9 / 32
9
しおりを挟む
チュンチュン
「ん………んん?」
ガバッ
「寝過ごしちゃった!大変!」
気の緩みか 疲れからか いつもより
遅い時間に目が覚めた
いつもなら チュンチュンなんて小鳥のさえずりよりも早く起きて 仕事を始めているのだけれど
「なんで二人共起こしてくれなかったの?」
二人の精霊に尋ねながら着替える
『おはよう シャル』
『今日はよく眠ってたね』
「そんなに?ぐっすり?」
『『うん!』』
「やっぱり…」
ここを離れて働く
しかも 男爵家とはいえ 貴族なのだ
粗相があれば 罰はあるだろうし
給料も減らされるかもしれない
色々な不安もあって お話を頂いてからというもの 余り眠れない夜が続いていた
「あたし 大丈夫かしら」
この言葉を最近何度つぶやいたことか
「あっ!そんな事より急がなくっちゃ!」
着替えが終わった事も頭に無かったようで
現実に戻り慌てて部屋を出ていった
まず厨房に行くと モーリーと二人が火起こしから始めていた
「おはよう みんな ごめんね寝坊しちゃた」
「シャル おはよう 今日はシャルの最後の日でしょ だから何もしなくていいよ」
「「そうそう」」
3人から言われるけども
「そんなわけにはいかないよ~」
と言って 手を出そうとするけれど
「ダメダメ 荷物の準備とか終わってる?お昼には馬車来ちゃうんだから 先に終わらせないと」
「あっ!まだしてなかった
でも少ししか無いからすぐ終わっちゃうし…」
「はい!では お部屋にどうぞ」
3人で扉の方へ手を向ける
「う~ん じゃあお言葉に甘えて行ってきます」
「うん ここは任せといて!」
モーリーが胸を張る
ちょっと頼もしくなったモーリーを
見て 笑みが出た
「じゃあ行ってくる」
厨房を後にして 部屋へと歩き出した
「なんだか モーリー頼もしいお姉ちゃんになってきてる ふふふ」
自分が居なくなることで 他の人が成長するのだけども それを見れないのがちょっと残念
部屋が見えてくると 扉が開いているような気がする
「鍵かけてない」
慌てて走り出し バンと開けると
「サンドラ!」
自分の部屋にサンドラがいて
あの 産着を手にしていた
「チッ」
部屋の主に見つかっても 悪びれる事なく
悪態をつくサンドラ
「何してるの!それ返して!」
「あら シャル サヨナラを言いに来たら 部屋が開いてて ちょっとお邪魔しただけよ これ?何故か床にあったから 拾っただけよ 人聞きの悪い事言わないで」
立ち上がって 産着を手に取り ハサミを取出した
「や…やめて…」
産着を切り刻むつもりなのだと
すぐにも分かる
二人の精霊にお願いしたいが
存在を教えたくない
二人の精霊も お願いされていなければ
動けないし動いたら自分達の存在を 最悪のサンドラに知られてしまう それは避けなければならないこと
『『シャル…』』
「いつも あんたばっかり周りに褒められて いつも悔しかった しかもなに?今度は貴族の家に侍女で?グズのあんたが?
どれだけ可愛がられてるのよ!」
シャルとしては 可愛がられているつもりは 全く無い 自分のやることをやっているだけだから しかもサンドラにグズと言われて 自分でもそう思っているため サンドラがそんな気持ちでいるとは 意外だった
「サンドラ…私グズだから」
「そうよ グズのあんたばっかりよ!
こんなのあたしは持ってない……」
そう言ってハサミで産着に切り込みを入れた
ジャキ
「いや~~!」
シャルがサンドラに向かっていき
サンドラの手から産着を奪い返した
チャリーン
服から トパーズの付いたネックレスが
落ちて床に転がっている
すぐさまサンドラが手に取ろうとするが
バチン!
「痛い!」
手を見ると赤く火傷のようになっている
「痛い痛い なんなの あなたなんなの?悪魔?魔獣?あなた 変よ!」
切られた産着を抱きかかえ
床に落ちているネックレスを
難なく拾いあげ 見入る
「これも 誰かわからないけど
家族が入れてくれていたのね
昨日見たときは分からなかったけれど
縫い込んでくれてたんだ……ただ捨てられただけじゃ無いかもしれない…?」
シャルがネックレスを拾った時
シャルの知らない所で
「マイフェアレディが……」
そんな言葉を呟く 黒髪の男がいた
「ん………んん?」
ガバッ
「寝過ごしちゃった!大変!」
気の緩みか 疲れからか いつもより
遅い時間に目が覚めた
いつもなら チュンチュンなんて小鳥のさえずりよりも早く起きて 仕事を始めているのだけれど
「なんで二人共起こしてくれなかったの?」
二人の精霊に尋ねながら着替える
『おはよう シャル』
『今日はよく眠ってたね』
「そんなに?ぐっすり?」
『『うん!』』
「やっぱり…」
ここを離れて働く
しかも 男爵家とはいえ 貴族なのだ
粗相があれば 罰はあるだろうし
給料も減らされるかもしれない
色々な不安もあって お話を頂いてからというもの 余り眠れない夜が続いていた
「あたし 大丈夫かしら」
この言葉を最近何度つぶやいたことか
「あっ!そんな事より急がなくっちゃ!」
着替えが終わった事も頭に無かったようで
現実に戻り慌てて部屋を出ていった
まず厨房に行くと モーリーと二人が火起こしから始めていた
「おはよう みんな ごめんね寝坊しちゃた」
「シャル おはよう 今日はシャルの最後の日でしょ だから何もしなくていいよ」
「「そうそう」」
3人から言われるけども
「そんなわけにはいかないよ~」
と言って 手を出そうとするけれど
「ダメダメ 荷物の準備とか終わってる?お昼には馬車来ちゃうんだから 先に終わらせないと」
「あっ!まだしてなかった
でも少ししか無いからすぐ終わっちゃうし…」
「はい!では お部屋にどうぞ」
3人で扉の方へ手を向ける
「う~ん じゃあお言葉に甘えて行ってきます」
「うん ここは任せといて!」
モーリーが胸を張る
ちょっと頼もしくなったモーリーを
見て 笑みが出た
「じゃあ行ってくる」
厨房を後にして 部屋へと歩き出した
「なんだか モーリー頼もしいお姉ちゃんになってきてる ふふふ」
自分が居なくなることで 他の人が成長するのだけども それを見れないのがちょっと残念
部屋が見えてくると 扉が開いているような気がする
「鍵かけてない」
慌てて走り出し バンと開けると
「サンドラ!」
自分の部屋にサンドラがいて
あの 産着を手にしていた
「チッ」
部屋の主に見つかっても 悪びれる事なく
悪態をつくサンドラ
「何してるの!それ返して!」
「あら シャル サヨナラを言いに来たら 部屋が開いてて ちょっとお邪魔しただけよ これ?何故か床にあったから 拾っただけよ 人聞きの悪い事言わないで」
立ち上がって 産着を手に取り ハサミを取出した
「や…やめて…」
産着を切り刻むつもりなのだと
すぐにも分かる
二人の精霊にお願いしたいが
存在を教えたくない
二人の精霊も お願いされていなければ
動けないし動いたら自分達の存在を 最悪のサンドラに知られてしまう それは避けなければならないこと
『『シャル…』』
「いつも あんたばっかり周りに褒められて いつも悔しかった しかもなに?今度は貴族の家に侍女で?グズのあんたが?
どれだけ可愛がられてるのよ!」
シャルとしては 可愛がられているつもりは 全く無い 自分のやることをやっているだけだから しかもサンドラにグズと言われて 自分でもそう思っているため サンドラがそんな気持ちでいるとは 意外だった
「サンドラ…私グズだから」
「そうよ グズのあんたばっかりよ!
こんなのあたしは持ってない……」
そう言ってハサミで産着に切り込みを入れた
ジャキ
「いや~~!」
シャルがサンドラに向かっていき
サンドラの手から産着を奪い返した
チャリーン
服から トパーズの付いたネックレスが
落ちて床に転がっている
すぐさまサンドラが手に取ろうとするが
バチン!
「痛い!」
手を見ると赤く火傷のようになっている
「痛い痛い なんなの あなたなんなの?悪魔?魔獣?あなた 変よ!」
切られた産着を抱きかかえ
床に落ちているネックレスを
難なく拾いあげ 見入る
「これも 誰かわからないけど
家族が入れてくれていたのね
昨日見たときは分からなかったけれど
縫い込んでくれてたんだ……ただ捨てられただけじゃ無いかもしれない…?」
シャルがネックレスを拾った時
シャルの知らない所で
「マイフェアレディが……」
そんな言葉を呟く 黒髪の男がいた
10
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
公爵子息の母親になりました(仮)
綾崎オトイ
恋愛
幼い頃に両親を亡くした伯爵令嬢のエルシーは、伯爵位と領地を国に返して修道院に行こうと思っていた
しかしそのタイミングで子持ちの公爵ディアンから、結婚の話を持ちかけられる
一人息子アスルの母親になってくれる女性を探していて、公爵夫人としての振る舞いは必要ない、自分への接触も必要最低限でいい
そんなディアンの言葉通りに結婚を受けいれたエルシーは自分の役割を果たし息子のアスルに全力の愛を注いでいく
「私の可愛い子。たった一人の私の家族、大好きよ」
「エルシー! 僕も大好きだよ!」
「彼女、私を避けすぎじゃないか?」
「公爵様が言ったことを忠実に守っているだけじゃないですか」
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる