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特別編3:異世界
やり残し
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次の日はコウさんとマユミさんは仕事から帰ってきたダキアさんとアリソンさんに訓練をしてもらう事になった。
私達はほのかさんの提案で虚空宮に行く事に。一緒に来たのは私達5人と美咲お姉さんとアニエスさん達3人だ。
「川本君、来たよー」
「お、おう…うむ。何か用かな?」
謁見の間の様な所、何人もの部下の人達が左右に控えているけど、ほのかさんは何も気にせずにいつもの調子だった。
虚空の覇者さん、今普通に返事しかけたけど言い直したね。威厳を保つって大変そう。
「川本君のご両親に会いに行くよ」
「それはもう良いと「良くないよ。私のお父さんとお母さんですらあんなに心配してくれてたんだもの。川本君のトコだって会いに行った方がいいに決まってるよ」
虚空の覇者さんの言葉を遮ってほのかさんは話す。そのまま玉座の目の前まで歩いて行って手を取って引っ張る。
「ほら、行くよ?」
「う、うむ…分かった。姿を変えて来るから待っていてくれ」
そう言って奥へと引っ込む虚空の覇者さん。
「いきなり虚空宮に行きたいって言うから何かと思ったらこれが目的だったのね」
「うん。川本君だけ親御さんと会えてないのは良くないと思って」
リオさんと話すほのかさん。
そうだよね。私も会った方が良いと思うよ。
虚空の覇者さんは川本さんの姿になってすぐにやって来た。
「では行こうか。ヴェル、アズ、留守を頼むぞ」
「心得ました」「畏まりました」
みんなで地球に移動する。まずは美咲お姉さんが所有する宿泊施設だ。
「ここって何て呼べばいいの?」
「何て呼んで貰ってもいいけど…別荘で良いんじゃない?」
ソラちゃんに聞かれて少し考える美咲お姉さん。
「あい。別荘!」
ソラちゃん何か嬉しそう。
「個人で所有するレベルじゃないわよね」
建物と敷地を見渡しながらリオさんが言う。
「まあそうなんだけどね。あ、そう言えばメイファさんとスイさんの同僚?が交代でやって来るらしいわ」
何でもアレクスの関係者が私達の事を探しているらしい。それでここを嗅ぎ付けられない様に警戒要員を派遣してくれるそう。
「人の出入りが増えたら見つかりやすくなるんじゃ?」
「認識阻害があるから大丈夫らしいわよ」
そう言えばそんな事を言ってたね。仮面を着けるんだっけ?
「完全に不審者ね」
「森で出会ったらダメなヤツだ」
リオさんとソラちゃんが姿を想像して言っている。
ごく偶に認識出来てしまう人もいるらしいけどね。
「それで、どうするのだ?」
「ここから探査をしますね。ご両親の名前を教えてください」
「川本則夫と川本綾子だ」
名前と川本さんのご両親を条件にオーバーブースト《鑑定》を実行!アウラさんに探してもらう。
見つけた。綾子さんは病院。則夫さんは…
「どうしたのだ?」
「お母さんは実家から少し離れた病院に入院されてます。お父さんは…」
「この世におらぬか」
「はい…」
則夫さんは既に他界していた。アウラさんが見つけてくれたのはお墓だった。
「分かっただけでも有り難いのだ。そんな顔をしないでくれ」
「はい」
お母さんに会いに行くそうなので、川本さんとほのかさんと私で行く事にした。
病院だからあまり大勢で行くのは良くないからね。
他のみんなには別荘に居てもらう事にした。
病院の近くの人気の無い所に転移して歩いて院内へ。
アウラさんが病棟、階数を正確に知らせてくれたので直ぐに行く事が出来た。
出来たけど…
病室の入り口には『面会謝絶』の札が掛かっていた。
「さて、どうしたものかな…」
扉を目の前に考え込む川本さん。
「ナースステーションに聞いてくるよ」
そう言ってほのかさんは早歩きで行ってしまった。
私は部屋の中の綾子さんがどんな状態か《鑑定》を使って見てみる事に。
状態が衰弱と瀕死と出た。
これを川本さんに伝えるのは…。
「ミナ殿、気を遣ってくれているのだな」
「ごめんなさい」
「謝る必要などないぞ。ミナ殿はおふくろを見つけてくれた」
川本さんの大きな手が私の頭を撫でる。
「ご家族の方ですか?」
ほのかさんと看護師の女性が小走りにこちらにやって来た。
「はい。川本孝司、川本綾子の息子です」
「あなたが息子さんですか…お母さんはかなり危険な状態ですが話す事は出来ると思います。中にどうぞ」
そう言って扉を開けてくれた。
病室にはベッドが一つだけ。川本さんのお母さんが眠っていた。
沢山のチューブに繋がれていて痛々しい。一定の速度で電子音が鳴っているだけの静かな部屋だった。
「おふくろ…」
小さな声で川本さんが呼び掛けると、綾子さんはゆっくりと目を開ける。川本さんを見て目を見開き、涙を溢した。
「ずっと戻って来れなくてごめんな。こんなに遅くなっちまって…」
綾子さんはゆっくりと手を伸ばす。それを両手で取る川本さん。
何とか助けてあげられないかな?
[老衰が主原因です。《レナータ》で代謝を上げて一時的に回復させる事は可能ですが長くは持ちません。また、魂が破損しています]
魂の破損は川本さんが行方不明になって心を壊したのが原因らしい。
本人に出会えたので修復は容易だとアウラさんが教えてくれた。
…こちらの世界の人の魂を勝手に触ってはいけないんだけど。
電子音がけたたましく鳴り始める。
側に居た看護師さんがナースコールを押して連絡を始める。直ぐに医師と看護師さんが何人かやって来た。
私達は邪魔になるので川本さんを残して部屋から出る。
「これで良かったのかな…」
廊下の壁にもたれながらほのかさんが呟く。
「良かったと思います。ほのかさんが連れて来なかったら再会出来なかったのだから」
私はほのかさんに寄り添いながら川本さんを待つ事にした。
私達はほのかさんの提案で虚空宮に行く事に。一緒に来たのは私達5人と美咲お姉さんとアニエスさん達3人だ。
「川本君、来たよー」
「お、おう…うむ。何か用かな?」
謁見の間の様な所、何人もの部下の人達が左右に控えているけど、ほのかさんは何も気にせずにいつもの調子だった。
虚空の覇者さん、今普通に返事しかけたけど言い直したね。威厳を保つって大変そう。
「川本君のご両親に会いに行くよ」
「それはもう良いと「良くないよ。私のお父さんとお母さんですらあんなに心配してくれてたんだもの。川本君のトコだって会いに行った方がいいに決まってるよ」
虚空の覇者さんの言葉を遮ってほのかさんは話す。そのまま玉座の目の前まで歩いて行って手を取って引っ張る。
「ほら、行くよ?」
「う、うむ…分かった。姿を変えて来るから待っていてくれ」
そう言って奥へと引っ込む虚空の覇者さん。
「いきなり虚空宮に行きたいって言うから何かと思ったらこれが目的だったのね」
「うん。川本君だけ親御さんと会えてないのは良くないと思って」
リオさんと話すほのかさん。
そうだよね。私も会った方が良いと思うよ。
虚空の覇者さんは川本さんの姿になってすぐにやって来た。
「では行こうか。ヴェル、アズ、留守を頼むぞ」
「心得ました」「畏まりました」
みんなで地球に移動する。まずは美咲お姉さんが所有する宿泊施設だ。
「ここって何て呼べばいいの?」
「何て呼んで貰ってもいいけど…別荘で良いんじゃない?」
ソラちゃんに聞かれて少し考える美咲お姉さん。
「あい。別荘!」
ソラちゃん何か嬉しそう。
「個人で所有するレベルじゃないわよね」
建物と敷地を見渡しながらリオさんが言う。
「まあそうなんだけどね。あ、そう言えばメイファさんとスイさんの同僚?が交代でやって来るらしいわ」
何でもアレクスの関係者が私達の事を探しているらしい。それでここを嗅ぎ付けられない様に警戒要員を派遣してくれるそう。
「人の出入りが増えたら見つかりやすくなるんじゃ?」
「認識阻害があるから大丈夫らしいわよ」
そう言えばそんな事を言ってたね。仮面を着けるんだっけ?
「完全に不審者ね」
「森で出会ったらダメなヤツだ」
リオさんとソラちゃんが姿を想像して言っている。
ごく偶に認識出来てしまう人もいるらしいけどね。
「それで、どうするのだ?」
「ここから探査をしますね。ご両親の名前を教えてください」
「川本則夫と川本綾子だ」
名前と川本さんのご両親を条件にオーバーブースト《鑑定》を実行!アウラさんに探してもらう。
見つけた。綾子さんは病院。則夫さんは…
「どうしたのだ?」
「お母さんは実家から少し離れた病院に入院されてます。お父さんは…」
「この世におらぬか」
「はい…」
則夫さんは既に他界していた。アウラさんが見つけてくれたのはお墓だった。
「分かっただけでも有り難いのだ。そんな顔をしないでくれ」
「はい」
お母さんに会いに行くそうなので、川本さんとほのかさんと私で行く事にした。
病院だからあまり大勢で行くのは良くないからね。
他のみんなには別荘に居てもらう事にした。
病院の近くの人気の無い所に転移して歩いて院内へ。
アウラさんが病棟、階数を正確に知らせてくれたので直ぐに行く事が出来た。
出来たけど…
病室の入り口には『面会謝絶』の札が掛かっていた。
「さて、どうしたものかな…」
扉を目の前に考え込む川本さん。
「ナースステーションに聞いてくるよ」
そう言ってほのかさんは早歩きで行ってしまった。
私は部屋の中の綾子さんがどんな状態か《鑑定》を使って見てみる事に。
状態が衰弱と瀕死と出た。
これを川本さんに伝えるのは…。
「ミナ殿、気を遣ってくれているのだな」
「ごめんなさい」
「謝る必要などないぞ。ミナ殿はおふくろを見つけてくれた」
川本さんの大きな手が私の頭を撫でる。
「ご家族の方ですか?」
ほのかさんと看護師の女性が小走りにこちらにやって来た。
「はい。川本孝司、川本綾子の息子です」
「あなたが息子さんですか…お母さんはかなり危険な状態ですが話す事は出来ると思います。中にどうぞ」
そう言って扉を開けてくれた。
病室にはベッドが一つだけ。川本さんのお母さんが眠っていた。
沢山のチューブに繋がれていて痛々しい。一定の速度で電子音が鳴っているだけの静かな部屋だった。
「おふくろ…」
小さな声で川本さんが呼び掛けると、綾子さんはゆっくりと目を開ける。川本さんを見て目を見開き、涙を溢した。
「ずっと戻って来れなくてごめんな。こんなに遅くなっちまって…」
綾子さんはゆっくりと手を伸ばす。それを両手で取る川本さん。
何とか助けてあげられないかな?
[老衰が主原因です。《レナータ》で代謝を上げて一時的に回復させる事は可能ですが長くは持ちません。また、魂が破損しています]
魂の破損は川本さんが行方不明になって心を壊したのが原因らしい。
本人に出会えたので修復は容易だとアウラさんが教えてくれた。
…こちらの世界の人の魂を勝手に触ってはいけないんだけど。
電子音がけたたましく鳴り始める。
側に居た看護師さんがナースコールを押して連絡を始める。直ぐに医師と看護師さんが何人かやって来た。
私達は邪魔になるので川本さんを残して部屋から出る。
「これで良かったのかな…」
廊下の壁にもたれながらほのかさんが呟く。
「良かったと思います。ほのかさんが連れて来なかったら再会出来なかったのだから」
私はほのかさんに寄り添いながら川本さんを待つ事にした。
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