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勇者

マイファメイア

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空から光の柱が降りて来て、その中から人が現れる。

「私がマイファメイアです」

現れた者の姿を見て全員が沈黙する。

「え?え?あなたがマイファメイア様?」
「何かイメージと違うわね」
「はい。もっと凄い方かと……」
「子供ですね」
「カワイイ!」
「あの石像は一体……」
「生の美女神様が拝めると思ったのになぁ……」
「無礼者!……だから姿を見せたくなかったのに」

皆に素直な感想を言われて目に涙を溜めて怒るマイファメイア。その姿は五、六歳の女児の姿で、長く綺麗な金髪に青い瞳をしている。服は白いワンピースで靴は履いていない。

「私は泉の精霊のハルです」
「あ、マイファメイアです」

私が名乗ると律儀に名乗り返して来た。

「あなたの作った遺跡のせいで私達は死にかけました。何故あの様な罠を作ったのです?」
「あれは……主神様の指示だったのです。勇者になるべき者は悲しみを乗り越えて強くなったもらわなければならないと」
「主神?誰です?」
「主神フリーディア。貴女も会った事のある方ですよ」

私が生まれ変わる時に話をしたあの子供の事ね。

「その主神に言われるままに作ったと?」
「はい……」

ワンピースの裾をギュッと握り締めて下を向くマイファメイア。
その仕草は怒られる時に見せる子供そのものだ。

「お母さん、可哀想だよ」
「でも彼女のした事は許し難い行為なの」

芽依が隣に来て袖を引っ張りながら言う。

「ごめんなさい……酷い事をしてごめんなさい~」

泣き出してしまった。
どうしたものか。

「お母さん、酷いよ!」

芽依はマイファメイアを抱きしめて頭を撫でている。

「ハルさん……俺も芽依さんに同意です」
「許してあげよう?」「全員無事でしたしもう良いのでは?」

セロ、リン、ミラも擁護に入る。

「こりゃハルが悪者みたいだな」
「そんな事ありません!私はハル様の味方です!」

ジェイドはやれやれと肩をすくめていたがエレは反論してくれていた。

「分かりました。強く言ってごめんなさいね。分かってくれればいいのです。あなたを許します」
「ごめんなさい~」

私が目線を合わせてそう言うと、涙で顔をクシャクシャにしながら私に抱きついてくる。頭を撫でて背中をさすって落ち着かせる。

……演技ではないみたい。
この子が本当に大地の神マイファメイアなのかしら?

さて困ったわ。

「あなた、一人でずっとここに居たの?」
「うん……」
「どれくらい?」
「ハルさんが来る前からです。この遺跡はもっと地中深くにあったけど、地殻変動や隕石の衝突で地表付近まで移動してしまいました」

そんな昔からここに一人で。

「聖剣の主人が現れるのを待っていたの?」
「はい」
「神なら何故、何故あの文明が滅ぶまで放置したの?」
「ひぅっ……!?」

強い口調で聞くとマイファメイアはまた泣き出してしまった。
皆が私を冷たい目で見る。

「ああ……ごめんなさい。何か理由があったの?」
「うぅっ……あぅ……私は聖剣を作るのに力を使い果たしてしまって、人類を助けるほどの力は残されていないのです」

マイファメイアを再び抱きしめながら宥める。

「分かったわ。あなたはこれからもずっとここにいるの?」
「うん……」

何だか寂しそうね。

「一緒に来る?」
「いいの……?」

芽依がマイファメイアに聞いている。

「お母さん、この子連れていったらダメ?」

この子って……彼女は私よりも歳上の神様なのよ。

「構わないわよ。あなたはどうしたい?」
「私は、一緒に行きたいです!」

本人がそう言うならいいでしょう。
まだ聞きたい事もあるし、この世界の事を色々と教えてもらいましょう。

「よかったね!」
「うん!ありがとう、お姉ちゃん!」

そう言って今度は芽依に抱きつくマイファメイア。

「お、お姉ちゃん……?」

マイファメイアのお姉ちゃん発言に驚き固まる芽依。
太鼓の昔より存在している女神にお姉ちゃんと呼ばれれば驚くわよね。

「うん!私はマイファメイア……マイちゃんのお姉ちゃんだよ!」

……喜んでいただけだったのね。
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