幽モブ アダルトルート(完結)

北川晶

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番外 モブに感謝、セドリック・スタインの熱情 ③

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 何度も言うが、思春期だから。俺とシヴァーディが体を交えるのも、早かった。
 シヴァーディと俺は、毎日、放課後に剣の手合わせをした。
 互いに、剣術の才が、頭ひとつ突き抜けていて。対等に剣を打ち合える相手が、いないからだが。
 毎日、顔を見たいと思う気持ちもあった。

 そりゃあさ、恋しているんだ。好きな相手の顔は、いつだって見たいだろ?
 剣を通じて、心を通わせる。
 そして、心が通じると、自然に体も求めるようになる。
 触れたいと思って。手を握り。くちづけて。
 体に手を這わせれば。もっと、もっとと思ってしまうものだ。

 とはいえ。俺は学園の寮に入っていて。
 シヴァーディは、屋敷から通っていたから。なかなか機会がなくてな。

 ふたりで、気持ちを合わせるのと。場所をセッティングするのが、大変だったんだけど。
 シヴァーディが、俺を屋敷に招いてくれたので。
 そのときに抱き合うことができた。

 待ちに待ったと言わんばかりに、心も体も気が逸っていて。シヴァーディが自室の扉を閉めたと同時に、抱き締めてしまった。

 ふたりで、衣服を脱ぎながら、ベッドに飛び込んで。
 全然、スマートじゃなかったけれど。
 でも、ふたりとも、同じ気持ちだったと思う。求め合っていた、というか?

 飢えた獣が、エサを喰らうように、俺はシヴァーディの裸体を舐め回した。
 銀髪であるシヴァーディは、どこもかしこも色が白くて。
 俺などは、すぐに日焼けをするが。
 彼の肌は、全体的に透明感のある白色だった。

 その胸の上に、ポツリと赤く主張する乳首があり。
 それが、ひどくなまめかしくて。妖艶で。
 ぬるりと、舌先で舐め濡らすと。突起がツンと立ちあがって。その反応が、可愛くって。

「あ、あ、やぁ、駄目だ。そこ、だけで…イ…達して、しまう、あん…か、らぁ」
 彼が達する寸前まで、舐めて舐めて、攻め抜いてしまった。

 乳首から、舌を離したとき。唾液が糸を引き。
 シヴァーディのそこは、誘惑するように赤く色づいて。
 もっと、そこを舐めていたかったが。
 俺も、もう、すぐにもイきたい、キワッキワのところまで来ていたから。
 手の中に、ふたりの屹立を握り込んで。上下に擦り立てた。

「あ、んっ、イく。セドリック…も、イくぅ…あぁぁ」
 シヴァーディは、俺の体にしがみついて、大きくビクリと体を揺らし。俺も…。
 ふたりともすぐに、絶頂を迎えてしまった。

 シヴァーディは、あまり性欲を感じさせない、清楚なイメージがあるが。
 精液を飛び散らせて、甲高い声で鳴いた、色っぽいその顔を見たとき。彼も、欲望を抱く男なのだなと、なんだかしみじみ思ってしまった。

 人は、あまり表情を動かさない彼を、人形のようだと言うが。
 俺は、シヴァーディの人間らしい部分が好きだ。
 汗を流して、懸命に努力する姿を見ている。
 剣を合わせたときに、ギラギラした目をする、彼の情熱を、一番近くで感じている。

 そして、今。俺を求めて、頬を上気させている。

 それは、綺麗なだけの人形などではない。彼の人間としての、生命の息吹だ。
 つか…一回イっても、全然えねぇ。
 当たり前か。長く求めていたシヴァーディが、その体が、今目の前にある。

 それで燃えなきゃ、男じゃない。

 で、さらに深く睦み合うため、快楽の余韻にひたるシヴァーディの後ろに、指をあてがい。蕾をじっくりとほぐした。
 彼も、男性同士は、そこでつながるとわかっていたようで。
 俺のするままに、体を任せてくれていたのだが。いざ、挿入というところで。
 シヴァーディは、すごく痛がった…。

「無理だ、早く抜け。大きすぎる、無理。ふざけんな、馬鹿、おっきぃ、無理ぃ」
 俺にしがみついてきて、すっごく可愛かった。
 いや、喜んだら駄目なのだが。
 模擬剣が体に当たっても、こんなに痛がらないのに。俺のモノが大きすぎて我慢できない、とか言われると。
 申し訳ないけど。
 燃えるのは、仕方がないよな?

 でも、そんな感じで、初体験はうまくできなかった。
 三分の一、というところか? なにがとは言わないが。

 それでも、シヴァーディは、何度か、俺に機会を与えてくれて。
 痛い思いをするのがわかっているのに、大丈夫と言って、受け入れてくれて。

 そういうところで、本当に、愛されているのだなと感じる。

 なんというか、最初、付き合うかどうかのとき、強引に押し切ってしまった自覚があったから。
 こうして、体に触れさせてもらえるとは、実は思っていなかった。
 許してくれるときが来るとしても、それはずっと先、何年も先のこと、かな? って。

 でも。剣を合わせているときの、その眼差しや。
 キスするときの息遣いや。頬の赤みや。
 そういう些細なところで。好かれていると。感じるのだ。

 シヴァーディはなかなか言葉にはしてくれないが。ちゃんと、感じるのだ。

 そうして、彼が体に触れるのを許してくれて。
 痛くてもいいから、と言ってくれて。
 俺のすべてを、シヴァーディが体の内へおさめてくれたとき。

 感動して。涙が出た。

 シヴァーディも嬉しそうに笑ってくれて。
 あぁ…俺は、シヴァーディに愛されている。そう、しみじみ感じたのだ。

 だけど、その気持ちが揺らぐときが来た。
 俺が学園を卒業するときだ。
 俺はもちろん、シヴァーディと別れる気などなく。
 どちらかと言えば。卒業後に、騎士団での所属が決まっていた俺は。
 稼げるようになれば、シヴァーディの屋敷ではなく。外で逢引きができるかなぁ? なんて。のんきに考えていて。
 だから、卒業が近くなったとき、シヴァーディの悲しげな眼差しや、悲痛な言葉を、軽視してしまったのだ。

「おまえほどの腕があれば、必ず騎士爵をたまわれる。そうでなくても、おまえほどの剣豪は、子孫をもうけて、次代に、その剣技を伝承するべきだ。私は…いつか、おまえの邪魔になる」
 そう、彼が、口癖のように言っていたのに。

 彼が、俺と会う気がないことを知ったのは、卒業後。彼と連絡が取れなくなってからだった。

 だが、俺は。焦らなかった。
 シヴァーディは、必ず騎士団に入る。それがわかっていたから。
 もしも、彼がなにか、気掛かりや恐れを感じていたとしても。
 同じ立場、同じ環境に身を置いたときに、俺が真摯に相対すれば、それは解消してゆける。その自信があった。
 俺が、シヴァーディを愛する気持ちは変わらないし。
 彼に愛されているのも、わかっているのだから。

 それに、シヴァーディは卒業まで、学園で、剣術を極めたいのだろう。そういう気持ちがあるのだろうと、わかっていた。
 俺らは剣士だから、じっくり剣に向き合う時間があるのは、いいことだ。
 うらやましいくらいだよ。

 しかし。実はシヴァーディよりも、俺の方がシビアな現状に立ち向かわなければならなくなったのだ。
 バミネが、学園を卒業し、俺の同期として騎士団に入ったからだ。
 なんでだ?

 ぽっちゃり体形のバミネは、運動全般が駄目で、騎士科の劣等生だった。
 それが、なぜ、二年飛び級の卒業扱いで、騎士団にも特例で入ることができるのか?

 そんなの、金とコネしかない。

「先輩、シヴァーディではなく、俺様がここにいること、驚いているようだな? まぁ、俺の方がやつより優秀だということだ。学園では、おまえの目に、俺は入っていなかったようだが? これからは、おまえの隣には俺がいる。同期だから敬語はいらんな? よろしく、セドリック」
 最初は、いぶかしさと不快さしかなかった。
 しかし、バミネは。
 俺が剣闘士大会に勝ち抜いて、掴み取った副団長の地位を。

 金で買い。汗もかかずに同じ地位に登り上がる。仲間も、金で買える。特権も金で買える。

 学園にいる頃は、力がすべてで。剣術が強ければ、一番になれた。
 騎士団も、そういう、剣術があれば出世できる場所だと思っていた。

 しかし、違ったのだ。

 筋肉を鍛え、剣術を極め、誠実に、懸命に、剣の道を突き進んでいる俺と。
 筋肉より脂肪が多い怠惰たいだな体で、剣の道を金の力で汚しながら歩くバミネが。
 同じ地位にいる。
 なんて、嘆かわしいことだ。

 年齢を理由に、勇退する騎士団長は。二年連続で剣闘士大会で優勝した俺を、騎士団長に任命した。
 そこには、騎士団長の、最後のあがきが見て取れた。
 この地位だけは、金の力で自由にさせない。そんな心意気が見えたのだ。
 俺も、騎士団長の意志を継ぎ。この地位をバミネには渡さないつもりでいた。

 だけど。それは孤独で険しい、いばらの道でもあったのだ。

 俺が二十歳になった年。学園を卒業し、シヴァーディが順当に騎士団に入ってきた。
「よぉ、シヴァーディ。やっと来たな? 今年の剣闘士大会は、おまえがいるから少々てこずりそうだ」
「ふふ、負ける気なんかないでしょ? 私も負ける気はありませんが」
 そうして、綺麗な顔に、不敵な笑みを浮かべる。

 あぁ、久しぶりの、馴染みの空気感。待っていた、愛しい人。
 彼の存在を身近に感じるだけで、心が癒される。その感覚をひしひしと感じた。

 俺は、強気なことを言って、明るい笑顔で彼を迎えたけれど。
 シヴァーディのその顔を見たとき。心底ホッとしたのだ。

 子爵家の三男である俺は、社交界に顔を売ってこなかった。それゆえ、貴族の人脈や、しきたりや、暗黙の了解や、そういうものに疎く。政治とか裏工作とか、そういうものが本当に苦手だった。

 シヴァーディの家柄は騎士爵で、伯爵位相当の地位がある。
 社交界でも、シヴァーディの美貌は噂の的、貴族の間で名が通っている。

 俺は、情けなくも、シヴァーディに泣きついた。
 助けてくれと。力を貸してくれと。
 そうしなければならぬほどに、バミネの権勢が奮っていたということだ。

 騎士団長として、がむしゃらに働いてきたが。
 部下たちの多くは、バミネ派で。
 俺が信用して仕事を任せられる部下は、ほんの数えるほどしかいない。
 そんな中での、頼れるシヴァーディの登場に、浮足立ってしまうのは、仕方がないことだ。

 本当に、嬉しかったのだ。

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