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その3
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冒険者気分を味わうのはいいが、寝るのは一緒にゆっくり寝たい。
ランタンを取り出して焚き火を回収した。
「もう少し先に岩場があるだろう。そこで穴を掘って地下室を作ろうか。どうせなら安全に二人で寝たい」
「そうですね。そうしましょうか」
一応念のため、アルフィーに戦士セットを着せて、俺も魔導士セットに着替えた。
これはイチリルの町を出た時の装備だ。
特に何も出ないまま、近くの岩場までたどり着いた。
ここなら地盤が固そうだ。
地面に杖を付ける……ジャンと音がして岩を少しずつ回収しながら斜め45度掘り下げて地下にもぐっていく。
しばらく掘り進んだところでテント小屋より一回り大きな穴を開けた。
念のため周りを軽く叩いて強度に問題ないか確認する。
急に崩れると危ないからな。
回りも硬い岩なので大丈夫だと思われる。
そしてテント小屋を取り出した。
入口に戻り、少しだけ空気取り入れ用に残して穴を塞いだ。これなら安心して眠れそうだ。
テント小屋に二人で入った。
「流石エルさんです。これなら安全ですね」
「ああ、これくらいなら町を出た時点でも出来たかもしれないな」
「そうですね。ではお風呂にしましょうか。旦那様」
アルフィーが期待した目で俺を見る。
「そうだな。では……今日は三人用の浴槽でいいかな」
「はい、お願いします」
三人用の風呂を出して、お湯を入れる。
さっそく湯船にゆっくり入った。
「あーーー」
自然と声がでてしまう。
「気持ちいいですね」
「二人だけの風呂も初めてだな」
「今日は全部初体験ですね」
「まぁそうだな」
「シルフィーさんとは最初二人でいたんですもんね」
アルフィーが恨めしそうな顔をした。
「ははは。そうだな。でも一日だけだぞ?」
「そうでしたか? でもずるいです。本当は私も……特に最初は二人っきりが良かったですよ」
「そうか、ごめんな。そうだよな」
「ふふふ、でもいいです。これで二人っきりになれましたからね」
「ああ、なんか新鮮だ。俺も最初からアルフィーが好きだった。初めて見た時からずっとアルフィーの事を好きだったんだ。引くかも知れないけど……最初に冒険者カードを貰う時にはもう好きだったんだぞ」
二人きりなので思い切って暴露する。
「私もですよ。受付に来た時にあっこの人だ! って思ったんです」
「そんなそぶり無かったじゃないか」
「それはそうですよ……そんな事言える分け無いじゃないですか」
「えー言ってくれればその場でOKしたのに」
「ふふふ。おかしいでしょ。なんて言うんですか」
「そうだな……エルヴァンさんですね。冒険者登録おめでとうございます。今なら特典として私がペアで付いてきます。とかどうだ?」
「そんなの言えないですよ。嫌だって言われたらどうするんですか。立ち直れないですよ」
「アルに言われて断るやつがいるわけないじゃないか。まあ、怪しさ満載だけどな」
「でしょう。初めて誘った時でもすごい勇気がいったんですよ。エルさんは誘ってくれなかったじゃないですか」
「そうだな。そうだよな。俺も誘えば良かったんだよな。でも見てるだけだった。そうだな。でもまさか誘ってくれるとはな。そうだ。俺が誘うべきだ。いや。でもな」
「ふふふ。でもまさか。こんな風になるなんて思ってもなかったです」
「俺もそうさ、特にオルが来てからだな。信じられないよ。主だって、とてもそんな神みたいな存在とは思えないんだ。でもゴルゴーンやドリューンも見ただけで主だって言うし、サイファーもそうだろ。どうなってるんだって思うんだ」
「私もそうですよ。大天使だって……そんなのありえないって思いますよ。白い翼も出るし天使の輪も出るようになって天使みたいだ。とは思いましたけど魔法ですからね。私もそんなに綺麗な人間じゃないんです。本当はいっぱいずるい事も酷い事も考えてるんです。……でも皆がそんな目で見るから、期待に答えないとって、……本当は小さな人間なんですよ」
少し思いつめていたのか、アルフィーは途中から泣いていた。
そっとアルフィーを抱きしめる。
そうだよな。
そんな綺麗なだけの人なんていないよな。
俺達はお互いに、二人でしか話せない事を話し合った。
のぼせてしまうので、二人で頭と体を洗って風呂から上がってベッドで遅くまで語り合った。
そう。
初めて二人で思っていることをお互いに話し合えた気がした。
ランタンを取り出して焚き火を回収した。
「もう少し先に岩場があるだろう。そこで穴を掘って地下室を作ろうか。どうせなら安全に二人で寝たい」
「そうですね。そうしましょうか」
一応念のため、アルフィーに戦士セットを着せて、俺も魔導士セットに着替えた。
これはイチリルの町を出た時の装備だ。
特に何も出ないまま、近くの岩場までたどり着いた。
ここなら地盤が固そうだ。
地面に杖を付ける……ジャンと音がして岩を少しずつ回収しながら斜め45度掘り下げて地下にもぐっていく。
しばらく掘り進んだところでテント小屋より一回り大きな穴を開けた。
念のため周りを軽く叩いて強度に問題ないか確認する。
急に崩れると危ないからな。
回りも硬い岩なので大丈夫だと思われる。
そしてテント小屋を取り出した。
入口に戻り、少しだけ空気取り入れ用に残して穴を塞いだ。これなら安心して眠れそうだ。
テント小屋に二人で入った。
「流石エルさんです。これなら安全ですね」
「ああ、これくらいなら町を出た時点でも出来たかもしれないな」
「そうですね。ではお風呂にしましょうか。旦那様」
アルフィーが期待した目で俺を見る。
「そうだな。では……今日は三人用の浴槽でいいかな」
「はい、お願いします」
三人用の風呂を出して、お湯を入れる。
さっそく湯船にゆっくり入った。
「あーーー」
自然と声がでてしまう。
「気持ちいいですね」
「二人だけの風呂も初めてだな」
「今日は全部初体験ですね」
「まぁそうだな」
「シルフィーさんとは最初二人でいたんですもんね」
アルフィーが恨めしそうな顔をした。
「ははは。そうだな。でも一日だけだぞ?」
「そうでしたか? でもずるいです。本当は私も……特に最初は二人っきりが良かったですよ」
「そうか、ごめんな。そうだよな」
「ふふふ、でもいいです。これで二人っきりになれましたからね」
「ああ、なんか新鮮だ。俺も最初からアルフィーが好きだった。初めて見た時からずっとアルフィーの事を好きだったんだ。引くかも知れないけど……最初に冒険者カードを貰う時にはもう好きだったんだぞ」
二人きりなので思い切って暴露する。
「私もですよ。受付に来た時にあっこの人だ! って思ったんです」
「そんなそぶり無かったじゃないか」
「それはそうですよ……そんな事言える分け無いじゃないですか」
「えー言ってくれればその場でOKしたのに」
「ふふふ。おかしいでしょ。なんて言うんですか」
「そうだな……エルヴァンさんですね。冒険者登録おめでとうございます。今なら特典として私がペアで付いてきます。とかどうだ?」
「そんなの言えないですよ。嫌だって言われたらどうするんですか。立ち直れないですよ」
「アルに言われて断るやつがいるわけないじゃないか。まあ、怪しさ満載だけどな」
「でしょう。初めて誘った時でもすごい勇気がいったんですよ。エルさんは誘ってくれなかったじゃないですか」
「そうだな。そうだよな。俺も誘えば良かったんだよな。でも見てるだけだった。そうだな。でもまさか誘ってくれるとはな。そうだ。俺が誘うべきだ。いや。でもな」
「ふふふ。でもまさか。こんな風になるなんて思ってもなかったです」
「俺もそうさ、特にオルが来てからだな。信じられないよ。主だって、とてもそんな神みたいな存在とは思えないんだ。でもゴルゴーンやドリューンも見ただけで主だって言うし、サイファーもそうだろ。どうなってるんだって思うんだ」
「私もそうですよ。大天使だって……そんなのありえないって思いますよ。白い翼も出るし天使の輪も出るようになって天使みたいだ。とは思いましたけど魔法ですからね。私もそんなに綺麗な人間じゃないんです。本当はいっぱいずるい事も酷い事も考えてるんです。……でも皆がそんな目で見るから、期待に答えないとって、……本当は小さな人間なんですよ」
少し思いつめていたのか、アルフィーは途中から泣いていた。
そっとアルフィーを抱きしめる。
そうだよな。
そんな綺麗なだけの人なんていないよな。
俺達はお互いに、二人でしか話せない事を話し合った。
のぼせてしまうので、二人で頭と体を洗って風呂から上がってベッドで遅くまで語り合った。
そう。
初めて二人で思っていることをお互いに話し合えた気がした。
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