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魔王
魔王からの解放
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私は《フェアレーター》を纏ったオリハルコンショートソードを振り下ろす。
アロート様はそれを避けようとしたけど間に合わない。
右肩に命中して腕を切り飛ばした。
このままもう一度斬り付けてトドメだ。
ドクンと心臓が大きく脈打った。
身体の動きが鈍くなる。
何……?
[《シャイターン》《フェアレーター》《ラズルシェーニェ》の反動です。このままでは危険です。直ちに停止してください。]
停止…すぐに止めないと…。
胸が締め付けられるように痛み呼吸が出来ない。
どうやって止めるんだっけ……
「ちっ……ここまでか……しかしタダではやられんぞ!」
アロート様の反撃が来る!早く動かないと…!
しかしアロート様は私を狙わなかった。少し離れた所に集まっているみんなに向かって《ラズルシェーニェ》と《フェアレーター》を撃ち出す。
無数の針のような形に変わって飛んでいく。
普通の魔法じゃアレは防げない…みんなが死んじゃう!
お願い…動いて…!!
オーバーブーストを敏捷にかけて《オーバードスピード》で加速してアロート様の撃ち出した針を追い抜いてみんなの前に出る。
右手のオリハルコンショートソードに《ラズルシェーニェ》、左手に《フェアレーター》を付与して針を打ち払っていく。
全てを防ぐ事ができなかったので、自分の身体で受け止める。
《シャイターン》ならみんなよりもずっと丈夫な筈だ。私が全部受け止める!
嵐のような針の攻撃を何とか凌ぎきった。
だけど…
私は左手の大半と左足の膝から下を失っていた。
それ以外にもあちこち針に刺されてボロボロだ。
《シャイターン》のお陰だろうか、不思議と痛みはない。
「何ヲシテイル?オ前ノ相手ハ私ノ筈ダ!」
《シャイターン》を抑えている場合じゃない。早くコイツを殺さないと!
オリハルコンショートソードに《フェアレーター》と《ラズルシェーニェ》を全力でかけて振り下ろす。
アロート様は逃げる。背中を向けて飛び去ろうとする。
私は逃がさない。
全力の《フェアレーター》と《ラズルシェーニェ》はオリハルコンショートソードを粉々に砕きながら巨大な刃に形を変えて逃げる背中を飲み込んでいく。
「や、やめろぉぉぉーー!!!」
今更何を言っているの……
アロート様は光の中で断末魔の叫びをあげながら消滅していった。
…終わった。
私の身体もボロボロで、もう何も出来ない。声すら上げる事ができなくなっていた。
突然身体が拘束される。
今度は何…?
ショウ君が私に《拿捕》を使ったらしい。マサムネさんも《物質固定》を私にかけていた。
「お前達!何をするんだ!」
「コイツは魔王だろ?弱っているうちに捕まえねぇと暴走したら俺達が殺される。」
「そうだ。俺達のギフトはこういう時に役に立つ。」
ルーティアさんが声を荒げて聞くと、ショウ君とマサムネさんが答えた。
「ざけんなよ!ミナは俺達を守ってあんなになったのに、捕まえるだと!?いい加減にしろ!」
「そうは言っても制御出来ていないじゃない。彼女が少しでも力を振るえば私達なんて紙屑より簡単に消し飛ぶわよ。」
激怒するダキアさんをジュンさんが諫めている。
「あなた達、初めからこれが目的だったんじゃないの?」
リオさんが冷たい口調で聞いている。
「最初からって訳じゃないぜ。俺達は弱ったどちらかを捕まえられればと思っていただけだ。」
勝ち誇ったようにリュウさんが言う。
この捕縛、解けない…。
今なら《シャイターン》を解除できる気がするんだけど、何もできない。
胸が…苦しい…息が……
仲間のみんなが私を助けようと動き始めた。帝国の人達と戦う気だ。
「おい。」
「ああ?」
「ミナを離せ。」
マサキさんが前に出て言う。
「何度も言わすな。コレの危険性はよく分かったろ?」
「だまれ。お前らにミナの何が分かる?…例えミナがこのまま暴走しても、それを止めるのが俺の役目だ。外野は引っ込んでろ。」
「くっ……」
凄まじい気迫にショウ君とマサムネさんが気圧される。
みんな私の事を信頼してくれているのかな。こんなになってしまって、みんなを邪気で苦しめてしまったのに……
僅かだけど2人の拘束が緩んだ気がする。今なら……
動いて…私の身体…!
2人に向かって《フェアレーター》を放つ。アロート様がやったみたいに小さな針状にして突き刺した。
[《拿捕》《物質固定》を破壊しました。]
ギフトを破壊する事に成功した。
「何っ!?」
「この……!」
拘束は解けたけど私に力は残っていない。最後の力を振り絞って《シャイターン》、《フェアレーター》、《ラズルシェーニェ》を解除した。
そのままゆっくりと落ちていく。
リュウさん、マサムネさん、ショウ君が私に斬りかかってくる。
「ふざけるなよ……!」
3人を止めたのはマサキさんだった。
一瞬で3人の持つ剣を根本からへし折っていた。
「ミナがどんな思いで戦ってきたか知っているのか?お前達に好き勝手はさせない!」
マサキさんに続いて他のみんなも帝国の人達を取り囲んでいる。
戦闘はしてほしくないな…折角魔王を倒してこれから平和になるんだから…。
「ミナさん!」「ミナ!」
落ちていく私をユキさんとソラちゃんが追いかけてきて捕まえてくれた。
[《シャイターン》《ラズルシェーニェ》《フェアレーター》が統合されて《アドラステア》に変異しました。]
危ない3つのギフトが1つになった…?
えぇ…それって更に危なくなるんじゃ…?
「ゴメン…ユキさん、ソラちゃん、何かまたギフトが変異したみたい。危ないから離れて……」
「やだ!」
「私も嫌です!もう離しません!」
嬉しいけど危ないよ…。
私はもう自分の制御も出来ない。また何かが暴れ出したら今度こそみんなを傷付けてしまう。
「ミナさん…」
「ミナ…背中の翼が…」
白い翼が生えていた。《シャイターン》は黒い翼だったよね?
更には左腕と左足も再生していく。
「ミナ天使みたい。」
「綺麗です…。」
動かなかった身体も動くようになった。
もしかして《アドラステア》は《シャイターン》みたいに暴走はしないのかな?
[解析不能。未知のギフトです。]
アウラさんが分からないんじゃどうしようもない。
今すぐみんなを止めよう!
「皆さん、私はもう大丈夫です。もう戦わないでください!」
「ミナ…本当に大丈夫なのか?」
「はい。この通り手足も治りました。」
状況を説明してみんなに安心してもらおう。
アロート様はそれを避けようとしたけど間に合わない。
右肩に命中して腕を切り飛ばした。
このままもう一度斬り付けてトドメだ。
ドクンと心臓が大きく脈打った。
身体の動きが鈍くなる。
何……?
[《シャイターン》《フェアレーター》《ラズルシェーニェ》の反動です。このままでは危険です。直ちに停止してください。]
停止…すぐに止めないと…。
胸が締め付けられるように痛み呼吸が出来ない。
どうやって止めるんだっけ……
「ちっ……ここまでか……しかしタダではやられんぞ!」
アロート様の反撃が来る!早く動かないと…!
しかしアロート様は私を狙わなかった。少し離れた所に集まっているみんなに向かって《ラズルシェーニェ》と《フェアレーター》を撃ち出す。
無数の針のような形に変わって飛んでいく。
普通の魔法じゃアレは防げない…みんなが死んじゃう!
お願い…動いて…!!
オーバーブーストを敏捷にかけて《オーバードスピード》で加速してアロート様の撃ち出した針を追い抜いてみんなの前に出る。
右手のオリハルコンショートソードに《ラズルシェーニェ》、左手に《フェアレーター》を付与して針を打ち払っていく。
全てを防ぐ事ができなかったので、自分の身体で受け止める。
《シャイターン》ならみんなよりもずっと丈夫な筈だ。私が全部受け止める!
嵐のような針の攻撃を何とか凌ぎきった。
だけど…
私は左手の大半と左足の膝から下を失っていた。
それ以外にもあちこち針に刺されてボロボロだ。
《シャイターン》のお陰だろうか、不思議と痛みはない。
「何ヲシテイル?オ前ノ相手ハ私ノ筈ダ!」
《シャイターン》を抑えている場合じゃない。早くコイツを殺さないと!
オリハルコンショートソードに《フェアレーター》と《ラズルシェーニェ》を全力でかけて振り下ろす。
アロート様は逃げる。背中を向けて飛び去ろうとする。
私は逃がさない。
全力の《フェアレーター》と《ラズルシェーニェ》はオリハルコンショートソードを粉々に砕きながら巨大な刃に形を変えて逃げる背中を飲み込んでいく。
「や、やめろぉぉぉーー!!!」
今更何を言っているの……
アロート様は光の中で断末魔の叫びをあげながら消滅していった。
…終わった。
私の身体もボロボロで、もう何も出来ない。声すら上げる事ができなくなっていた。
突然身体が拘束される。
今度は何…?
ショウ君が私に《拿捕》を使ったらしい。マサムネさんも《物質固定》を私にかけていた。
「お前達!何をするんだ!」
「コイツは魔王だろ?弱っているうちに捕まえねぇと暴走したら俺達が殺される。」
「そうだ。俺達のギフトはこういう時に役に立つ。」
ルーティアさんが声を荒げて聞くと、ショウ君とマサムネさんが答えた。
「ざけんなよ!ミナは俺達を守ってあんなになったのに、捕まえるだと!?いい加減にしろ!」
「そうは言っても制御出来ていないじゃない。彼女が少しでも力を振るえば私達なんて紙屑より簡単に消し飛ぶわよ。」
激怒するダキアさんをジュンさんが諫めている。
「あなた達、初めからこれが目的だったんじゃないの?」
リオさんが冷たい口調で聞いている。
「最初からって訳じゃないぜ。俺達は弱ったどちらかを捕まえられればと思っていただけだ。」
勝ち誇ったようにリュウさんが言う。
この捕縛、解けない…。
今なら《シャイターン》を解除できる気がするんだけど、何もできない。
胸が…苦しい…息が……
仲間のみんなが私を助けようと動き始めた。帝国の人達と戦う気だ。
「おい。」
「ああ?」
「ミナを離せ。」
マサキさんが前に出て言う。
「何度も言わすな。コレの危険性はよく分かったろ?」
「だまれ。お前らにミナの何が分かる?…例えミナがこのまま暴走しても、それを止めるのが俺の役目だ。外野は引っ込んでろ。」
「くっ……」
凄まじい気迫にショウ君とマサムネさんが気圧される。
みんな私の事を信頼してくれているのかな。こんなになってしまって、みんなを邪気で苦しめてしまったのに……
僅かだけど2人の拘束が緩んだ気がする。今なら……
動いて…私の身体…!
2人に向かって《フェアレーター》を放つ。アロート様がやったみたいに小さな針状にして突き刺した。
[《拿捕》《物質固定》を破壊しました。]
ギフトを破壊する事に成功した。
「何っ!?」
「この……!」
拘束は解けたけど私に力は残っていない。最後の力を振り絞って《シャイターン》、《フェアレーター》、《ラズルシェーニェ》を解除した。
そのままゆっくりと落ちていく。
リュウさん、マサムネさん、ショウ君が私に斬りかかってくる。
「ふざけるなよ……!」
3人を止めたのはマサキさんだった。
一瞬で3人の持つ剣を根本からへし折っていた。
「ミナがどんな思いで戦ってきたか知っているのか?お前達に好き勝手はさせない!」
マサキさんに続いて他のみんなも帝国の人達を取り囲んでいる。
戦闘はしてほしくないな…折角魔王を倒してこれから平和になるんだから…。
「ミナさん!」「ミナ!」
落ちていく私をユキさんとソラちゃんが追いかけてきて捕まえてくれた。
[《シャイターン》《ラズルシェーニェ》《フェアレーター》が統合されて《アドラステア》に変異しました。]
危ない3つのギフトが1つになった…?
えぇ…それって更に危なくなるんじゃ…?
「ゴメン…ユキさん、ソラちゃん、何かまたギフトが変異したみたい。危ないから離れて……」
「やだ!」
「私も嫌です!もう離しません!」
嬉しいけど危ないよ…。
私はもう自分の制御も出来ない。また何かが暴れ出したら今度こそみんなを傷付けてしまう。
「ミナさん…」
「ミナ…背中の翼が…」
白い翼が生えていた。《シャイターン》は黒い翼だったよね?
更には左腕と左足も再生していく。
「ミナ天使みたい。」
「綺麗です…。」
動かなかった身体も動くようになった。
もしかして《アドラステア》は《シャイターン》みたいに暴走はしないのかな?
[解析不能。未知のギフトです。]
アウラさんが分からないんじゃどうしようもない。
今すぐみんなを止めよう!
「皆さん、私はもう大丈夫です。もう戦わないでください!」
「ミナ…本当に大丈夫なのか?」
「はい。この通り手足も治りました。」
状況を説明してみんなに安心してもらおう。
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