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ますます王都に憧れを持ったぞ

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「そうだ。ここまで話したからにはついでに言っておくけれど。男性の中にもあえて愛人を目指す者がいるからね。王都ではこういう男にも気を付けないといけないよ」

 うん、だから。
 私は婿を取る気もなければ、愛人も欲していないぞ?

 そんな私の愛人をあえて目指すというのか?

 ははっ。そいつは余程血を見たいらしいな。
 面白い。やるか?あぁ、やってやるぞ。

 と、勢い付いたけれど。
 まだいない架空の相手の話だったと思い出した。

 危なかった。
 立ち上がって駆け出すところだったぞ。

 よくぞ思い留まったな私。


 ん?
 冷静になると話がおかしいと分かった。
 愛人を持てるのは、当主となる貴族だけではなかったか?

 すると姉の愛人を望むような愚者が出ると。
 それを気を付けろと、文官王子は忠告してくれているわけか。

 はっはっはっ。
 私に掛かれば、そんな奴は即刻退治してやるけどな?

 うちの姉の愛人の座が簡単に手に入ると思うなよ!


 だけどどうして愛人なんか目指すのだろう?
 文官王子が先に言ったように、文官になるなり、騎士になるなりした方が、余程自由に自分の力で生きていけると思うのだが。
 何故あえて愛人の立場を望むんだ?

「腑に落ちないと言う顔をしているね」

 そう言った文官王子は、また私を小馬鹿にするように笑っていた。

 やるのか?やってやるぞ?

 だが私は分別のある女だからな!
 姉のために王子の相手はしないでやるぞ。
 本当に感謝しろよな!

 姉に何かするというなら、話は別だけどな?
 分かっているよな、文官王子?


 文官王子は何も分かっていなかった。
 やはりお喋りを好むようで、それも大分だ。

「彼らの気持ちを理解出来ない私としては、想像の域を越える話は出来ないけれど。彼らにとっての第一が暮らしの安寧なのではないかな?囲われていることに抵抗感さえなければ、何の責任もなく一生働かずに暮らしていけるのだから。相手次第では贅沢も出来ることになる。それが彼らにとっては最も理想的な幸せの形なのだろうね」

 ふむ。考え方は人それぞれこうも違うものなのだな。

 つまり!
 王都では全員敵だと思えばいいということか!



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