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平穏
アウラ=アドラステア
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ヴェルトラオム様にワールドコアの使い方を一通り教わって、帰ったのはその日の夜だった。
エリストの家に戻るとユキさん達が出迎えてくれた。マサキさん達も一緒だ。
ご飯を食べながら互いの状況を報告し合う。
リオさん達は帝国に行って貿易の再開を約束してきたらしい。
それと、採掘技師の編成が終わったらしいのでテレポートで連れてきたのと、あとはリリエンタから経営のアドバイザーを引き抜いてきて、今は町の情勢把握中との事。すぐにでもレストランの用地確保に動くそう。
1日でそんなに動いてるんだね。
テュケ君達も領主の館で手伝いをしていたとか。
「あと治安の悪化が酷いから竜を借りてるわよ。エルアネモスとヴェリオルム、2人の部下を数人ね。」
エルアネモスさんは風竜王、ヴェリオルムさんは氷竜王だ。普通に衛兵の業務を行なってもらっているとか。
属性竜王に町の警らをさせるとか豪勢な使い方だよね。私も使っていたけど……。
あとは闇竜王スコタディアさんの眷属からの報告。
ウロエステ男爵の部下の数人が不穏な動きをしているらしい。
妙な人達と接触を計っているとか。
暫くは泳がせる事にして、監視を継続していくそう。
まだ何か企んでいるのかな?
また、ウロエステ男爵の家族は処刑の予定だったけど中止してくれた。
本人達の希望を聞いて、平民としてこれから生きていくそう。この領地にいると身の危険があるからと辺境伯領に移住させる事になった。
「私達は大体こんな感じよ。ミナはどうだったの?」
私はヴェルトラオム様にワールドコアの操作を教わった事を話した。
ヴェルトラオム様がリヴェルティア様に会いに行くという事も。
「神様同士は争えないから大丈夫だろうけど、リヴェルティアって神様は地球にいるのよね?」
「そうだろうとヴェルトラオム様は言っていました。」
「向こうに居ついているならこちらの神から除外出来ないのかしらね。」
「それは出来ないそうですよ。なので戻ってくる様に説得もするそうです。」
「何だか面倒な事になってるのね。」
リヴェルティア様が何をしようとしているのか分からないけど、アスティアを破壊する様なマネはしてほしくない。もしこの世界に危害を加えてくるのなら私が戦うつもりだ。
「ミナさん、1人で背負い込まないでくださいね。」
「私達も戦える。遠慮なく相談して。」
ユキさんとソラちゃんは私の考えを察したのか、じっと私を見ながらそう言った。
「分かってるよ。何かあったら一番に連絡するからね。」
《アドラステア》の力は私にしか使えないけど、みんなも居てくれる。それだけでも心強いと思う。
[それについて、試してみたい事があります。一度ダンジョンの訓練場に来ていただけますか?]
珍しくアウラさんから提案だ。
ご飯を食べたらすぐに行ってみよう。
私のダンジョンのエントランスへみんなで移動。マサキさん達は「食後の運動だ」といって新たに追加された《シャイターン》(通常)と戦いに行った。
入れ替わりに実体のあるアウラさんが現れる。
「何を試すのアウラさん?」
「はい。先程ダンジョンのモンスター設定をしていたら興味深いものが出てきまして。」
そう言って一覧を出してもらう。
あれから家を出入りするみんなの情報も登録して、かなりのラインナップになっていた。
アウラさんが示したのは私の項目『ミナ《アドラステア》』の下、『アウラ《アドラステア》』というのが追加されていた。
「これは…?」
「私の推測が正しければ、《アドラステア》の力を私が使う事も出来るかと。それを実験してみたいのです。」
「それなら1人でもやれるんじゃない?」
「出来るとは思いますが、万が一暴走したら直ぐに止めてもらえる環境が必要かと。」
なるほど。それで私の立ち合いが必要なんだね。
「分かったよ。アウラさん、訓練場に入って《アドラステア》を使ってみて。」
「お願いします。」
何も無い草原のフィールドに入ったアウラさんは《アドラステア》を作動させる。
背中に大きな白い翼が現れ、全身が輝き始める。
見た目も美人だからか、スゴく神々しく見える。
「ミナと同じね。」
「私ってあんな風になってるんですか?」
「そうよ。」
今更何を言ってるの?と言わんばかりの視線をリオさんに向けられながらアウラさんをよく観察する。
鑑定してみたら【アウラ=アドラステア】と表示された。
「憑依合体?」
「なかなか古いの知ってるわね。でもそれだと逆なんじゃない?」
ソラちゃんとリオさんは相変わらずな会話をしている。
「性能評価をしたいのでモンスターと戦います。」
「分かりました。」
アウラさんは自分で対戦相手を呼び出している。
選んだのは邪竜形態のウルちゃんだ。
ウルちゃんのブレスを《ヴェンデッタ》で跳ね返して、あとは…素手で倒しちゃった。
「次、性能評価を行います。」
「は、はい。」
現れたのは《シャイターン》(通常)と《シャイターン》(全開)。
どちらも一歩も動く事なく苦しみ出して消滅した。
「続けます。」
「……はい。」
次は《アドラステア》を展開した私だった。
初めは打撃戦、目にも止まらぬ速さの攻防に茫然としているだけだった。
《アドラステア》どうしだと《ヴェンデッタ》を作動させても跳ね返せないんだ…。
ダメージが蓄積する度に《レナータ》で再生しているので互いに動きが鈍くなる事もない。
今度は距離をとって魔法の撃ち合いを始める。
詠唱しているのか分からないほどの速度で魔法を撃ち出す私。アウラさんも魔法を撃ち返しているけど手数が明らかに違う。
「あのミナ手加減してるわね。」
「そうなんですか?」
リオさんに自分を分析されて聞き返すのって何か変。
「オーバーブーストを使ってないのよ。アウラが意図的に設定した様子もないし、ミナの思考パターンを再現したらああなったんじゃない?」
「そうなんでしょうか。」
相手が敵じゃないから遠慮してるとか?
確かにみんなと模擬戦するなら全力は出さないと思うけど。
「全力出されたら瞬殺。」
「瞬殺って…。」
殺したりするわけないよ。
話していたら戦闘は佳境に入っていた。
様々な魔法を同時に放ったアウラさんを追い詰めていく。
「弾幕ごっこみたい。」
「前から思っていたけど、ソラのお兄さんってかなりディープなオタクよね。」
そんな会話を聞きながら見ていたらアウラさんがダウンして戻ってきた。
エリストの家に戻るとユキさん達が出迎えてくれた。マサキさん達も一緒だ。
ご飯を食べながら互いの状況を報告し合う。
リオさん達は帝国に行って貿易の再開を約束してきたらしい。
それと、採掘技師の編成が終わったらしいのでテレポートで連れてきたのと、あとはリリエンタから経営のアドバイザーを引き抜いてきて、今は町の情勢把握中との事。すぐにでもレストランの用地確保に動くそう。
1日でそんなに動いてるんだね。
テュケ君達も領主の館で手伝いをしていたとか。
「あと治安の悪化が酷いから竜を借りてるわよ。エルアネモスとヴェリオルム、2人の部下を数人ね。」
エルアネモスさんは風竜王、ヴェリオルムさんは氷竜王だ。普通に衛兵の業務を行なってもらっているとか。
属性竜王に町の警らをさせるとか豪勢な使い方だよね。私も使っていたけど……。
あとは闇竜王スコタディアさんの眷属からの報告。
ウロエステ男爵の部下の数人が不穏な動きをしているらしい。
妙な人達と接触を計っているとか。
暫くは泳がせる事にして、監視を継続していくそう。
まだ何か企んでいるのかな?
また、ウロエステ男爵の家族は処刑の予定だったけど中止してくれた。
本人達の希望を聞いて、平民としてこれから生きていくそう。この領地にいると身の危険があるからと辺境伯領に移住させる事になった。
「私達は大体こんな感じよ。ミナはどうだったの?」
私はヴェルトラオム様にワールドコアの操作を教わった事を話した。
ヴェルトラオム様がリヴェルティア様に会いに行くという事も。
「神様同士は争えないから大丈夫だろうけど、リヴェルティアって神様は地球にいるのよね?」
「そうだろうとヴェルトラオム様は言っていました。」
「向こうに居ついているならこちらの神から除外出来ないのかしらね。」
「それは出来ないそうですよ。なので戻ってくる様に説得もするそうです。」
「何だか面倒な事になってるのね。」
リヴェルティア様が何をしようとしているのか分からないけど、アスティアを破壊する様なマネはしてほしくない。もしこの世界に危害を加えてくるのなら私が戦うつもりだ。
「ミナさん、1人で背負い込まないでくださいね。」
「私達も戦える。遠慮なく相談して。」
ユキさんとソラちゃんは私の考えを察したのか、じっと私を見ながらそう言った。
「分かってるよ。何かあったら一番に連絡するからね。」
《アドラステア》の力は私にしか使えないけど、みんなも居てくれる。それだけでも心強いと思う。
[それについて、試してみたい事があります。一度ダンジョンの訓練場に来ていただけますか?]
珍しくアウラさんから提案だ。
ご飯を食べたらすぐに行ってみよう。
私のダンジョンのエントランスへみんなで移動。マサキさん達は「食後の運動だ」といって新たに追加された《シャイターン》(通常)と戦いに行った。
入れ替わりに実体のあるアウラさんが現れる。
「何を試すのアウラさん?」
「はい。先程ダンジョンのモンスター設定をしていたら興味深いものが出てきまして。」
そう言って一覧を出してもらう。
あれから家を出入りするみんなの情報も登録して、かなりのラインナップになっていた。
アウラさんが示したのは私の項目『ミナ《アドラステア》』の下、『アウラ《アドラステア》』というのが追加されていた。
「これは…?」
「私の推測が正しければ、《アドラステア》の力を私が使う事も出来るかと。それを実験してみたいのです。」
「それなら1人でもやれるんじゃない?」
「出来るとは思いますが、万が一暴走したら直ぐに止めてもらえる環境が必要かと。」
なるほど。それで私の立ち合いが必要なんだね。
「分かったよ。アウラさん、訓練場に入って《アドラステア》を使ってみて。」
「お願いします。」
何も無い草原のフィールドに入ったアウラさんは《アドラステア》を作動させる。
背中に大きな白い翼が現れ、全身が輝き始める。
見た目も美人だからか、スゴく神々しく見える。
「ミナと同じね。」
「私ってあんな風になってるんですか?」
「そうよ。」
今更何を言ってるの?と言わんばかりの視線をリオさんに向けられながらアウラさんをよく観察する。
鑑定してみたら【アウラ=アドラステア】と表示された。
「憑依合体?」
「なかなか古いの知ってるわね。でもそれだと逆なんじゃない?」
ソラちゃんとリオさんは相変わらずな会話をしている。
「性能評価をしたいのでモンスターと戦います。」
「分かりました。」
アウラさんは自分で対戦相手を呼び出している。
選んだのは邪竜形態のウルちゃんだ。
ウルちゃんのブレスを《ヴェンデッタ》で跳ね返して、あとは…素手で倒しちゃった。
「次、性能評価を行います。」
「は、はい。」
現れたのは《シャイターン》(通常)と《シャイターン》(全開)。
どちらも一歩も動く事なく苦しみ出して消滅した。
「続けます。」
「……はい。」
次は《アドラステア》を展開した私だった。
初めは打撃戦、目にも止まらぬ速さの攻防に茫然としているだけだった。
《アドラステア》どうしだと《ヴェンデッタ》を作動させても跳ね返せないんだ…。
ダメージが蓄積する度に《レナータ》で再生しているので互いに動きが鈍くなる事もない。
今度は距離をとって魔法の撃ち合いを始める。
詠唱しているのか分からないほどの速度で魔法を撃ち出す私。アウラさんも魔法を撃ち返しているけど手数が明らかに違う。
「あのミナ手加減してるわね。」
「そうなんですか?」
リオさんに自分を分析されて聞き返すのって何か変。
「オーバーブーストを使ってないのよ。アウラが意図的に設定した様子もないし、ミナの思考パターンを再現したらああなったんじゃない?」
「そうなんでしょうか。」
相手が敵じゃないから遠慮してるとか?
確かにみんなと模擬戦するなら全力は出さないと思うけど。
「全力出されたら瞬殺。」
「瞬殺って…。」
殺したりするわけないよ。
話していたら戦闘は佳境に入っていた。
様々な魔法を同時に放ったアウラさんを追い詰めていく。
「弾幕ごっこみたい。」
「前から思っていたけど、ソラのお兄さんってかなりディープなオタクよね。」
そんな会話を聞きながら見ていたらアウラさんがダウンして戻ってきた。
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