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レイドモンスター タイガーボル
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「っぜい!」
眼前でばってんに構えた剣を、気合の声と共に、思い切り下に振り下ろした。
我ながらなんかかっこいいな。
なんか気合入ったぞ。
既にサナムさんと数名の《重戦士》や《盾使い》系の、前衛タンクと呼ばれる役割の人達がタイガーボルの近くに移動していて、防御主体ながら近接攻撃を開始している。
流石はレイドモンスター戦の経験がある先輩方だ。
ただ、レイド戦とは言っても、特に作戦なんかはない。
あるのは味方を攻撃するなだけだ。
もちろん、モンスターに高ダメージを与えて、モンスターのターゲットになるのも自己責任だ。
とは言っても、ここにいる全員の思いは一つ。
「こいつを倒す!」
だから、結果的には、パーティーの垣根を超えて助け合う事になるんだそうだ。
僕は剣を抜いたものの、とりあえずは《水弾》で攻撃する事にした。
タイガーボルの左側面に回り込んで、魔法発動の準備をする。
もちろん、タイガーボルの防御力を生身で感じておきたいから、チャンスがあれば突撃してみたいんだけど。
直径三十センチくらいの水の塊を三つ創り出して、巨大な赤と黒のトラ柄の……いや、虎か。僕は、そのタイガーボルの尻尾の付け根を狙って撃ち出した。
タイガーボルは体高四メートルくらい、体長は尻尾を含めないで十メートル以上もある、赤と黒の毛に覆われた魔物、というか魔獣なのかな。
外にいる普通の虎でも危険な生き物だけど、こいつは想像していたのよりも巨大だった。
タイガーボルが前脚を振り下ろす度に、盾で抑えきれなかった探索者達が吹き飛んでいく。
体格差で言えば、猫と子ねずみの戦いなんだから仕方ないと言えば仕方ない。
ただ、そんな中でもベテランは違った。
ガッキーーーン、と刺激的で味方を鼓舞するような音が響いてきた。
それは、サナムさんが、タイガーボルの前脚攻撃を跳ね返した音だ。
これは完全防御成功、クリティカルガードと呼ばれるテクニックで、相手の攻撃に、真正面からタイミングを合わせて力負けしなかった場合に発生する。
僕はまだ数回しか出したことが無いんだよね。後で何度でも観て身につけないと。
……筋力的な部分で僕には難しいかもしれないけど。
このタイガーボルにクリティカルガードを出せるサナムさんが凄いんだ。
とにかく、タイガーボルの右前脚が弾かれ、タイガーボルの全面が開いて隙ができた。
前衛アタッカー達が、左前脚に順番に、駆け抜けながら攻撃を仕掛けていく。
僕を含めた後衛は、遠距離から攻撃を仕掛ける。タイガーボルの顔面に矢や攻撃魔法が飛んでいく。
僕は《水弾》を尻尾根元に撃ちながら、タイガーボルの左脚に向かって駆けた。尻尾を落とせたらいいことがある、みたいな事をサナムさんが言ってたので、なんとなく、そこを狙ってみた。
それから、左手に持った短剣を右腰の鞘に戻した。
そして長剣を両手持ちして、トラに向かって走り、全力で脛の部分を叩き斬った。
いや、赤い毛が飛び散っただけで、血は出てないみたいだ。
切れず、叩いただけ。
でも、それでも少しはダメージが行ったはずだ。
前脚の方を見ると、まだ左脚は削りきれてないっぽい。
そして、前衛アタッカー達が前脚から少し距離を取る。それを見て僕も後衛の位置まで下がる。
すろとタイガーボルもバックステップで下がった。ダメージが入ったからこその体勢の仕切り直しだろう。
そこに前衛タンクが駆け寄って距離を詰める。
タイガーボルの攻撃がタンカーに行くまでは、前衛アタッカーや後衛はあまり攻撃をしなくなった。
ここにいる者は、それなりに迷宮での戦闘経験が多い者ばかりだから、さっきの一回で戦闘パターンを掴んだのかも知れない。
パーティーの垣根を越えて、回復薬や《体力回復》での治療が行われている。
その間に、前衛アタッカーがさっきよりも広範囲に広がって、タイガーボルを包囲する形になっていく。
次は前脚だけでなく、後ろ脚、それから脇腹にも攻撃を仕掛けられそうな配置になった。
いいな。
こう言う、言葉がなくても分かり合えるのって。
僕の気分はかなり高揚している。
そして、みんなの動きを見て、僕も次に何をするかを決められた。
ただ、タイガーボルが何度かその腕を振り回すけど、なかなかクリティカルガードが出ない。
サナムさんは少し後ろ目で何かを待ってるようだ。
そして、タイガーボルが体を起こして再び咆哮した。そして、力を溜めるような素振りを見せてから、その巨大な顔をタンカーに突撃させた。
噛み付き攻撃だ!
いや、丸飲み攻撃になりそうなくらい口が開いている。
そこにサナムさんが「うおーー!」と駆け込んで、タイガーボルの下顎を突き上げるように、大盾を下から上にぶつけていった。
ガッキーーーン!
再びクリティカルガードの音が鳴り響く。
やっぱりサナムさんだ。
タイガーボルの顔が上がり、お尻の位置が位置が地面の直ぐ近くまで下がった。
そしてまた、探索者側の一斉攻撃が始まる。
僕はまた《水弾》を尻尾の根元に撃ちこんで、同じ場所に長剣を叩きつけた。
眼前でばってんに構えた剣を、気合の声と共に、思い切り下に振り下ろした。
我ながらなんかかっこいいな。
なんか気合入ったぞ。
既にサナムさんと数名の《重戦士》や《盾使い》系の、前衛タンクと呼ばれる役割の人達がタイガーボルの近くに移動していて、防御主体ながら近接攻撃を開始している。
流石はレイドモンスター戦の経験がある先輩方だ。
ただ、レイド戦とは言っても、特に作戦なんかはない。
あるのは味方を攻撃するなだけだ。
もちろん、モンスターに高ダメージを与えて、モンスターのターゲットになるのも自己責任だ。
とは言っても、ここにいる全員の思いは一つ。
「こいつを倒す!」
だから、結果的には、パーティーの垣根を超えて助け合う事になるんだそうだ。
僕は剣を抜いたものの、とりあえずは《水弾》で攻撃する事にした。
タイガーボルの左側面に回り込んで、魔法発動の準備をする。
もちろん、タイガーボルの防御力を生身で感じておきたいから、チャンスがあれば突撃してみたいんだけど。
直径三十センチくらいの水の塊を三つ創り出して、巨大な赤と黒のトラ柄の……いや、虎か。僕は、そのタイガーボルの尻尾の付け根を狙って撃ち出した。
タイガーボルは体高四メートルくらい、体長は尻尾を含めないで十メートル以上もある、赤と黒の毛に覆われた魔物、というか魔獣なのかな。
外にいる普通の虎でも危険な生き物だけど、こいつは想像していたのよりも巨大だった。
タイガーボルが前脚を振り下ろす度に、盾で抑えきれなかった探索者達が吹き飛んでいく。
体格差で言えば、猫と子ねずみの戦いなんだから仕方ないと言えば仕方ない。
ただ、そんな中でもベテランは違った。
ガッキーーーン、と刺激的で味方を鼓舞するような音が響いてきた。
それは、サナムさんが、タイガーボルの前脚攻撃を跳ね返した音だ。
これは完全防御成功、クリティカルガードと呼ばれるテクニックで、相手の攻撃に、真正面からタイミングを合わせて力負けしなかった場合に発生する。
僕はまだ数回しか出したことが無いんだよね。後で何度でも観て身につけないと。
……筋力的な部分で僕には難しいかもしれないけど。
このタイガーボルにクリティカルガードを出せるサナムさんが凄いんだ。
とにかく、タイガーボルの右前脚が弾かれ、タイガーボルの全面が開いて隙ができた。
前衛アタッカー達が、左前脚に順番に、駆け抜けながら攻撃を仕掛けていく。
僕を含めた後衛は、遠距離から攻撃を仕掛ける。タイガーボルの顔面に矢や攻撃魔法が飛んでいく。
僕は《水弾》を尻尾根元に撃ちながら、タイガーボルの左脚に向かって駆けた。尻尾を落とせたらいいことがある、みたいな事をサナムさんが言ってたので、なんとなく、そこを狙ってみた。
それから、左手に持った短剣を右腰の鞘に戻した。
そして長剣を両手持ちして、トラに向かって走り、全力で脛の部分を叩き斬った。
いや、赤い毛が飛び散っただけで、血は出てないみたいだ。
切れず、叩いただけ。
でも、それでも少しはダメージが行ったはずだ。
前脚の方を見ると、まだ左脚は削りきれてないっぽい。
そして、前衛アタッカー達が前脚から少し距離を取る。それを見て僕も後衛の位置まで下がる。
すろとタイガーボルもバックステップで下がった。ダメージが入ったからこその体勢の仕切り直しだろう。
そこに前衛タンクが駆け寄って距離を詰める。
タイガーボルの攻撃がタンカーに行くまでは、前衛アタッカーや後衛はあまり攻撃をしなくなった。
ここにいる者は、それなりに迷宮での戦闘経験が多い者ばかりだから、さっきの一回で戦闘パターンを掴んだのかも知れない。
パーティーの垣根を越えて、回復薬や《体力回復》での治療が行われている。
その間に、前衛アタッカーがさっきよりも広範囲に広がって、タイガーボルを包囲する形になっていく。
次は前脚だけでなく、後ろ脚、それから脇腹にも攻撃を仕掛けられそうな配置になった。
いいな。
こう言う、言葉がなくても分かり合えるのって。
僕の気分はかなり高揚している。
そして、みんなの動きを見て、僕も次に何をするかを決められた。
ただ、タイガーボルが何度かその腕を振り回すけど、なかなかクリティカルガードが出ない。
サナムさんは少し後ろ目で何かを待ってるようだ。
そして、タイガーボルが体を起こして再び咆哮した。そして、力を溜めるような素振りを見せてから、その巨大な顔をタンカーに突撃させた。
噛み付き攻撃だ!
いや、丸飲み攻撃になりそうなくらい口が開いている。
そこにサナムさんが「うおーー!」と駆け込んで、タイガーボルの下顎を突き上げるように、大盾を下から上にぶつけていった。
ガッキーーーン!
再びクリティカルガードの音が鳴り響く。
やっぱりサナムさんだ。
タイガーボルの顔が上がり、お尻の位置が位置が地面の直ぐ近くまで下がった。
そしてまた、探索者側の一斉攻撃が始まる。
僕はまた《水弾》を尻尾の根元に撃ちこんで、同じ場所に長剣を叩きつけた。
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