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特別編3:異世界
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ほのかさんと冒険者ギルドに向かう。
手持ちのお金は10万ルド。ここから食事代が引かれるからにもしなければ8日程度でお金は無くなっちゃう。
それまでに虚空の覇者さんやみんなが私達を見つけてくれるかは分からない。
お金を稼いでおいた方がいいし、この世界のことを知るなら出歩く事が多い冒険者に聞くのがいいと思う。
「ミナちゃんお腹すいちゃった。何か食べよう?」
「そうですね。」
歩きながらご飯の食べられるところを探していたら食堂を見つけたので入ってみる。
「いらっしゃいませ!空いている席にどーぞ!」
元気な赤髪の少女が給事をしていた。
席についておススメを注文する。
肉とお野菜を甘辛く炒めた料理とご飯が出てきた。
ここの主食はお米なんだ?
味付けは少し濃いめだけど食べやすく、ご飯も普通に炊きたての白米だった。
「何だか懐かしいね……そういえば私、いつぶりにご飯食べるんだろう?」
ほのかさんはずっと彷徨っていたのだろうけど、お腹とか空かなかったんのかな?
「うん、不思議とお腹は空かなかったよ」
虚空は時間の流れとかどうなんだろう?
「今までどれくらいの世界に行ったんですか?」
「分からない。一瞬で次の所に移った事もあるから…100?200?うーん…」
「何処かの世界の人と交流が出来たりとかはあったのですか?」
「うん、一度だけ。交流というか戦ったんだけど。精霊のみんなが助けてくれて殺されずに済んだよ」
「えぇ…何か大変な目に遭ってるんですね…」
行った先で戦闘になる事もあるんだ…。
「私達が2回目に助けに行った時、明らかには危害を加えそうな人に襲われてましたけど、何で抵抗しなかったんですか?」
「私が動いたらあの人達を化け物に変えてしまうかも知れなかったし、人に触れてもらうのは久し振りでちょっと嬉しかったの」
うーん…気持ちは分からなくもないけど、あの人達は良くないよ。
「今はミナちゃんがそばに居てくれるから寂しくないよ?」
「あはは、暫くは一緒ですからね」
ご飯をいただいたついでに給仕の女の子にこの街の周辺について聞いてみた。
「お姉さん達何処からきたの?ここ、ショルカの街から東に10日位行くとサイオラっていう街があるよ。南にある山を越えればレギュイラの港町。山には道もあるけど山賊が出るらしいから行かない方がいいよ。西にも10日行った所に街があるけどその先は瘴気に飲まれちゃってるから危ないよ」
「瘴気?」
「知らないの?魔物の領域になると瘴気に覆われて息が出来なくなって死んじゃうんだよ」
何だかとんでもない世界みたい。
「魔物は息できるの?」
「分からない。魔物に会った事ないもの。でも瘴気の中には魔物がいっぱいいるんだから息出来るんじゃない?」
ほのかさんの質問にも元気に答えてくれる女の子。
やっぱり冒険者ギルドで話を聞いてみた方が良さそうだね。
お礼を言ってお金を払って食堂から出る。
「瘴気の事が気になるの?」
「はい。少しでも危険な事は調べておいた方がいいかなって」
「そう言いながら自分で危険に飛び込んでいくタイプ?」
「う…今回はほのかさんも居るしそんな事はしませんよ」
「ありがとう」
私に寄りかかってくるほのかさん。
やっぱり妹みたいな印象なお姉ちゃんだね。
私がしっかりしなくちゃ。
冒険者ギルドについた。
入り口には西部劇に出てきそうなスイングドアが付いている。
それを押して入ると隅ではガラの悪そうな男の人が4人、酒を飲みながらテーブルを囲んでカードゲームをしていた。
私達を見ていやらしい笑みを浮かべている。
うわぁ…冒険者ギルドっていうか山賊のアジトっぽい。
その奥には受付があって、体格の良い青年が無言で何かを書いていた。
とりあえずあの人に話を聞いてみよう。
「あのー…」
「はい。ご依頼ですか?」
書くのを止めずに聞いてくる青年。襟の付いたシャツにサスペンダー、スゴい筋肉をしている。年齢は20代にも30代にも見える。
「いえ、冒険者になるにはどうしたらいいですか?」
「君が?それともお姉さんが?」
「2人でなりたいんですけど」
ペンを置いて私達を見る青年。
「冒険者は命懸けの仕事だ。遊びでやれる程簡単な仕事ではない」
「こう見えても少しは強いんです。何でもいいから仕事をください」
青年は私達が軽い気持ちで冒険者になりたがっているのだと思っているのだろう。まあ、実際動機はもの凄く軽いんだけど。
「おいおいお嬢ちゃん。冒険者なんてやめてお姉ちゃんと花でも売ってた方がいいんじゃねえか?」
隅のガラの悪そうな男の人が声を掛けてくる。
「食べていけるんならそれでもいいですけど、冒険者の方が性に合ってると思うんで」
言い返すと4人は大袈裟に笑う。
「お姉ちゃんが頑張れば食っていけるかもなあ!俺達が初めの客になってやるよ」
ん…?私達お花は持ってないよ?
「小汚いおじさん達は冒険者?あんなヨレた人達でも出来るなら私達にも出来るよ?」
ほのかさんは4人を指差しながら青年に言う。
「何だと!」
「どうやら分からせてやらないといかんなぁ!」
男の人達はこちらに向かってくる。
あれ…これって絡まれちゃった感じ?
ほのかさんが危ない。
素早く男の人の前に出ると両手を広げて立ち塞がる。
「お姉ちゃんが言った事を不快に思ったのなら謝ります。怪我をさせたくありませんから穏便に済ませましょう?」
「舐めた事言ってんじゃねぇ!」
逆上させちゃった…。
大きな手が私を捕まえようと伸びてくる。
それを払うと懐に入り込んで肘を鳩尾に打ち込む。
うめき声を上げてその場に崩れる男の人。
「やりやがったな!」
次の人は足元に滑り込んで膝の裏を思い切り蹴飛ばして転ばせる。そのまま上に乗って関節を極めようとしたけど、私を捕まえようと2人が覆い被さってくる。
「誰か手伝って、ミナちゃんを助けて」
ほのかさんがそう呟くと突風が起こって2人を壁に叩きつけた。
壁の板から枝が伸びてきて2人の両手両足を絡め取って磔にする。
これが《精霊の加護》の力?
「ほのかさん助かりました」
「ううん、ミナちゃんなら助けなくても何とか出来たよね」
ほのかさんは落ち着いていた。
さっきの言葉はあの人達を煽る為にわざと言ったんじゃないかな?
手持ちのお金は10万ルド。ここから食事代が引かれるからにもしなければ8日程度でお金は無くなっちゃう。
それまでに虚空の覇者さんやみんなが私達を見つけてくれるかは分からない。
お金を稼いでおいた方がいいし、この世界のことを知るなら出歩く事が多い冒険者に聞くのがいいと思う。
「ミナちゃんお腹すいちゃった。何か食べよう?」
「そうですね。」
歩きながらご飯の食べられるところを探していたら食堂を見つけたので入ってみる。
「いらっしゃいませ!空いている席にどーぞ!」
元気な赤髪の少女が給事をしていた。
席についておススメを注文する。
肉とお野菜を甘辛く炒めた料理とご飯が出てきた。
ここの主食はお米なんだ?
味付けは少し濃いめだけど食べやすく、ご飯も普通に炊きたての白米だった。
「何だか懐かしいね……そういえば私、いつぶりにご飯食べるんだろう?」
ほのかさんはずっと彷徨っていたのだろうけど、お腹とか空かなかったんのかな?
「うん、不思議とお腹は空かなかったよ」
虚空は時間の流れとかどうなんだろう?
「今までどれくらいの世界に行ったんですか?」
「分からない。一瞬で次の所に移った事もあるから…100?200?うーん…」
「何処かの世界の人と交流が出来たりとかはあったのですか?」
「うん、一度だけ。交流というか戦ったんだけど。精霊のみんなが助けてくれて殺されずに済んだよ」
「えぇ…何か大変な目に遭ってるんですね…」
行った先で戦闘になる事もあるんだ…。
「私達が2回目に助けに行った時、明らかには危害を加えそうな人に襲われてましたけど、何で抵抗しなかったんですか?」
「私が動いたらあの人達を化け物に変えてしまうかも知れなかったし、人に触れてもらうのは久し振りでちょっと嬉しかったの」
うーん…気持ちは分からなくもないけど、あの人達は良くないよ。
「今はミナちゃんがそばに居てくれるから寂しくないよ?」
「あはは、暫くは一緒ですからね」
ご飯をいただいたついでに給仕の女の子にこの街の周辺について聞いてみた。
「お姉さん達何処からきたの?ここ、ショルカの街から東に10日位行くとサイオラっていう街があるよ。南にある山を越えればレギュイラの港町。山には道もあるけど山賊が出るらしいから行かない方がいいよ。西にも10日行った所に街があるけどその先は瘴気に飲まれちゃってるから危ないよ」
「瘴気?」
「知らないの?魔物の領域になると瘴気に覆われて息が出来なくなって死んじゃうんだよ」
何だかとんでもない世界みたい。
「魔物は息できるの?」
「分からない。魔物に会った事ないもの。でも瘴気の中には魔物がいっぱいいるんだから息出来るんじゃない?」
ほのかさんの質問にも元気に答えてくれる女の子。
やっぱり冒険者ギルドで話を聞いてみた方が良さそうだね。
お礼を言ってお金を払って食堂から出る。
「瘴気の事が気になるの?」
「はい。少しでも危険な事は調べておいた方がいいかなって」
「そう言いながら自分で危険に飛び込んでいくタイプ?」
「う…今回はほのかさんも居るしそんな事はしませんよ」
「ありがとう」
私に寄りかかってくるほのかさん。
やっぱり妹みたいな印象なお姉ちゃんだね。
私がしっかりしなくちゃ。
冒険者ギルドについた。
入り口には西部劇に出てきそうなスイングドアが付いている。
それを押して入ると隅ではガラの悪そうな男の人が4人、酒を飲みながらテーブルを囲んでカードゲームをしていた。
私達を見ていやらしい笑みを浮かべている。
うわぁ…冒険者ギルドっていうか山賊のアジトっぽい。
その奥には受付があって、体格の良い青年が無言で何かを書いていた。
とりあえずあの人に話を聞いてみよう。
「あのー…」
「はい。ご依頼ですか?」
書くのを止めずに聞いてくる青年。襟の付いたシャツにサスペンダー、スゴい筋肉をしている。年齢は20代にも30代にも見える。
「いえ、冒険者になるにはどうしたらいいですか?」
「君が?それともお姉さんが?」
「2人でなりたいんですけど」
ペンを置いて私達を見る青年。
「冒険者は命懸けの仕事だ。遊びでやれる程簡単な仕事ではない」
「こう見えても少しは強いんです。何でもいいから仕事をください」
青年は私達が軽い気持ちで冒険者になりたがっているのだと思っているのだろう。まあ、実際動機はもの凄く軽いんだけど。
「おいおいお嬢ちゃん。冒険者なんてやめてお姉ちゃんと花でも売ってた方がいいんじゃねえか?」
隅のガラの悪そうな男の人が声を掛けてくる。
「食べていけるんならそれでもいいですけど、冒険者の方が性に合ってると思うんで」
言い返すと4人は大袈裟に笑う。
「お姉ちゃんが頑張れば食っていけるかもなあ!俺達が初めの客になってやるよ」
ん…?私達お花は持ってないよ?
「小汚いおじさん達は冒険者?あんなヨレた人達でも出来るなら私達にも出来るよ?」
ほのかさんは4人を指差しながら青年に言う。
「何だと!」
「どうやら分からせてやらないといかんなぁ!」
男の人達はこちらに向かってくる。
あれ…これって絡まれちゃった感じ?
ほのかさんが危ない。
素早く男の人の前に出ると両手を広げて立ち塞がる。
「お姉ちゃんが言った事を不快に思ったのなら謝ります。怪我をさせたくありませんから穏便に済ませましょう?」
「舐めた事言ってんじゃねぇ!」
逆上させちゃった…。
大きな手が私を捕まえようと伸びてくる。
それを払うと懐に入り込んで肘を鳩尾に打ち込む。
うめき声を上げてその場に崩れる男の人。
「やりやがったな!」
次の人は足元に滑り込んで膝の裏を思い切り蹴飛ばして転ばせる。そのまま上に乗って関節を極めようとしたけど、私を捕まえようと2人が覆い被さってくる。
「誰か手伝って、ミナちゃんを助けて」
ほのかさんがそう呟くと突風が起こって2人を壁に叩きつけた。
壁の板から枝が伸びてきて2人の両手両足を絡め取って磔にする。
これが《精霊の加護》の力?
「ほのかさん助かりました」
「ううん、ミナちゃんなら助けなくても何とか出来たよね」
ほのかさんは落ち着いていた。
さっきの言葉はあの人達を煽る為にわざと言ったんじゃないかな?
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