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こらしょ

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 ディラの話だと、発酵が進みすぎると”酒”になって魔力回復薬としての効果がなくなるのね。で、高価だって言ってたから、お酒にして売るよりも魔力回復薬として売る方がずっとお金になるから、お酒にする人もいなかった?発酵を止めるには、瓶に入れちゃえばいいってことね。
「誰にでもできそうね……」
 マナナの木を庭にでも植えておけば誰でも作れそうなのに。ワインも、実は簡単に家で作れるんだよね。酒税法の関係で1%より強くすると違法だけれど。ブドウの皮に酵母がくっついてるから味噌とか醤油とかより簡単に誰にでも作れる。
『作るのは難しいんだよ!なんせ、少しでも制作者の魔力が流れ込むと失敗するんだから。無意識に体から放出されている魔力を抑え込みながらの作業は……マナナの実を1つつぶすのがやっと、とても、とても……』
 泣きそうな顔のディラ。
「そう、ディラは自分で作ろうとしたことがあるのね」
『うっ……』
 なんと、分かりやすい幽霊だろうね。おいしかったからいっぱい飲みたいみたいな?
「ああ、でも、全然簡単よね。3歳の子供にだってできるわね」
 抑え込む魔力なんてない、魔力ゼロだから。
 ……あれ?魔力ゼロならば簡単に作れる、高価な薬がある?
「ねぇ、ディラ、魔力ゼロってなんで差別されちゃってるんだろう?」
 おかしいよね?むしろ役に立つ存在で、重宝がられても役立たずだと追い出すような存在じゃないと思うんだけれど。だって、ワインづくりって結構人手を要するんじゃなかった?収穫シーズンに一気につぶして樽に入れるわけだから。
『ん?差別なんてされてないよ?』
「は?でも、あの子たち魔力ゼロだからって追い出されて、ここでこんな貧しい生活してるんだよ?」
 ディラがえっと驚いた顔をする。
 いやいや、知らなかったの?
「私も、魔力ゼロだからって街の外に捨てられ……」
 ん?「魔力ゼロだな捨ててこい」の部分をディラは知らないのか。
 いや、でも、ネウス君やおばばとの会話で気が付かない?あれ?要所要所でディラいなかった?
 なんかいつも一緒にいて話を聞いてるとばかり……。
『魔力ゼロで捨てる?えええ?差別?えええ?聞いたことないよ。ここはスラムみたいなもので親を亡くした子が集まっているんだとばかり……。親が捨てたの?魔力がなかったからって?信じられない……』
 ディラの顔が怒りにゆがむ。
 そうなんだ。昔は魔力ゼロだからって差別されるようなことがなかったんだね。
『魔力がなくたって、体を鍛えて冒険者として立派に活躍している人なんてたくさんいた。僕を鍛えてくれたギルドの先輩も……何が起きたんだ。この300年の間に……』
 ディラがぎりぎりと歯ぎしりしている。


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どしゅっと。
そうよねー。うん。

あ、いや、もう、何だろう。いつ、暇になるんだろう。
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