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第二章 炎の山
21. コールの訪問
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宿に戻った颯空はすぐさまベッドに横になった。魔力不全の影響で、今の自分は上手く魔力を練ることができない。魔法を使わずに勝てる相手であれば問題ないのだが、それでは通用しない敵が万が一にも現れたら、それは死を意味する。さっさと治すべきだ。
颯空はベッドに寝っ転がりながらカーテンを閉め、眠りについた。
……コンコン。
ノックの音で目を覚ます。寝ぼけ眼でカーテンを開けると、空は赤みがかっていた。どうやら自分は夕方まで眠っていたらしい。
「サクさん、お客さんが来てるよ」
「……お客さん?」
宿のおかみさんが手短に用件だけ言って帰っていく。誰かが自分を尋ねてきた事など一度もなかった。不審に思いつつ、お手製の黒コートに腕を通し、颯空は部屋を出る。
「やぁ! 一ヶ月も顔を出さないなんて寂しかったよ!」
外で待っていたのは商人のコールだった。颯空は無表情のまま自分の部屋へと戻ろうとする。
「いやいや! この状況で部屋に戻ろうとするとかありえないでしょ!!」
慌てて呼び止めるコールの方へ、颯空は心底面倒くさそうに振り返った。
「悪い、今まで眠っててよ。あんまり寝起きに胸糞悪いもん見たくねぇんだわ」
「胸糞悪いものって僕の事だよね? 流石にひどくない?」
コールが笑いながらひくひくと頬を引きつらせる。
「で? 何の用だよ?」
「うちの専属冒険者がやらかしたって話を聞いてね! 盛大にからかってやろうと」
「じゃあな」
「嘘嘘嘘! 冗談だよ! イッツァジョーク!! 偶にはご飯でもどうかって思ってね!」
本気で部屋に戻ろうとした颯空の腕をコールが掴む。無慈悲に振り払おうとした颯空だったが、そのあまりの必死さに、颯空は大きくため息を吐いた。
「……誘ったからにはおごれよ?」
「僕におごらせようとするなんて流石はサクだね! 本来であれば絶対に首を縦には降らないけど、サクは僕の専属冒険者だからね! 労いの意を込めて、今日はおごってあげるよ! さぁ、ヒアウィーゴー!」
元気よく歩き出したコールの後ろを、元気をなくした颯空が黙ってついていく。
コールが颯空を引き連れてやって来たのはガンドラの南地区、商業街にある店だった。
「ここがガンドラで僕が一番おすすめの店である海産亭だよ!」
バッと腕を広げながらコールが店を指し示す。それを適当に無視しつつ、颯空が店に目を向けた。主に活動している西地区ではあまり見ない小洒落た外装。高級店までとは言わないが、それなりの料金が求められそうな店だ。
「ルクセントほどじゃないけど、海に面してるこの街は海産物が豊富でね! 期待していいと思うよー!」
なんだかんだ言って、コールは名のある商人だ。そんな男が勧める店なら間違いはないはず。
鼻歌を歌っているコールにの後に続いて中へと入る。店内も外に負けず劣らずお洒落な装飾が施されていた。どこか南国を思わせる内装に、颯空は昔雑誌で見た海外のパンケーキ屋を思い出した。
店員に案内され席に着いた颯空は、メニューが用意されている事に驚く。元の世界であればむしろメニューがない店の方が驚きなのだが、ハウンドドッグに通い詰めた自分は、どうやら随分とこの世界に毒されてしまったようだ。
「それで? 何かあったの?」
注文を終え、一息ついたところでコールが尋ねてきた。店内をぼーっと眺めていた颯空が眉を寄せる。
「何かあったってなんだよ?」
「立場上、目立つことを避けてる君が、素行の悪い冒険者が相手とはいえ、大勢の前で感情のままに行動するなんて何かあったと思うのが普通でしょ?」
「…………」
颯空はグラスを手に取り水を飲んだ。コール・インフルエンサー。何とも不思議な男だ。この男の前では隠し事は一切通用しないような錯覚に陥る。だが、昨日の出来事を話すのには抵抗があった。そんな颯空の心内を見透かしたようにコールがにやりと笑う。
「僕の事が信用できないって顔だね」
「……信用しろって方がおかしいだろ。こんな胡散臭い商人をよ」
言葉ではそう言ったが、この世界で生きていくうえで冒険者という道を示してもらい、それになる手助けまでしてもらっているので、多少の信頼はあった。冒険者になる手助けもだが、出会って一ヵ月の、しかもシフのように四六時中一緒にいたわけでもない相手に全幅の信頼を寄せられるほど、颯空は純粋ではない。
「僕はサクの事を信用しているんだけどね。じゃなきゃ、専属冒険者になんてしないよ」
「いいように使える手駒が欲しかっただけだろ」
「その程度じゃ専属にはしないよね。専属契約にはリスクがあるんだ。君が悪事に手を染めれば、関係ない僕までもが後ろ指をさされる事になる。信用第一の職種なのに、他人のせいでそれを失ったらたまったもんじゃないよ。だから、僕は今まで専属冒険者を作らなかったのさ」
コールの言い分はもっともだった。だが、それだと疑問がわいてくる。
「じゃあ、なぜ俺なんかを専属冒険者にした?」
「それはね……いいように使える友達が欲しかったからさ」
悪戯っぽく笑いながらコールが言った。予想外の答えに、颯空は目をしばたたかせる。
「部下や執事はいるけど、僕には友達がいないんだ。別に欲しいとも思わなかったんだけどね。でも、僕と同じ願望を持ったサクと出会って初めて、誰かと仲良くなりたいって思ったんだ」
「同じ願望?」
「自由気ままに好き勝手生きる事さ」
その言葉に、颯空が意外そうな表情を浮かべた。
「……もう十分その願望は叶ってんじゃねぇか?」
「まだまだ全然足りないよ! 欲深くなきゃ商人なんてやってられないからね! もっと自由にもっと好き勝手生きていきたい! そうすれば、人生はもっと楽しくなるはずだよ! 同じ思いを抱いているサクがいれば、きっと楽しさも二倍になるはずさ!」
きらきらと顔を輝かせるコールを見て、颯空が軽く肩をすくめる。
「まるでガキだな。……言ってることは支離滅裂だが、言いたいことは分かった。だが、前にも言った通り、俺はずっとお前の側にいる気はねぇぞ」
「そこらへんは大丈夫だよ! どこが遠くでサクがやらかしたエピソードを耳にしたら、それはそれで楽しいからね! 友達だからっていつも一緒にいなきゃいけないわけじゃないでしょ?」
「まぁ……そうだな」
「世界を旅してまわるのはいいけど、こんな悪友が一人くらいいてもいいんじゃないかな?」
コールがそういうのと同時に注文していた料理が二人のもとに運ばれてきた。おしぼりで手を拭きつつ舌なめずりをするコールを見ながら、颯空が頬杖を突く。
「……昔は俺にも悪友がいたんだが、そいつとはすっかり疎遠なってな。ここで新しく悪友を作るのも悪くねぇかもな」
幼馴染の顔が頭に浮かび、寂しげに笑った。城で元気にしているのか、少しだけ気になるところだ。
「しかも、相手が言わずと知れた天才商人なんだからお得過ぎるよね」
「はっ、天災の間違いだろ」
軽口を叩きつつ、颯空も料理に手を伸ばす。美味しい。流石は商界の麒麟児がおすすめするだけの事はある。
「お前のおかげで引っかかってたもんが取れてすっきりした……俺は好き勝手やる事にする」
自分が原因で大切な者を失い、それを悔やんで死を望んだ狐人種の少女。自分は彼女に苛立ちを覚え、そして、彼女のもとから逃げ出した。苛立ったのは彼女に過去の自分の姿を見たからで、逃げ出したのは、どうすれば彼女を救えるのかわからなかったからだ。
あの場から彼女を無理やり連れてくる事は簡単だった。だが、果たしてそれを彼女は望むだろうか? いっそ殺してやる方が彼女のためになるのでなかろうか?
そんな思考がぐるぐると頭の中を巡り続けていた。だが、コールの言葉で目が覚めた。
そうだ、自分は自由気ままに好き勝手生きていくと誓ったではないか。それならば、あの少女の意思など関係ない。彼女に生きていて欲しいと自分が思うのであれば、そうするまでの話だ。
「……それは昨日行った『炎の山』と関係あるのかな?」
「……なんでもお見通しってわけか」
「言ったでしょ? 情報は一番の武器だって。でも、だとしたら急いだ方がいいよ」
「急ぐ?」
「魔物大暴走が始まったらしい。もうじきこの街は封鎖される」
そういえば、この店に来るまでやけに街が騒がしかった。何かあったのか、と気になってはいたがまさか魔物大暴走が起きていたとは。
「確かに急いだ方がよさそうだな。街を封鎖されちゃ、山には行けねぇ」
「それだけじゃないよ。魔物大暴走の発生源は『炎の山』さ」
「え……?」
颯空の頭が一周真っ白になる。魔物大暴走の発生源という事は、あの山に大量の魔物が集まっているという事だ。いや、そんな事は昨日の時点で気づいていたはずだ。それなのに、予期せぬ出会いですっかり頭から抜け落ちていた。それなのに自分は、頂上に張られた結界はおろか、あの少女を守るため封印すら解いてしまっている。
「すぐにサガットギルド長のところへ行くことだね。彼はサクの事を気に入っているから、何とかしてくれると思うよ」
「……わかった。ありがとな」
そう言うや否や、颯空は全速力で店から出ていく。頭の中はあの少女の事しかなかった。
そんな颯空の背中を見送りながら、コールはゆっくりとワイングラスを揺らす。
「……グッドラック」
囁くような声でそう呟き、僅かに笑みを浮かべたコールは、静かにワイングラスを傾けた。
颯空はベッドに寝っ転がりながらカーテンを閉め、眠りについた。
……コンコン。
ノックの音で目を覚ます。寝ぼけ眼でカーテンを開けると、空は赤みがかっていた。どうやら自分は夕方まで眠っていたらしい。
「サクさん、お客さんが来てるよ」
「……お客さん?」
宿のおかみさんが手短に用件だけ言って帰っていく。誰かが自分を尋ねてきた事など一度もなかった。不審に思いつつ、お手製の黒コートに腕を通し、颯空は部屋を出る。
「やぁ! 一ヶ月も顔を出さないなんて寂しかったよ!」
外で待っていたのは商人のコールだった。颯空は無表情のまま自分の部屋へと戻ろうとする。
「いやいや! この状況で部屋に戻ろうとするとかありえないでしょ!!」
慌てて呼び止めるコールの方へ、颯空は心底面倒くさそうに振り返った。
「悪い、今まで眠っててよ。あんまり寝起きに胸糞悪いもん見たくねぇんだわ」
「胸糞悪いものって僕の事だよね? 流石にひどくない?」
コールが笑いながらひくひくと頬を引きつらせる。
「で? 何の用だよ?」
「うちの専属冒険者がやらかしたって話を聞いてね! 盛大にからかってやろうと」
「じゃあな」
「嘘嘘嘘! 冗談だよ! イッツァジョーク!! 偶にはご飯でもどうかって思ってね!」
本気で部屋に戻ろうとした颯空の腕をコールが掴む。無慈悲に振り払おうとした颯空だったが、そのあまりの必死さに、颯空は大きくため息を吐いた。
「……誘ったからにはおごれよ?」
「僕におごらせようとするなんて流石はサクだね! 本来であれば絶対に首を縦には降らないけど、サクは僕の専属冒険者だからね! 労いの意を込めて、今日はおごってあげるよ! さぁ、ヒアウィーゴー!」
元気よく歩き出したコールの後ろを、元気をなくした颯空が黙ってついていく。
コールが颯空を引き連れてやって来たのはガンドラの南地区、商業街にある店だった。
「ここがガンドラで僕が一番おすすめの店である海産亭だよ!」
バッと腕を広げながらコールが店を指し示す。それを適当に無視しつつ、颯空が店に目を向けた。主に活動している西地区ではあまり見ない小洒落た外装。高級店までとは言わないが、それなりの料金が求められそうな店だ。
「ルクセントほどじゃないけど、海に面してるこの街は海産物が豊富でね! 期待していいと思うよー!」
なんだかんだ言って、コールは名のある商人だ。そんな男が勧める店なら間違いはないはず。
鼻歌を歌っているコールにの後に続いて中へと入る。店内も外に負けず劣らずお洒落な装飾が施されていた。どこか南国を思わせる内装に、颯空は昔雑誌で見た海外のパンケーキ屋を思い出した。
店員に案内され席に着いた颯空は、メニューが用意されている事に驚く。元の世界であればむしろメニューがない店の方が驚きなのだが、ハウンドドッグに通い詰めた自分は、どうやら随分とこの世界に毒されてしまったようだ。
「それで? 何かあったの?」
注文を終え、一息ついたところでコールが尋ねてきた。店内をぼーっと眺めていた颯空が眉を寄せる。
「何かあったってなんだよ?」
「立場上、目立つことを避けてる君が、素行の悪い冒険者が相手とはいえ、大勢の前で感情のままに行動するなんて何かあったと思うのが普通でしょ?」
「…………」
颯空はグラスを手に取り水を飲んだ。コール・インフルエンサー。何とも不思議な男だ。この男の前では隠し事は一切通用しないような錯覚に陥る。だが、昨日の出来事を話すのには抵抗があった。そんな颯空の心内を見透かしたようにコールがにやりと笑う。
「僕の事が信用できないって顔だね」
「……信用しろって方がおかしいだろ。こんな胡散臭い商人をよ」
言葉ではそう言ったが、この世界で生きていくうえで冒険者という道を示してもらい、それになる手助けまでしてもらっているので、多少の信頼はあった。冒険者になる手助けもだが、出会って一ヵ月の、しかもシフのように四六時中一緒にいたわけでもない相手に全幅の信頼を寄せられるほど、颯空は純粋ではない。
「僕はサクの事を信用しているんだけどね。じゃなきゃ、専属冒険者になんてしないよ」
「いいように使える手駒が欲しかっただけだろ」
「その程度じゃ専属にはしないよね。専属契約にはリスクがあるんだ。君が悪事に手を染めれば、関係ない僕までもが後ろ指をさされる事になる。信用第一の職種なのに、他人のせいでそれを失ったらたまったもんじゃないよ。だから、僕は今まで専属冒険者を作らなかったのさ」
コールの言い分はもっともだった。だが、それだと疑問がわいてくる。
「じゃあ、なぜ俺なんかを専属冒険者にした?」
「それはね……いいように使える友達が欲しかったからさ」
悪戯っぽく笑いながらコールが言った。予想外の答えに、颯空は目をしばたたかせる。
「部下や執事はいるけど、僕には友達がいないんだ。別に欲しいとも思わなかったんだけどね。でも、僕と同じ願望を持ったサクと出会って初めて、誰かと仲良くなりたいって思ったんだ」
「同じ願望?」
「自由気ままに好き勝手生きる事さ」
その言葉に、颯空が意外そうな表情を浮かべた。
「……もう十分その願望は叶ってんじゃねぇか?」
「まだまだ全然足りないよ! 欲深くなきゃ商人なんてやってられないからね! もっと自由にもっと好き勝手生きていきたい! そうすれば、人生はもっと楽しくなるはずだよ! 同じ思いを抱いているサクがいれば、きっと楽しさも二倍になるはずさ!」
きらきらと顔を輝かせるコールを見て、颯空が軽く肩をすくめる。
「まるでガキだな。……言ってることは支離滅裂だが、言いたいことは分かった。だが、前にも言った通り、俺はずっとお前の側にいる気はねぇぞ」
「そこらへんは大丈夫だよ! どこが遠くでサクがやらかしたエピソードを耳にしたら、それはそれで楽しいからね! 友達だからっていつも一緒にいなきゃいけないわけじゃないでしょ?」
「まぁ……そうだな」
「世界を旅してまわるのはいいけど、こんな悪友が一人くらいいてもいいんじゃないかな?」
コールがそういうのと同時に注文していた料理が二人のもとに運ばれてきた。おしぼりで手を拭きつつ舌なめずりをするコールを見ながら、颯空が頬杖を突く。
「……昔は俺にも悪友がいたんだが、そいつとはすっかり疎遠なってな。ここで新しく悪友を作るのも悪くねぇかもな」
幼馴染の顔が頭に浮かび、寂しげに笑った。城で元気にしているのか、少しだけ気になるところだ。
「しかも、相手が言わずと知れた天才商人なんだからお得過ぎるよね」
「はっ、天災の間違いだろ」
軽口を叩きつつ、颯空も料理に手を伸ばす。美味しい。流石は商界の麒麟児がおすすめするだけの事はある。
「お前のおかげで引っかかってたもんが取れてすっきりした……俺は好き勝手やる事にする」
自分が原因で大切な者を失い、それを悔やんで死を望んだ狐人種の少女。自分は彼女に苛立ちを覚え、そして、彼女のもとから逃げ出した。苛立ったのは彼女に過去の自分の姿を見たからで、逃げ出したのは、どうすれば彼女を救えるのかわからなかったからだ。
あの場から彼女を無理やり連れてくる事は簡単だった。だが、果たしてそれを彼女は望むだろうか? いっそ殺してやる方が彼女のためになるのでなかろうか?
そんな思考がぐるぐると頭の中を巡り続けていた。だが、コールの言葉で目が覚めた。
そうだ、自分は自由気ままに好き勝手生きていくと誓ったではないか。それならば、あの少女の意思など関係ない。彼女に生きていて欲しいと自分が思うのであれば、そうするまでの話だ。
「……それは昨日行った『炎の山』と関係あるのかな?」
「……なんでもお見通しってわけか」
「言ったでしょ? 情報は一番の武器だって。でも、だとしたら急いだ方がいいよ」
「急ぐ?」
「魔物大暴走が始まったらしい。もうじきこの街は封鎖される」
そういえば、この店に来るまでやけに街が騒がしかった。何かあったのか、と気になってはいたがまさか魔物大暴走が起きていたとは。
「確かに急いだ方がよさそうだな。街を封鎖されちゃ、山には行けねぇ」
「それだけじゃないよ。魔物大暴走の発生源は『炎の山』さ」
「え……?」
颯空の頭が一周真っ白になる。魔物大暴走の発生源という事は、あの山に大量の魔物が集まっているという事だ。いや、そんな事は昨日の時点で気づいていたはずだ。それなのに、予期せぬ出会いですっかり頭から抜け落ちていた。それなのに自分は、頂上に張られた結界はおろか、あの少女を守るため封印すら解いてしまっている。
「すぐにサガットギルド長のところへ行くことだね。彼はサクの事を気に入っているから、何とかしてくれると思うよ」
「……わかった。ありがとな」
そう言うや否や、颯空は全速力で店から出ていく。頭の中はあの少女の事しかなかった。
そんな颯空の背中を見送りながら、コールはゆっくりとワイングラスを揺らす。
「……グッドラック」
囁くような声でそう呟き、僅かに笑みを浮かべたコールは、静かにワイングラスを傾けた。
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