奇談

hyui

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《体験談》犬鳴峠

皆さんは犬鳴峠をご存知だろうか?

福岡県の犬鳴山を走る峠で、旧犬鳴トンネルが心霊スポットとして知られている。
「犬鳴」の名の由来は、山がとても深いため越えることが難しく、犬が泣き叫んだから、など諸説あるそうだ。

さて、この心霊スポットとして知られている方の旧犬鳴トンネルだが、全国でも一二を争うほどの有名どころらしく、様々な逸話が残されている。

曰く、トンネルの先には犬鳴村があり、村の入り口には「この先、日本国憲法(大日本帝国憲法)は通用しません」という看板が置かれてあり、日本地図からは抹消されている、だの。
曰く、トンネルの柵には鳴子の罠があり、罠にかかると斧を持った村の住人が襲いかかってくる、だの。
曰く、いたずら半分で入ったカップルが村で惨殺されただの。
なんともおどろおどらしいエピソードばかりだ。近年ではこれらの逸話を元にしたホラー映画も放映された。やはりかなり有名な心霊スポットらしい。

私が九州に配属していた頃、そんな犬鳴峠に行ってみようか、と先輩社員が提案してきた。
九州なんて滅多に来れないから観光で、と言っていたが、実際は女の子のアルバイトを連れ出す口実が欲しかったみたいだ。まあ先輩には逆らえないので、私はその日の仕事終わり、女性アルバイト2人と私と先輩の計4人で犬鳴峠に向かう羽目になった。

さて、オカルト好きな方ならここで心霊トラブルのエピソードを期待されるのだろうが……残念ながらご期待には沿えそうにない。
というのも、そんなことは何も起こらなかったからだ。
鳴子の罠などどこにも無かったし、犬鳴村が云々かんぬんといわれていたが、そもそもそこに通じる旧犬鳴トンネルは大量のレンガで塞がれて入れなかったし。
むしろ、トンネルに向かうまでの手すりのない崖道や、ヤンキーが乗った車や、夜道に一人で置いてけぼりにされたことの方がよっぽど怖かった。
女の子の方は、帰りの電話ボックスで女の人を見ただの、うわ言を言いながら刃を逆さにした包丁で食材を切ろうとしただの、なにやら騒いでいたが多分寝ぼけていたのだろう。

ともかく、心霊よりも生きている人間や事故の方がよほど恐ろしいのは明らかだ。旧犬鳴トンネルには近づかない事をオススメする。
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