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戦争

停戦

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二機のドラゴンバスターを鹵獲して、取り敢えず私のインベントリの中にしまっておいた。

「あとでじっくり検分するわよ。ふふふ…楽しみだわ…。」

リオさん、何かキャラ変わってない?

「実はこれがリオの本性。技術革新の為に仲間を裏切るタイプ?」
「んなわけないでしょ!」

とにかくリアード王国軍の侵攻を止める事ができた。これからは再侵攻が起こらない様に国同士で話し合ってもらわないといけないんだよね。

まさか私達に交渉を任せるとか言ったりしないよね…?

「その時は拒否すればいいんじゃない?そこまでは面倒見切れないわよ。」
「ミナさんは何処までなら譲歩しますか?」
「んー…思い切り牽制しちゃいましたから、交渉に同行くらいはしないといけないですよね。」
「まあ、やってもそんな所よね。交渉に入れなんて言われたら領地の一つも貰わないと割が合わないわ。」
「それは逆に面倒。」

私も領地はいらないかな。領地を貰うって事は貴族になるって事でしょ?堅苦しい生活なんてしたくないし、領地運営なんて私には出来そうにない。

「そう?私は面白そうだと思うんだけど。」
「価値観の相違からチーム解散の危機?」
「ソラ、さっきから私を離反させようと誘導してない?」
「そんな事ない。リオはチームのブレーンでみんなのお母さんだから居なくなったら困る。」
「だれがお母さんよ!お姉さんでしょ!」
「ユキとミナはお姉ちゃん。リオはお母さん。」
「それだけ頼りになるという事ですよ。」
「何かイケメンとかお母さんとか好き放題言われてるけど、私は美少女天才魔術師で救世の女神なんだから!」
「微小女、天災、急性の…?」
「いえ、獄炎の魔神なので…。」
「そこは言い直さなくていいからね?あとソラの言い方には悪意を感じるわ。」
「まあまあ…ちょっとイジワル言っちゃっただけですよね?」
「たまにはミナ以外も弄らないと?」
「…もういいわよ!」

リオさんはすごく頼りになるし、私が迷った時は道を示してくれる。

「リオは私を助けてくれた。私はリオが好き。ずっと一緒に居て?」
「な、急に真面目にならないでよ…。」

ソラちゃんもリオさんと離れたくないんだね。これからも一緒に頑張ろうね。

「さ、さあ!まだやる事はあるわよ!まず、国境線を確認するわ。他の地域も侵攻の可能性があるから、ひとっ飛びして牽制よ。またドラゴンバスターみたいな兵器が越境してたら鹵獲しちゃいましょう。」

カンバー伯爵領の守護は黄色の竜に任せて、私達はウルちゃんに乗って国境線を飛んで牽制する。
南側のウロエステ男爵領では小競り合いがあったらしいけど、他は大規模な侵攻は起こらなかったみたい。

ただ、どこの地域を見ても国境線付近には大規模な部隊がいて、カンバー伯爵領の侵攻が成功していた場合、一斉に侵攻するつもりだったんだろうと推測できる。

ここまであからさまに準備をしていたリアード王国に対して、エルジュは何もしてこなかったのだろうか?

危機管理が甘いんじゃないかな?

「まあしばらくは時間が稼げると思うけど、統制が取れなくなったり軍団の総指揮官が暴発したら侵攻が始まるかも知れないわね。」
「今の所私達の存在が侵攻を止めているということですね。」

勝てない相手だと知らしめるのが一番だと思ったけど、強すぎる力は恐怖を与えてしまうかもしれない。以前のオル君みたいにそれに耐えきれなくなって自棄を起こされたりしたら…。

早急に手を打たないと沢山の人が不幸になる。

「気になるのはアフターギフトの出どころですね。リアード王国が元凶だった場合、簡単には済まないでしょう。」
「もう面倒だからリアード王国に行って聞いてみようか?」
「私達が行って教えてくれるとは思ませんよ。」

そもそもなんで友好国だったエルジュに攻め込んできているのかも謎だ。

「潜入してみる?」
「国が役にたたないならやってみてもいいですけど。危ないですよね。」
「そうでもないと思うわよ。今回の牽制で姿を表したのも遠くからだし、群衆に紛れ込んでしまえば目立たない筈よ。」
「一度ラフィミア様に相談してみましょうか。」
「そうだね。」

ーーーー

ディルーン侯爵領に戻ってラフィミアさんに相談してみることにした。
到着した頃には夕暮れで、お城の広場に着陸したけど驚かれる事はなく、むしろ歓迎された。

「お疲れ様でした。カンバー伯爵の件、お聞きしました。中央にも連絡を出しました。」
「ありがとうございます。」

私達は国境線の状況を事細かく説明した。

「それは…非常にまずいですね。既に対応を始めていたウロエステ男爵領はまだ良いとしても、他の領地は防衛戦力が全然足らないでしょう。」
「私の眷属を派遣しましょう。もう話している猶予はないので、国境線に付近を中心に領地毎に5体。ドラゴンバスターで墜とされない程度の者を。いかがでしょう?」
「それだけいれば十分だけど…ドラゴンバスターってウルちゃんの防御を吹き飛ばしたんだよね?もし当たったりしたら…。」
「ミナ様、あの時は声が届く様に意図的に障壁を弱くしておりました。本来の私の防御障壁なら傷一つ入りません。」
「派遣予定の眷属達の防御障壁でも防ぐことができる威力です。」
「それなら、いいかな。」
「ウルよ、お前の障壁が簡単に壊れた所為でミナ様に余計な心配をさせてしまったではないか。」
「返す言葉もありませんね。ミナ様、今回の失態は私の油断が原因です。声を届けながら強固な障壁を張る方法もありますので、ご心配なさらないでください。」

いやいや…失態って。結果的に怪我も無いし、障壁を張れば防げるのなら何の問題もないよ?

「気にしないでウルちゃん。オル君の家族に怪我をして欲しくないから心配しただけなんだよ。」
「お心遣いありがとうございます。」

「ええと…そのドラゴンバスターについて詳しく教えていただくことは可能でしょうか?私達の軍にも竜騎兵がおりますので。」
「そうでしたね。口で説明するより現物をお見せした方が早いですよね。」

庭に移動してインベントリからドラゴンバスターを取り出して見せた。
全長は10メートル位、先端は3つに分かれていて中心は空洞。魔力を大砲で放つみたいな感じかな?

「こんなものを作っていたのですか…。リアード王国は本格的にエルジュ侵攻を目論んでいたのですね…。」

ラフィミアさんは厳しい表情で呟いた。
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