婚約破棄がしたくて一人二役をする婚約者が可愛い

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 結婚式当日も逃げ出そうとしたミリスを捕獲し、なんとか結婚式を挙げた。

 ミリスは眠らせた状態であったので、謙次がお姫様抱っこをしながらだったが。
 招待客には「あまりの喜びに妻は気を失ってしまって...」と伝え、謙次は愛おしそうに見えるようミリスを抱きしめながらの結婚式であった。

 卒業パーティに参加していた何人かの参列者は訝しそうな顔をしていたが、貴族同士なので野暮なことには突っついてこない。

 ミリスの友人達は青い顔をしていたが、言葉をつぐんでいた様子であった。

 披露宴は謙次1人で執り行い、結婚式は粛々と終了した。

 ミリスは眠り薬が強かったのか、披露宴後も寝ていたので初夜は見送りとなった。

 ___元々、初夜は見送り予定だったが。

 ミリスの様子があんまりにもだったため、予定は半年見送りである。

 謙次はミリスのベットの側まで近づき、ミリスの頬をそっと撫でた。

 ___私は、キミのことが好きになったんだけどな。

 ミリスの憂いを晴らすことを徹底することしよう、そう決意した夜であった。


***

 辺境伯家にミリスを連れてきたが、ミリスはまだ謙次が浮気するに違いない確信している様子であった。

「ピンクの髪の女で」「ノアっていう名前」「可愛らしい振る舞いで謙次様を誘惑して私を殺すのよ」

 カウンセリングを受けていくなかで、ミリスはポツポツとそう話すようになった。

 ___ミリスが演じたノアにそっくりな様子だな。

 謙次にはミリスの言葉がよく理解できなかったが、使用人などでもピンク髪の女性は謙次やミリスに近づかないように徹底させた。

「謙次様の理想がノアなのよ」「だから恋に盲目になって私を殺すの」

 ミリスは、謙次に"ノア"という女性の愛人ができて、自分を殺すと繰り返し述べていた。

 確かに、ミリスが演じていたノアは謙次が好きなタイプの可愛らしい女性であった。
 けれど、もし似たような女性が現れても、今なら恋をしない確信があった。

 ___ミリスに好きだと伝えてみようか。

 謙次は機会を伺いながら過ごすことにした。
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