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特別編1:ドゥーム・セントラルコア決戦

突入準備

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夢見ていた。

ある星に降りたドゥーム達の最期。

これは夢じゃない。流れ込んできた記憶だ。

彼らは人の住う星を見つけて群体を細かく分けて降下させた。
彼らの目的は他種族との共存。
彼らは知っていたのだ。自分達に未来がないという事を。

セントラルコアに気付かれない様に生存の道を模索していた。
降り立った星は高度に文明が発達した歪な世界だった。
魔法も科学もどちらも存在する世界。
この世界では人間という種族が星を支配していた。

この人間という種族から知恵を借りれば何か良い手立てを見つけられるかもしれない。
降り立ったドゥームは人間と接触する。

彼らから得られたものは──

ドゥームの力を得た人間はこの星の帝王の様に振る舞った。多くの種族を絶滅に追い込み、己を神へと昇華させるためにあらゆる行為に手を染めてきた。

人間の中には他の世界から知識を持ち込んだ者がいた。彼らが文明を発展させ、人間を絶対的な強者に仕立てたのだ。

そして人間は同種族同士で争う様になる。

高度に発展した科学力で、自らの手に負えない力を使い、互いを滅ぼさんと攻撃を繰り返した。

やがて訪れた静寂。

空も大地も海も汚染され、生物の住むことのできない世界に変わってしまった。

共存の道を探す筈が何ということだ。

彼らが滅ぶのに力を貸しただけではないか。

彼らから受け取ったのは傲慢と他を憎む心だった。

やがて途方もない時が流れ、一つの存在が汚染された世界の再生を始める。

再び現れる生命達。
それに喜ぶ事が出来なかった。
人間から得た感情によって、理由もなくその生命達を憎んでいた。

始祖の存在はドゥーム達に等しく滅びを与えていった。
雨を降らせドゥーム達は浄化されていく。

それはどこか懐かしい感じのする水色の髪をした女の子だった。

ーーーー

「ミナさん、起きてください」

ユキさんの声で目が覚める。ユキさんとレナトゥスが私を覗き込んでいた。

「ユキさん…どれくらい眠ってた?」
「2時間くらいです。マスターコアに動きがあった様です」
「分かった。すぐ準備するね」

装備をつけながらレナトゥスに聞いてみる。

「あなた達って水に弱かったりしますか?」
「いいえ。自然界にあるもので弱点になるものはありません」

となるとあの水は特殊なものなんだね。
あれが使えたらもっと簡単に制圧出来そうなんだけどなぁ…。
どこの世界か分からないし、せめて世界の名前が分かれば探せそうなんだけど。

「ミナさん、何かあったのですか?」
「うん。寝てる間に夢、というかドゥームの記憶を見たんだよ」

私は夢で見た世界の話をする。

「滅んだその群体はディア・グリーニアです。調べればどこの世界か分かるかもしれません」

レナトゥスは彼らの事をすぐに言い当てた。

「切り札に使えるかもしれないから調べてもらえますか?」
「分かりました」

装備を着け終わるとレナトゥスも装着された。

「レアさん達の所に行くとみんなも集まっていた」
「ミナさん、残りのマスターコアが動きました」
「どうなりました?」
「3つの群体がセントラルコアの防衛に、残る2つはこちらに同調してくれました」

全部敵にならなくて良かったよ。

「これなら戦力差がほぼ拮抗するんじゃない?」
「はい。ミナさん達がサブコアを守っていたエルルードを撃破して、残存ドゥームをこちらが吸収できたのでかなりの戦力補充ができました。こちら側についてくれたマスターコア・ジェライラとマスターコア・ヴェリスは中堅クラスの規模を持つ群体です。これなら真正面からぶつかってもいい勝負が出来ますよ」

一気に有利になったね。
これなら私達は別動でセントラルコアに突入できるかも。

「戦力的に余裕ができましたので、ミナさん達には直接セントラルコアに乗り込んでもらいます。また、正面で敵とぶつかる戦力にも皆さんを割り振らせていただきます」

レアさんは編成を説明していく。
ジェライラには『蒼天の翼』のメンバーとエルクさん達。ヴェリスには『黒鉄の刃』のメンバーにそれぞれついてもらうらしい。

リリエンタ組とウェスターさんはアルシアの援護に行ってもらう事になった。

残る私、ユキさん、リオさん、ソラちゃん、テュケ君、マサキさん一家、ダキアさん、アリソンさん、クロウさんとルーティアさんでセントラルコアに突入する。

「どの戦線も圧倒的な戦力差がある訳ではないので、急がなくても大丈夫です。確実にセントラルコアにレナトゥスを撃ち込んで来てください」

セントラルコアの中心部には各マスターコアやディア達に指令を出している箇所があるらしい。そこにレナトゥスを強制的にアクセスさせれば良いそうだ。

「分かりました。強制的に同調させたらこの戦いは終わるんですよね?」
「100%とは言い切れませんがその筈です」

安全を第一にして出来るだけ早くセントラルコアの中心に行かなくちゃね。

因みにハナちゃんの大きなドレスは分離して普通サイズに変化していた。
どうやら剣を全て放出したので役目を終えたらしい。

ドレスの残りの部分で揚陸用の船を作ってくれたのだとか。
それに乗ってみんなでセントラルコアに向かうんだね。

「それでは皆さん行動開始してください。決して無理をしない様に、ドゥームを剥がされたら直ぐに後退して補給を受けてください」

それぞれが返事をして動き始める。

「ミナ、ご飯食べてないけど大丈夫?」
「うん。あまりお腹空いてないから大丈夫だよ」

ソラちゃんに答えながら私達も揚陸用の船を目指す。

通路を歩いて行くと物凄く広い倉庫の様な所にあったのは細長い船だった。

「船って言うか…」
「ミサイルよね」

リオさんとネネさんが話している。

円筒状でとにかく長い。後ろの方に小さな翼?が付いているだけ。

「見てくれは悪いかも知れないが性能は確かだ、まあ、乗ってくれ」

そう言ったのはミサイル…じゃなくて揚陸船だった。
まあ、ドゥーム製だから喋るよね。

船体の横側が開いて中を確認すると、しっかりとした座席が同じ方向に向いて二列で並んでいた。触り心地はフワフワで座りやすそう。

「中は意外と良さそうね」
「これで特攻する訳じゃないのだろう?」
「前面に防御魔法を展開してもらう事になる」
「やっぱりミサイルじゃないのよ」

でもまあこれが一番確実にセントラルコアに辿り着ける方法みたいだからこれで行こうね?
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