はい!」」
そうして3人は遅くまで話をし、《家族》という幸せな時間を過ごした。
ーーーーーーーーーーーーーー
その夜ラヴェリオは、ロゼリアとクリストファーから貰ったラシェルの耳飾りを見つめていた。
「母上が父上にあったら渡して欲しいと。使い方は父上は見たら分かるからと。」
ラヴェリオを耳飾りの中に自分が仕込んだ魔法陣以外のものがある事に気付いた。そしてそれを起動させた。
『リオ』
「ラシェル…」
目の前にラシェルの幻影が現れた。ラヴェリオは思わず抱き締めようとしたがすり抜けてしまう。
『この映像を見ているということは、あの子たちは無事に貴方の元へ辿り着いたのね。私は今その場に居るのかしら?
ねぇリオ。私ね時々貴方の感情が伝わってきてたの。貴方はとても悲しそうで、いつも後悔や怒りで荒れていたわ。だからね私は何としてもあの子達を貴方に残すんだ!って頑張ったのよ?ふふ。何時もみたいにキスをして褒めて欲しくなっちゃったわ。
見て、今写してるのはロゼリアとクリストファーが2歳の時の映像よ。よちよちしてて可愛いわ。ロゼリアはヤンチャで活発なの、クリストファーはいつも私やロゼリアの事を気遣って優しい子なのよ。今はお昼寝中。本当に天使のようね。
ねぇリオ。私と貴方の子供たちよ。子供は無理だと言われた私が…貴方のお陰でこの子達に出会えたわ。貴方と離れてとても辛いし寂しいけれど…。貴方とこの子達のお陰で私は幸せだわ。
余り思い詰めないで。私は幸せよ。貴方に会って私は自由を、世界を、愛する人と過ごす幸せを知ったわ。そして可愛い子供達にも会えた。私は生きるわ。この子達のためにも、貴方のためにも生きて……生きるのよ。
例え身体は朽ちたとしても私はあの子達の中で生き続ける。そうやっていつも見守っているわ。だから…また笑って。愛してる私の旦那様。』
「ラシェル……ラシェル…。ありがとう…。私も幸せだよ。君が残してくれた子供たちは本当にいい子だね…。必ず大切にする。君と共に居れなかった分、あの子たちと幸せになるよ。見ていてくれ。」
そう言ってラヴェリオは涙を流し笑った。
夜空には優しい光を放つ月が輝いていた。
眠っている間も何度も会いに行ったが、冷たくなった母親を思い出しパニックなってしまっていた。その度にジルバートに支えられていた。
「クリス!!」
「ロゼ…」
2人は抱き合い互いの無事を喜び声を上げて泣いた。
「クリス身体はどう?もう起きて大丈夫なの?」
「うん。完璧に回復してるよ。しばらく何も食べてなかったからお腹ペコペコだけどね。心配させてごめん」
クリストファーは笑いながら、安心させるようにロゼリアの頭を撫でていた。ロゼリアはクリストファーの笑顔を見て安心したのか、笑顔を見せてクリストファーの手を握った。
「無事でよかった…。そうだ紹介するよ!今回の作戦で私の暴走を止めてくれたジルバート様」
「ジルバート=オルキスだ。君たち2人が無事でよかった。」
クリストファーは並んだジルバートを見て、一瞬驚いた様な顔をしたが直ぐに笑顔になり、握手をした。
「クリストファーと申します。この度は私達を救って下さりありがとうございました。……ロゼリアのことよろしくお願いします。」
「あぁ、勿論だ。」
「ちょっと待ってクリス!よろしくって何を!?」
「え?2人は番でしょ?そんなにお互いの魔力を身に着けていて番じゃないわけないよ」
ロゼリアは【竜眼】で魔力の流れを確認すると真っ赤になって震え出した。
「リアおいで」
ジルバートはそう言ってロゼリアに手を広げた。ロゼリアは潤んだ瞳のまま、吸い寄せられるようにその腕の中に飛びついた。無意識に安心するジルバートの腕の中で彼に顔を擦り寄せた。
「可愛すぎる…」
「ジルバート殿…顔が蕩け過ぎですよ…」
「ジルと呼んでもらって構わない。それに敬語も必要ないぞ」
「ではそうさせてもらうよ。」
その後3人でクリストファーが目覚めるまでの数日間の話をした。クリストファーが回復しだい父親と会うことも。
「そっか…やっと会えるんだね、父上に」
「うん。楽しみだね。お母様、お父様のこといつも嬉しそうにお話してくれたから、実際に出会えるなんて夢見たい!」
ジルバートは兄妹の会話を膝に乗せたロゼリアの頭を撫でながら嬉しそうに聞いていた。そんな2人をみてクリストファーは、ロゼリアの幸せを喜んだ。
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「やっとお父様に会えるんだね」
手を繋いだ2人は、ラヴェリオの居る部屋の前で顔を見合わせた。少し緊張した面持ちでドアをノックした。
コンコンッ
「入れ」
部屋に入ると、そこには銀髪紫眼の美丈夫が立っていた。そして気がついた時には2人を抱き締めていた。
「よく……戻ってきてくれた。会えて嬉しいよ、ロゼリア、クリストファー。私とラシェルの子供たち。」
ラヴェリオは肩を震わせ2人をもう一度キツく抱き締めた。
「おとう…さま……。おとうさま」
2人は泣きながら父親に抱き着いた。
「あぁ。あぁ。私の子供たち…。顔を見せておくれ。声を聞かせておくれ。3人で話そう。これからはずっと一緒だ。」
「「うわぁぁぁぁんー!!!!」」
3人は泣きながらもこの15年の事を話し合った。
母親との5年間、そして彼女の死。ロゼリアとクリストファーだけで過ごした過酷な10年間。
妻を探し続けた事やその後、心を病んでしまったこと。そして2人を迎えに行くのが遅くなってしまったことなど、沢山話し合った。
「これからは一緒に暮らそう。ラシェルにしてやれなかった分お前達には幸せになってもらいたいんだ。」
「父上、母上は僕達だけじゃなく父上の幸せも望んでいましたよ。これからは家族3人で幸せになるんです」
「そうです!お父様!!私は3人で海に行ってみたいです!あといっぱい美味しいもの食べたいです。お母様が好きだったラズベリーパイを食べて皆で、エルフの国の大きな木下でお昼寝をして…歌劇を見て…花冠を作って…えっと…えっと。とにかく皆で何かしたいです!」
「そうだな。帝国と決着が着いたら皆で旅行に行こう。この15年を埋めるくらいこ楽しい思い出を作ろう。」
「「はい!」」
そうして3人は遅くまで話をし、《家族》という幸せな時間を過ごした。
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その夜ラヴェリオは、ロゼリアとクリストファーから貰ったラシェルの耳飾りを見つめていた。
「母上が父上にあったら渡して欲しいと。使い方は父上は見たら分かるからと。」
ラヴェリオを耳飾りの中に自分が仕込んだ魔法陣以外のものがある事に気付いた。そしてそれを起動させた。
『リオ』
「ラシェル…」
目の前にラシェルの幻影が現れた。ラヴェリオは思わず抱き締めようとしたがすり抜けてしまう。
『この映像を見ているということは、あの子たちは無事に貴方の元へ辿り着いたのね。私は今その場に居るのかしら?
ねぇリオ。私ね時々貴方の感情が伝わってきてたの。貴方はとても悲しそうで、いつも後悔や怒りで荒れていたわ。だからね私は何としてもあの子達を貴方に残すんだ!って頑張ったのよ?ふふ。何時もみたいにキスをして褒めて欲しくなっちゃったわ。
見て、今写してるのはロゼリアとクリストファーが2歳の時の映像よ。よちよちしてて可愛いわ。ロゼリアはヤンチャで活発なの、クリストファーはいつも私やロゼリアの事を気遣って優しい子なのよ。今はお昼寝中。本当に天使のようね。
ねぇリオ。私と貴方の子供たちよ。子供は無理だと言われた私が…貴方のお陰でこの子達に出会えたわ。貴方と離れてとても辛いし寂しいけれど…。貴方とこの子達のお陰で私は幸せだわ。
余り思い詰めないで。私は幸せよ。貴方に会って私は自由を、世界を、愛する人と過ごす幸せを知ったわ。そして可愛い子供達にも会えた。私は生きるわ。この子達のためにも、貴方のためにも生きて……生きるのよ。
例え身体は朽ちたとしても私はあの子達の中で生き続ける。そうやっていつも見守っているわ。だから…また笑って。愛してる私の旦那様。』
「ラシェル……ラシェル…。ありがとう…。私も幸せだよ。君が残してくれた子供たちは本当にいい子だね…。必ず大切にする。君と共に居れなかった分、あの子たちと幸せになるよ。見ていてくれ。」
そう言ってラヴェリオは涙を流し笑った。
夜空には優しい光を放つ月が輝いていた。
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