私、メイドになります!~時空を越える愛を添えて~

風翔ゆめむ

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第十章 シロツメクサの涙

03 残酷な代償

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 好きな人はいるのか──よもやその問いを八歳の司からぶつけられるなど、想像だにしなかったすみれだ。
 すみれはしばらく、凍りついたように言葉を失っていた。

(あぁ……)

 雷に打たれたような衝撃の中で、すみれは、自らを落ちつかせるため目を閉じた。司が眩しくて、見つめていられない。
 ──そう、か。改めて、すみれは思う。
 こういうことなのだ。

 精霊が告げた『代償』。

 強がりも無論あったが、それでも簡単だよと無理やりにでも己に言い聞かせれば、耐えられると。そう、思っていた。
 司には心に決めた女性がいるのだと知った時から、失恋したも同然の恋だ。
 想いを告げる機会が、この先訪れるとも思えなかった。
 平気だ。今までと何が違う?
 どうせこの恋は叶いはしない。
 叶わない恋を胸に閉じ込めることぐらい、今までだってやってきた。
 ならばこれからだって、出来ないはずはないと。
 己に言い聞かせ、それを誓ったことに今も後悔はない。司を救うことができたのだ。後悔など一生しないだろう。

(だけど、思ったより、きついね……)

 閉じた瞳の奥、こみ上げる涙を必死に堪えた。

 過去に飛ぶ前に、精霊が告げた代償。
 それはとても簡単で、残酷な一つの誓約──

『貴女は、この先、司への恋心を口にしないと誓わねばいけません。そしてその恋を、決して司に知られてはなりません』

 精霊は告げたのだった。
 17年前の司を、そして17年後の司を救うために、
 この恋を差しだしなさい、と。
 そして未来永劫、永遠に口を閉ざし、
 この想いを静かに眠らせろ、と──

(なのに、訊いちゃうんだね……司さん、当の貴方が──)

 この人に嘘など、つきたくない。
 そう思った瞬間、突き上げるような衝動がすみれを襲った。
 告げてしまいたい。
 だって、こんなにも抱きしめた体温が愛しいのに。
 眠らせる? 無理だろう。こんなにも恋しいのに。
 叶わずとも、好きだと告げることができればそれだけで、救われるものは確実にある。
 ただ、貴方を好きだと──
 そう伝えられたら、どんなにか、良かっただろう。
 真実を口にしてしまいたい。突風が胸を乱した。

(だめだよ、堪えろ……私……!)

 瞳を閉じたまま、懸命にすみれは唇を噛んだ。
 泣いてはダメだ。徒にまた不安にさせてしまう。
 告げてはダメだ。誓いが、破られる。
 この想いを司に告げれば──いや、告げずとも悟られてしまったら、交わされた誓約を破ることになる。そうすれば、彼が危機を脱するためにすみれたちが与えた『幸運』は泡のように消えてしまう定めだ。
 その場合、司は自らの命を拾うため、己の幸運の総量をここで使い果たすことになる。
 17年後までは生きることができても、早々にその命は散るだろう。

(そんなこと……させないんだから……)

 すみれはきつく目を閉じ念じた。
 これは残酷で限りなくシンプルな、契約だ。
 己の恋と引き換えに、
 すみれは司の、17年後から先の未来を守るのだ。

「……すみれ、すみれ……?」

 司がすみれを案じたのか、繰り返し、名を呼んだ。
 だが、まだ目を開けられない。だってどんな顔をしたらいい?
 ……決められない。

「どうしたの……ねえ、泣いてる? 大丈夫? ねえ……ごめん、ボク、悪い事聞いたの……?」
「ちが……ちがうの……ごめん、ごめんね……大丈夫」

 首を振り、すみれは意を決し、目を開いた。
 司が熱に潤んだ瞳で見つめてくる。
 知性と、微かな熱の入り混じったその眼差しは、幼くはあっても確かに司のそれだった。
 ないまぜになった愛しさかなで、すみれの息は不規則に震えた。

「好きな人は……」

 司を見つめるだけで、もう、喉が引き攣れるように震えた。
 好きな人はいないよ。そう言えばきっと無難だ。
 だけど嘘はつきたくない。どうしてもつきたくない。
 一生、胸に秘め、弔わねばならぬ想いなら、尚更。

「……好きな人はね……」
 噛みしめるように、呟いた。
「……ここには、いないよ……すごく……遠くにいるの」
 囁いてみて、自嘲した。これもまた嘘か。

 だって、今目の前にいるのに。この腕に今、確かに抱きしめているひとなのに。
 何を言っても嘘になるのか。それではあまりに悲しすぎる。

「遠く……?」
 司が心配そうに瞳を眇めた。
「遠くって、何処? ……外国?」
「……あぁ…外国なら、良かったのにね……」

 すみれは、愛しさをこめて、司の額に張り付いた髪をそっと退けてやりながら囁いた。

「外国よりも、もっと、遠い場所……だよ」

 そうだ。言わばもう、二度と手の届かない──いや、手を差し伸べることすら許されない場所なのだから。
(嘘じゃない、これでいいんだ)
 禁忌に触れることなく、司に本当のことが言えた。そのことに、すみれは微かな慰めを見出して、ほっと息をついた。

「遠い、遠い場所にいるんだ」
 無理やり、口角を上げて笑って見せた。
「でも、いいの」
「……すみれ……」

 幼い司が、それでもすみれの痛みを感じたのだろうか、熱で潤んだ瞳を僅かに見開く。
 そんな顔しなくて大丈夫だよ、と胸の中で囁き、すみれは微笑んだ。

「好きになって、よかったって、そう……思えたから、いいの」

 ちゃんと笑えているだろうか。笑えているといいと、すみれは思う。
 もう、この子の前で、泣かないと決めたのだから。
 伝えられない想いの分、ちゃんと笑顔を覚えていてもらえますようにとすみれは祈る。祈るしかない。

(司さんはこの後、17年かけて私に手を差し伸べてくれたんだ。忘れられては、いなかった……)

 この人が、この先も生き延びて、すみれを覚えていてくれた。
 それだけでもう。

「もう、十分、だから……」                      

 塀の外で、バタバタと慌ただしい音がする。サイレンの響きはないがすみれは悟った。
 司を救出するために、警察と救急がもう傍まで来ている。
 その証拠に──ほら。

「……すみれ」

 司に茫然と名を呼ばれながら、すみれは微笑んだ。
 自分の身体がうっすら光りはじめたのだ。それは薄暗い小屋を徐々にやわらかく満たし、光の海へと変えていった。
 それまで尻や足で感じていた自分と司二人分の体重が、不意に軽く、心もとないものへと変化してゆく。
 細胞の一つ一つが、ゆるやかに解かれていった。

(司さんを、これで救えたんだね……)

 精霊がすみれを、17年後の未来へと引き戻そうとしているのだろう。つまり本当にもう、すみれがなすべきことは終わったのだ。
 すみれは安堵し、吐息した。いや、もう呼吸も普通の状態ではしていないのかもしれないが……。
 身体中が、光の海へとけて……柔らかく崩れた。

「嫌だ、何 すみれ、なんだよこれ!」

 司が顔をひきつらせ、捨てられた犬のように床に座りこんで叫ぶ。そんなに心配しないで……そう伝えたかったが、そろそろ時間はなかった。
 額に手を伸ばし、その汗を拭いてやりたかったが──指先は虚しく、司の身体をすり抜けるばかりだ。

「……ごめん、もう、お迎えがきちゃった……」
「な、んなの……お迎えって! 何! やめてよ、そんな、すみれ! ほんとに天使か何かなの!? ねえ!」
「生きて……」

 せめても一度だけ、抱きしめたかったなとすみれは苦笑した。
もう、自分から司を抱きしめることは叶わないだろう。きっとこの先一生できない。

「生きて……幸せに、なってね……司さん」

 この祈りだけは、叶いますように。
 この先も永く、永く。どうか神様。すみれは祈る。

「すみれっ! 変わるから…っ……ボクは絶対に変わってみせるから……だから、ねえ、必ずもう一度逢ってよ! 探す……君を探すからっ……!」

 溢れんばかりの光の中、泣いて叫ぶ少年司に、せめてさよならは言わずにおこうと思った。
 最後まで、すみれは微笑んでそれを見つめた。
 愛しい人の幼い姿を、胸に焼き付けるように。

(あぁ……消える……)

 からだが、からだでなくなる。
 だったら、ついでに、
 わたしもわたしでなくなって、
 こんなに切ない思いも全部消えてしまえばいいのに。

 視界が光に染まった。もう司の声も遠い。
 光に満たされ、時の川を流れ始める意識の片隅で、すみれは思う。

(いや……やっぱり、覚えておきたいな)

 例えどれほど苦しくても、この愛しさを、忘れたくはなかった。

                    *   *   *

「……っ」

 どさっ……と何処かに投げ出される感覚が、不意に身体を襲った。
 目を、恐る恐る開く。

 ──そこは、清浄な夜風の吹くクローバーの海だった。気がつけば、全てが夢だったかのように乾いた草の上ですみれは座りこんでいたのだった。

 だが己の身体を見下ろし、すみれは知った。

 ──夢ではなかった。

 身体中、雨と泥でずぶ濡れだ。水を吸ったメイド服は重く冷たくて、辺りを確認すれば、脱ぎ捨てたパニエと靴、ステンレスの水筒やらバッグまでも、御丁寧に転送されていた。過去に持ちこんだものは、全て未来に戻した、ということなのだろう。

 二―ソックスは破れ、つま先が完全に露出している。
 今更ながら、体調が物凄く悪化していることにすみれは気付いた。全身の細かい震えが止まらなくなってきている。すみれも発熱し始めていた。
 時の流れを超えさせるぐらいの力があるなら、疲労ぐらいは消してくれたらよかったのに、とすみれは苦く笑った。
 便利なようでいて融通のきかぬシステムのおかげで、もう立ちあがれない。
 鉛のように、冷え切った身体は重く痺れていた。ぼんやりと、クローバーの丘全体が燐光でも纏ったように柔らかく光っている。だがもう、最初に見たような、あの圧倒的な質量をもった光は現れなかった。

 ──ありがとう、すみれさん。

 声がする。微かな、消え入りそうな声。
 おそらくは精霊も、すみれを転送するために多大な力を使ったのだろう。もう、その力はいくばくも残っていないようだった。

 ──誓いを、守っていただけますか。この先も。

「……はい」

 問われて、すみれは小さく頷いた。
 精霊は、告げた。差し出すものはその恋だと。
 もう二度と、すみれは司に想いを告げることは叶わない。
 丘の頂きにそっと置かれた誰のものとも分からぬ墓石と、その傍らに揺れる季節外れのシロツメクサの花を眺めながら、すみれは不意に思い出した。

 クローバーの花であるシロツメクサの花言葉。

(『約束』……そして、『私を想って』)

 守らねばならぬ約束と、告げることの叶わぬ望み。
 本当に、なんという皮肉だろう。
 ……すみれは、乾いた笑みを零した。
 疲れていた。本当に、心底疲れていた。おそらくこの一夜で数年分、歳を取った感覚を覚えるぐらいには、疲れ果てていた。

 ざあっと生温かい風が丘を渡り、
 クローバーが一斉に揺れた。

 ──それではたった今より、青龍司の幸運の残量は、晴野すみれの立てた誓いにより守護されます。この誓いが、貴女自身の手により破られぬ限り、司の未来は守られるでしょう……

 辺りに響く精霊の言葉に、すみれは再び頷いた。
 胸が安堵に満たされてゆく。この先どれほど、想いを告げられぬ片想いが苦しくなろうとも……これで、良かったのだ。
 涙が一筋、頬を滑り落ちた。

 ──さようなら、すみれさん。ありがとう。

 最期の囁きを残して、光は、ふわりと完全に沈黙した。
 まるで全ての力を使い果たしたように──気配の全てが途絶えたのだ。
 本来の暗さを取り戻したクローバーの丘の頂きで、すみれは座りこんだまま天を仰いだ。
 我が身を照らす月光の穏やかさに、涙が滲んだ。

(……あぁ……)
 長い……長い夜が、本当に今、終わったのだ。
(もう、眠ってもいい、よね……)
 泥のように眠りたかった。全てがどうでもよかった。もう何も考えられない……。
 ゆっくりとその場に上半身を倒しかけた、その時だった。

「……っ」
 ふわりと、すみれの上半身を抱きとめた腕があった。
「すみれっ……すみれっ!」
 薄れゆく意識の中、頭上で叫ぶその声が『誰』のものか、すみれはもう知っていた。

 ──それはあの日の、愛しい魂。
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