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神様の人形

中庭

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「バカな……!オプロートが一撃で……」

アージュンが驚きの声をあげる。

私は4人の連携攻撃に合わせてオーバーブーストを掛けていた。
ただ、誰に掛けるべきか悩んでしまって全員にと思ったら均等に4人に付与する事ができてしまった。

こんな事ができたんだ…。

「おのれ…!」

怨言を発しながら後退りするアージュン。

「逃さねーですよ!」
「やっつけるです!」

兎人族ダシュプーシェン4姉妹が右足を狙って集中攻撃を加える。
それに合わせてオーバーブーストを4人に均等付与!

アージュンは右足をズタズタに破壊されてその場に倒れた。

「ば、バカなっ……!?」
「いちいち人間臭いわね。」

杖を振って魔法を発動しようとした所をユキさんの盾に押さえつけられて魔法は発動出来なかった。

「安心しろ、すぐにオプロートの後を追わせてやる。」

倒れているアージュンの頭にに容赦なくハルバードを振り下ろすソラちゃん。

最近ソラちゃん悪役っぽいセリフ多いね。…しっかりオーバーブーストは付与したけど。

頭部を破壊されて動かなくなるアージュン。やはり2体とも消滅しなかったのでインベントリに格納した。

「後は雑魚だけね!《マナエクスジベイト》、《レイブラスター》!」

橋に残っていた兵士達はリオさんの魔法で跡形もなく消滅した。

全員の無事を確認して一気に橋を渡り切る。

城門は硬く閉ざされていたけど、ユキさんのシールドチャージで難なく吹き飛ばす事ができた。

城の中庭には更に4体の騎士鎧と沢山の兵士鎧。
騎士鎧はハルバードを持った一際頑丈そうな者、他の騎士とは違いスリムで長剣を二本持った者。杖と長剣を持った者にエリーゼさんの使うソードランスの様な武器を持っている者だ。

「ハルバードがストリッツヴァグン、二刀流がアリエテ、杖持ちがルクレール、剣槍がアルマータだ。」

サチさんが名前を教えてくれた。

「俺達は雑魚を受け持つよ。」
「雑魚狩り任せるです!」

ハトゥールさんウェスターさん4姉妹とエルさんレミさんが兵士と戦ってくれる。

「私は雑魚を制御下に取り込んで戦力を増やそう。」
「怪我をした方は治療しますからすぐに後退してください。」

サチさんは兵士達を味方にして対抗する。マリさんは後方でサポートだ。

「俺達が騎士を一体受け持つぞ!」

マサキさん一家がストリッツヴァグンに向かう。

「ダキア、クロウ、アリソン、ミルドはアリエテを。私とソラとリオでルクレール。ミナとユキとテュケでアルマータと戦ってくれ!」

「「「分かりました!」」」「「了解!」」

私達はソードランス使いのアルマータの所に向かう。

「愚かなり!少ない戦力を更に分割するとはな!」

アルマータは私達を嘲笑う。普通に考えるならその通りだ。でもそれはならの話だ。

私は兵士と戦っているメンバー以外に均等にオーバーブーストを振り分けた。

「よし!オレがいくよ!ねーちゃん達、援護を頼むよ!」
「分かった!合わせるよ!」
「無茶しないでくださいね。」

テュケ君が斬り込む。
アルマータはソードランスでテュケ君を突いてくる。鋭い3段突きだ。

テュケ君は小剣と長剣を巧みに使って突きを逸らしていく。
続いて流れる様な斬撃を繰り出すアルマータ。薙ぎ払い、袈裟斬り、振り下ろしとテュケ君を追い詰めていく。
ユキさんがテュケ君の前に出て攻撃を盾で受け止める。
私は2人を飛び越えてオリハルコンショートソードでアルマータに斬りかかる。

半歩退きながら左の籠手で受け止められた。私の攻撃は籠手に深く突き刺さっているけど痛覚がないのだろう、ものともせずに反撃してくる。

籠手に小剣を突き立てた私を振り落とそうと腕を振り、ソードランスで斬り付けてくる。

ショートソードから手を離して飛び退くと、右からユキさんがシールドチャージが、左からテュケ君の連撃がほとんど同時に入る。

再度騎士と戦っている全員にオーバーブーストを付与する。
私はインベントリから弓矢を取り出して構える。

アルマータの攻撃はユキさんが止めてくれ、テュケ君の攻撃で少しずつダメージを増やしていく。

「ぐっ…小癪な!」

痛覚は無くてもダメージの蓄積は分かるのか、かなり嫌がっている。

アルマータがソードランスを横にスイングしてテュケ君とユキさんを攻撃しようとする。
私はダブルアローで肘関節の間に矢を撃ち込んで攻撃を阻害する。

ソードランスの動きが止まった一瞬にユキさんがシールドチャージ、テュケ君は断空破砕斬で斬り込んだ。

直ぐに次の矢を番て放つ。
アルマータは後ろに下がりながら大勢を立て直そうとする。重心が左足に移ったタイミングで膝関節に矢を2本撃ち込む。アルマータがバランスを崩して仰向けに倒れた。

「決めます!」

ユキさんがライフストライクでアルマータを攻撃する。鎧の胴の部分がひしゃげて左腕が外れた。ソードランスを手放して右腕でユキさんを殴りつけてくる。

ユキさんはまともに受けて吹き飛ばされたけどダメージは無く、着地してすぐに前進する。

私は弓をインベントリにしまいながら走り寄り、左腕に刺さったままの小剣を引き抜くと右拳を斬り付けて落とした。

テュケ君が小剣を捨てて長剣を両手に持ちかえてアルマータの上に乗ると首元に剣を深々と突き立てる。

アルマータは活動を停止した。

周りを見るとマサキさん一家がストリッツヴァグンを破壊し終わってこちらに手を振っていた。

あとの2チームもかなり押している。私はオーバーブーストを残りのチームに均等に割り振って支援する。

連携がしっかりしていて私達が突然加わるとかえって邪魔になりそうだったので回復魔法をかけるだけで状況を見守る。

程なくしてアリアテもルクレールも動かなくなった。

「なんだ、私たちが一番苦戦していたみたいだな。」
「むぅ。」

ルーティアさんは笑いながら言っているけど不満そうなソラちゃん。

「仕方がないわ。私達はフロントが1人。ルーティアさんが前に出てくれたけど私は味方を巻き込むから大出力攻撃が出来ないし総合して火力不足よ。」

リオさんは涼しい顔で冷静に分析している。

ウェスターさん達も兵士を片付けて合流して来た。

サチさんは兵士を30体程制御下において引き連れている。

そういえば兵士達も騎士達も何もドロップしていない。このエリアはドロップ品は無しなのかな?

「ここの連中はその体自体がドロップ品なんだ。鑑定してみてくれ。」

鑑定したら金属塊と表示される。更によく見てみたらグランフィリーズという金属という事が分かった。
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