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サキ博士の願望
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「はい、そのとおりです。ですから、あなたに確かめたくて……しかし、訊いても良いものかどうか……」
「お前になら話しても構わないぞ。遠慮なく訊くが良い」
ラルフは冷酷な微笑を浮かべ、サキを促す。
「……その青いゴアを、どうやって手に入れたのです」
ラルフはまだ答えない。聡明なサキの推測を、聞いてみたかった。
「これは、私の勝手な想像ですが……」
「ああ、言ってみろ」
「森を通る人間の中には、トーマからの旅人もいるでしょう。ひょっとして、ゴアを身に付けたプラドー家の者が通りかかり、あなたがその人を……」
「そうだ」
ラルフは言葉を継いだ。
「プラドー家の長子である女をさらって、いただいた」
「……」
「お前に下手な誤魔化しは通じないだろうから、白状しておく」
サキはまだ手をつけていないチョコレート菓子をひとつ取ると、口に入れてゆっくりと溶かした。 あれこれ考えを巡らせているようである。ラルフは涼しい顔で見守っている。
チョコレートが舌の上から消えると、彼女はラルフに似た薄い唇の端をそっと上げた。
「あなたのしたことは理解できません。あなたがその女をどうしたのか、知りたいとも思わない。けれど、その石の魅力は十二分に理解できます。ですから優先事項はやはり"黒のゴア"です。ラルフ様」
「ああ」
「私は石を探したい。協力していただけませんか」
ラルフは紅茶を飲み干すと、テーブルに身を乗り出した。
「いいだろう。私にもお前の能力が必要だ」
「お前になら話しても構わないぞ。遠慮なく訊くが良い」
ラルフは冷酷な微笑を浮かべ、サキを促す。
「……その青いゴアを、どうやって手に入れたのです」
ラルフはまだ答えない。聡明なサキの推測を、聞いてみたかった。
「これは、私の勝手な想像ですが……」
「ああ、言ってみろ」
「森を通る人間の中には、トーマからの旅人もいるでしょう。ひょっとして、ゴアを身に付けたプラドー家の者が通りかかり、あなたがその人を……」
「そうだ」
ラルフは言葉を継いだ。
「プラドー家の長子である女をさらって、いただいた」
「……」
「お前に下手な誤魔化しは通じないだろうから、白状しておく」
サキはまだ手をつけていないチョコレート菓子をひとつ取ると、口に入れてゆっくりと溶かした。 あれこれ考えを巡らせているようである。ラルフは涼しい顔で見守っている。
チョコレートが舌の上から消えると、彼女はラルフに似た薄い唇の端をそっと上げた。
「あなたのしたことは理解できません。あなたがその女をどうしたのか、知りたいとも思わない。けれど、その石の魅力は十二分に理解できます。ですから優先事項はやはり"黒のゴア"です。ラルフ様」
「ああ」
「私は石を探したい。協力していただけませんか」
ラルフは紅茶を飲み干すと、テーブルに身を乗り出した。
「いいだろう。私にもお前の能力が必要だ」
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