上 下
60 / 336
第4章

第141話 おまじない

しおりを挟む
大きなケースに教科書と筆記用具と服と砂時計を詰め込んで、と。
よし、忘れ物はない。ばっちりだ。

今日はフェルライト公爵邸に帰る日。

「用意できたか?」
「うん」

馬車に乗って帰る間、僕とクライスはずうっと手を繋いでいた。まるで初めてこの学園にきた時みたいに。第一王子御用達の豪華な馬車は今日も颯爽と走り、僕の屋敷に着くのはあっという間だった。

「クライス、あの、手……」
「ああ……」

もうお別れ……寂しい。だけど我慢だ。休暇中だってダンスパーティーでまた会える。
彼の手を借りて馬車を降りると、そのままふわりと抱き寄せられた。何するの? と思ったら、額にそっと優しいキスが降ってきた。

(あ、おまじないだ。)

キラキラと輝く朝の光の中、そうっと触れるだけのキスは、すごく神秘的でなんだかすごく大切なものをもらった気がした。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【7人の魔王1】転生したら悪役令嬢の父だったらしい

BL / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:1,633

鉱夫剣を持つ 〜ツルハシ振ってたら人類最強の肉体を手に入れていた〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,087pt お気に入り:160

女學生のお嬢さまはヤクザに溺愛され、困惑しています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:227pt お気に入り:686

甘い婚約~王子様は婚約者を甘やかしたい~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:633pt お気に入り:387

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。