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第七十三話.エアシルの町 1 基本計画と実行
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翌朝、皆で食事をし各自仕事に就いた。俺達は打ち合わせをして計画を決めていく。
昼までに基本計画が決まったので、俺達はイースの町へ行く事にした。ニールゼン男爵に会うためだ。
お金はいくらでも必要なのでクライフにさらに宝箱とマジックバッグを預けた。臨時的に人を雇ったり資材を購入するためだ。
ブルックに乗り城を出る。
「なんだかんだ言って結局三人でブルックに乗ってるわね」
「そうだな、じっとはしていられないな」
「ふふ、不思議ですね」
三人で走りとおっぱいを楽しみイースの町のニールゼン男爵を尋ねた。二ールゼン男爵も帰ってきていたようで行くとすぐに会ってくれた。
「おおっもう帰ってたのか、今日はどうしたんだ」
「はい、道を整備しようと思いまして相談に来たんですよ」
「ここからエアシル城までの道か」
「はい、この地図を見てください」
ルーレットから渡されたこの付近の全体図を机に広げる。
「良くできた地図だな」
ニールゼン男爵が驚いた。かなり詳細に描かれているらしい。
「ええ、部下が優秀なので」
「羨ましいな」
本気で言っているようだ。笑ってごまかす。
「ははは。で、この道を整備して馬車でも楽に通れるようにしようと思うのですがいいでしょうか」
「ああ、もちろんいいぞ、そっちでやってくれるならありがたいくらいだ」
「あと、このニース大湖に流れている川をここまで引っ張り大きくして、道の横に沿うようにします。船でうちまで来れるようにしたいのですが、いいでしょうか」
「すごい計画だがそんな事出来るのか? やれるならもちろんいいが、大丈夫か」
「はい、アイテムボックス使いと、魔道具がありますので何とかなると思います」
俺が頑張るだけなんだけど。
「いや、できたらすごいな。でも船が通れるほどの水量がこの川にはないんじゃないか」
流石ニールゼン男爵、問題点に気づいたようだ。確かに常時流れている水量では川幅も深さも足りてはいない。
「ええ、なのでうちの領地の城の北西。ここにダムを造ります」
「何? ダム? 大きな湖を人工的に作るのか。おいおい本当か」
「はい、理論上は可能です。水を貯めておけば、水不足にも対応できますし、逆に、この調整用の空池もさらに西に作りますので治水対策にもなります」
施工図面をもう一枚広げて、完成した姿を確認してもらった。しばらく図面を見比べてうなるように口を開いた。
「お前……天才だったのか」
ニールゼン男爵が素直に感心した。
「ああ、出来るならぜひやってくれ。いや、こんな事を考えるやつがいるとはな。俺は本当に運がいい。はっはっは、面白い。エルヴァン、面白いな。進めてくれ」
「はい、ありがとうございます」
「もうすぐ雨季がくる。やるなら空池のほうから進めてくれるとありがたい。水害は毎年かなりあるんだ。少しでも被害が減ると助かるよ」
「分かりました」
書類にサインしてもらいエアシル城に戻った。実はこれで北の領地も正式に認めてもらった事になるのだ。もともと森から上はやる。と言われていたが図面でも書面でも証拠はないので、念のため書類を作成したのだ。クライフに書類を渡たす。
「これで間違いなく森から上はエアシル領地ですな」
「やりましたね、兄上」
川と道路についてもエアシル領の所有になっているのだ。
……黒いぜクライフ、本当はルーレットとホーニャンが考えたらしい。商人は怖いな。
クライフとルーレット、ホーニャンが悪い顔で笑っている。(ように見える)
正直ニールゼン男爵は、言えば普通にくれると思う。というかすでに譲られているのだ。北には山しかないし。ずっと北上するとザクザク山脈と言う、ふざけた名前の山脈があるだけだ。その巨大山脈が在るせいで村もないし領主もいない。
地図上では、ここからほぼまっすぐ北上できれば王都にいけるのだがザクザク山脈が東西を横切り、さらに北にもトゲトゲ山脈が東西に横切っているため、大きく迂回しなければ王都までいけない。
なので不毛の地として地図上でも空白地になっている。
一応書類は揃ったので皆で夕食を食べて寝た。
翌朝から図面に合わせて裏山を平地にする作業にはいった。山の頂上まで三人で歩く。
「本当にこの山が平らになるの?」
「信じられませんが。エルさんなら出来るような気もします」
「どうかな、俺も自信がなくなってきた」
朝一で城から出て山に登り、頂上に着いたのは夕方だった。
頂上の一本杉のような木の下で周りを見る。辺りが見渡せるが回りは高い山ばかりだ。
「ほれ、城が下にあるぞ」
「本当だ、いい景色ね。山の水が集まってあの川になってるのね」
「川がニース大湖に流れてるのが分かりますね」
「ああ、この山を平地にするのか。自分で言っておいてなんだが、すごい事だな」
図面上では簡単に出来るつもりだったが、いざ目の前にしたら余りの規模に怖気づいてしまったのだ。
「でしょう、どうするのよ。少し試してみる?」
「ええ、やってみましょうよ。テント小屋も置く場所が必要ですしね」
傾斜のある頂上ではテント小屋を置く場所もない。少しは整地しないと寝る場所も確保できないのだ。
「そうだな、よしやるか。アル、補助をくれ」
「はい、光の翼!天使の祝福!」
アルフィーの手からまばゆい光が発せられ、俺の全身を包み込む。光が消えると俺の頭に薄く光る天使の輪っかが現れた。勇気と力が湧いてくる。
冒険者養成学校で習ったアルフィーの補助呪文だ。なぜか俺にしか効果はないが、俺の能力が向上するのだ。
「よし、いける気がする」
ジャンと音がして大きな頂上の木が収納された。
「おお! すごいわね」
「すごいです! エルさん」
マジックバッグに詰め替える。
「少し離れてくれ」
地面に両手を付けその周りの一帯を回収する。―ジャン。周りが一気に掘り下がる。
「おおっさすが」
「大丈夫そうですね」
マジックバッグに詰め替える。
これならいけそうだ。ひたすら作業を繰り返す。たまにアルフィーにヒールしてもらい。ガンガン山を削っていく。
1時間でかなりの部分が平地になった。
「今日はここまでにしておこう」
「お疲れ様でしたエルさん」
「予想以上よ、すごいわねエル」
テント小屋を出してトイレテントを設置する。中に入ってお湯で体を拭こうと思ったが、やめた。
「どうせなら外でお風呂に入るか」
「いいわね! もう大分暗くなったし、どうせ誰もいないしね、ここなら絶好の露天風呂になるわね」
シルフィーも大賛成だ。
「大丈夫ですかエルさん」
「ああ、やってみようか」
マジックバッグから三人用のお風呂を出して湯を入れた。ちょうどいい湯加減だ。
二人の服も一瞬で脱がせて三人で湯船に入る。少しだけお湯が溢れた。
夕日が沈んで月が奇麗に輝き始めていた。
「あーーー」
「これはいいわねー、贅沢だわ」
「景色を見ながらお風呂なんて素敵です、これなら本当にお客さんが来ますね」
山頂の絶景露天風呂に二人も喜ぶ。
「こんなのもどうだ」
浮いたお盆に果実酒とコップを乗せた。ついでに白いパンも出す。
「贅沢よ! すごいわエル」
「これはすごいです」
「月見酒、風呂飯、裸、美女二人だ」
「……よく分からないけどなんかすごいわ」
「ええ、最高です」
アルフィーとシルフィーに冷えた果実酒を注ぐ。乾杯してグイッと飲んだ。メチャクチャ旨い。
「ああ、美味しいわぁ、いいのかしら。なんだか悪い事をしてる気がするわ」
「あぁ、冷たくて美味しいです。私幸せですぅ」
「旨いな、のぼせないように気をつけろよ」
そう言って風呂のへりに座った。
酒も飲んでテンションがあがり、いつもより楽しくいちゃついてから風呂をでた。
テント小屋に入り、久々の野宿を楽しんだ。
昼までに基本計画が決まったので、俺達はイースの町へ行く事にした。ニールゼン男爵に会うためだ。
お金はいくらでも必要なのでクライフにさらに宝箱とマジックバッグを預けた。臨時的に人を雇ったり資材を購入するためだ。
ブルックに乗り城を出る。
「なんだかんだ言って結局三人でブルックに乗ってるわね」
「そうだな、じっとはしていられないな」
「ふふ、不思議ですね」
三人で走りとおっぱいを楽しみイースの町のニールゼン男爵を尋ねた。二ールゼン男爵も帰ってきていたようで行くとすぐに会ってくれた。
「おおっもう帰ってたのか、今日はどうしたんだ」
「はい、道を整備しようと思いまして相談に来たんですよ」
「ここからエアシル城までの道か」
「はい、この地図を見てください」
ルーレットから渡されたこの付近の全体図を机に広げる。
「良くできた地図だな」
ニールゼン男爵が驚いた。かなり詳細に描かれているらしい。
「ええ、部下が優秀なので」
「羨ましいな」
本気で言っているようだ。笑ってごまかす。
「ははは。で、この道を整備して馬車でも楽に通れるようにしようと思うのですがいいでしょうか」
「ああ、もちろんいいぞ、そっちでやってくれるならありがたいくらいだ」
「あと、このニース大湖に流れている川をここまで引っ張り大きくして、道の横に沿うようにします。船でうちまで来れるようにしたいのですが、いいでしょうか」
「すごい計画だがそんな事出来るのか? やれるならもちろんいいが、大丈夫か」
「はい、アイテムボックス使いと、魔道具がありますので何とかなると思います」
俺が頑張るだけなんだけど。
「いや、できたらすごいな。でも船が通れるほどの水量がこの川にはないんじゃないか」
流石ニールゼン男爵、問題点に気づいたようだ。確かに常時流れている水量では川幅も深さも足りてはいない。
「ええ、なのでうちの領地の城の北西。ここにダムを造ります」
「何? ダム? 大きな湖を人工的に作るのか。おいおい本当か」
「はい、理論上は可能です。水を貯めておけば、水不足にも対応できますし、逆に、この調整用の空池もさらに西に作りますので治水対策にもなります」
施工図面をもう一枚広げて、完成した姿を確認してもらった。しばらく図面を見比べてうなるように口を開いた。
「お前……天才だったのか」
ニールゼン男爵が素直に感心した。
「ああ、出来るならぜひやってくれ。いや、こんな事を考えるやつがいるとはな。俺は本当に運がいい。はっはっは、面白い。エルヴァン、面白いな。進めてくれ」
「はい、ありがとうございます」
「もうすぐ雨季がくる。やるなら空池のほうから進めてくれるとありがたい。水害は毎年かなりあるんだ。少しでも被害が減ると助かるよ」
「分かりました」
書類にサインしてもらいエアシル城に戻った。実はこれで北の領地も正式に認めてもらった事になるのだ。もともと森から上はやる。と言われていたが図面でも書面でも証拠はないので、念のため書類を作成したのだ。クライフに書類を渡たす。
「これで間違いなく森から上はエアシル領地ですな」
「やりましたね、兄上」
川と道路についてもエアシル領の所有になっているのだ。
……黒いぜクライフ、本当はルーレットとホーニャンが考えたらしい。商人は怖いな。
クライフとルーレット、ホーニャンが悪い顔で笑っている。(ように見える)
正直ニールゼン男爵は、言えば普通にくれると思う。というかすでに譲られているのだ。北には山しかないし。ずっと北上するとザクザク山脈と言う、ふざけた名前の山脈があるだけだ。その巨大山脈が在るせいで村もないし領主もいない。
地図上では、ここからほぼまっすぐ北上できれば王都にいけるのだがザクザク山脈が東西を横切り、さらに北にもトゲトゲ山脈が東西に横切っているため、大きく迂回しなければ王都までいけない。
なので不毛の地として地図上でも空白地になっている。
一応書類は揃ったので皆で夕食を食べて寝た。
翌朝から図面に合わせて裏山を平地にする作業にはいった。山の頂上まで三人で歩く。
「本当にこの山が平らになるの?」
「信じられませんが。エルさんなら出来るような気もします」
「どうかな、俺も自信がなくなってきた」
朝一で城から出て山に登り、頂上に着いたのは夕方だった。
頂上の一本杉のような木の下で周りを見る。辺りが見渡せるが回りは高い山ばかりだ。
「ほれ、城が下にあるぞ」
「本当だ、いい景色ね。山の水が集まってあの川になってるのね」
「川がニース大湖に流れてるのが分かりますね」
「ああ、この山を平地にするのか。自分で言っておいてなんだが、すごい事だな」
図面上では簡単に出来るつもりだったが、いざ目の前にしたら余りの規模に怖気づいてしまったのだ。
「でしょう、どうするのよ。少し試してみる?」
「ええ、やってみましょうよ。テント小屋も置く場所が必要ですしね」
傾斜のある頂上ではテント小屋を置く場所もない。少しは整地しないと寝る場所も確保できないのだ。
「そうだな、よしやるか。アル、補助をくれ」
「はい、光の翼!天使の祝福!」
アルフィーの手からまばゆい光が発せられ、俺の全身を包み込む。光が消えると俺の頭に薄く光る天使の輪っかが現れた。勇気と力が湧いてくる。
冒険者養成学校で習ったアルフィーの補助呪文だ。なぜか俺にしか効果はないが、俺の能力が向上するのだ。
「よし、いける気がする」
ジャンと音がして大きな頂上の木が収納された。
「おお! すごいわね」
「すごいです! エルさん」
マジックバッグに詰め替える。
「少し離れてくれ」
地面に両手を付けその周りの一帯を回収する。―ジャン。周りが一気に掘り下がる。
「おおっさすが」
「大丈夫そうですね」
マジックバッグに詰め替える。
これならいけそうだ。ひたすら作業を繰り返す。たまにアルフィーにヒールしてもらい。ガンガン山を削っていく。
1時間でかなりの部分が平地になった。
「今日はここまでにしておこう」
「お疲れ様でしたエルさん」
「予想以上よ、すごいわねエル」
テント小屋を出してトイレテントを設置する。中に入ってお湯で体を拭こうと思ったが、やめた。
「どうせなら外でお風呂に入るか」
「いいわね! もう大分暗くなったし、どうせ誰もいないしね、ここなら絶好の露天風呂になるわね」
シルフィーも大賛成だ。
「大丈夫ですかエルさん」
「ああ、やってみようか」
マジックバッグから三人用のお風呂を出して湯を入れた。ちょうどいい湯加減だ。
二人の服も一瞬で脱がせて三人で湯船に入る。少しだけお湯が溢れた。
夕日が沈んで月が奇麗に輝き始めていた。
「あーーー」
「これはいいわねー、贅沢だわ」
「景色を見ながらお風呂なんて素敵です、これなら本当にお客さんが来ますね」
山頂の絶景露天風呂に二人も喜ぶ。
「こんなのもどうだ」
浮いたお盆に果実酒とコップを乗せた。ついでに白いパンも出す。
「贅沢よ! すごいわエル」
「これはすごいです」
「月見酒、風呂飯、裸、美女二人だ」
「……よく分からないけどなんかすごいわ」
「ええ、最高です」
アルフィーとシルフィーに冷えた果実酒を注ぐ。乾杯してグイッと飲んだ。メチャクチャ旨い。
「ああ、美味しいわぁ、いいのかしら。なんだか悪い事をしてる気がするわ」
「あぁ、冷たくて美味しいです。私幸せですぅ」
「旨いな、のぼせないように気をつけろよ」
そう言って風呂のへりに座った。
酒も飲んでテンションがあがり、いつもより楽しくいちゃついてから風呂をでた。
テント小屋に入り、久々の野宿を楽しんだ。
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